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其の拾陸「黄忠、娘と再会するのこと」

一刀達は趙雲からの手紙により楽成城城主・黄忠の事情を知り、何とか助けてあげようと考える。


愛紗が立てた作戦はこうだ。


一、まず一刀と愛紗が黄忠と戦うふりをして時間を稼ぐ。


二、その間に鈴々が城内に潜入して人質にされている黄忠の娘を助ける。


三、他のみんなは袁紹軍の相手をするための準備をする。


と作戦は完璧だったはずだ…。一刀が鈴々に何かを頼むまでは


楽成城・城門


門番「あんた達また来たのか!いくら来てもここをと… 」


門番は言いかけた。なぜならば目の前には


愛紗「楽成城城主、黄忠殿に伝えろ。我と戦わねば民の命はないとな 」


愛紗が偃月刀を門番に向けていたからだ。愛紗のすぐ後ろにいる一刀らしき人は黒の外套を頭から被っているため顔がよく見えなかった。


一刀?「黄忠よ!どうする? 」


二人の言葉に門番は慌てて城に入り黄忠に伝えに行った。


楽成城・城内


門番から話を聞いた黄忠は。


黄忠「何ですって!!…わかりました。私が相手をします 」


黄忠はそう言うと城門に向かって行きながら人質にされている娘のことを思っていた。


黄忠「(璃々!お母さんを守ってね )」


ホントは黄忠だって無駄な戦いはしたくないのだが娘を人質にされている以上仕方がなかった。


この対決に負けたら娘がどうなるのか、黄忠にとっても負けられない戦いが始まろうとしていた。


楽成城・城門


愛紗が待っていると扉が開き、黄忠らしき人が出てきた。


黄忠「我は楽成城城主、黄忠 漢升。北郷軍と言いましたね、我はあなたと一騎打ちを望みます! 」


黄忠は宣言するが愛紗は首を傾げていた。何故ならば黄忠は巨乳の持ち主だからである。普段の一刀ならばすぐにでも飛び付いたであろうが一刀は飛び付かなかったのだ。


しかし愛紗は


愛紗「(ご主人様が飛び付かないとは成長しましたね )」


一刀の成長(?)を喜んでいた。

そして愛紗と黄忠の戦いが始まった。


しかしこの時、一部の者しか知らない事が起きていた。


楽成城・城下


先に城下にいた趙雲が人質の監禁場所を探していた。


趙雲「う〜む、早く人質を探さねば大変なことになるかもしれぬな 」


趙雲が監禁場所を探していると袁紹軍の声がした。


袁紹軍兵士一「しかしこんな楽な仕事とはな 」


袁紹軍兵士二「ホント、ガキを見張るだけなんていい仕事だぜ 」


見張りの兵が二人


更に奥の建物から声がした。


?「うわ〜〜ん!! 」


袁紹軍兵士三「このガキが!おとなしく座っていろ! 」


さっきから言っているガキとはもちろん人質にされた黄忠の娘の璃々である。


璃々「ひっく…。璃々のせいでお母さんが… 」


璃々は泣いていた。無理もない璃々は見た感じ六〜八歳(西森の見たて)ぐらいの幼女である。こういう状況で泣かない子の方が変わっているのだがこの兵は


袁紹軍兵士三「静かにしないか!さもないとぶっ殺すぞ! 」


相手が幼女でも容赦がない奴であった。


袁紹軍兵士一「よせよ。せっかくの人質を殺したら黄忠にどんな目に合わされるかわからないぜ 」


袁紹軍兵士三「んなこと言われなくても分かってるんだよ! 」


袁紹軍兵士三がキレた。


この様子を見ていた趙雲は、


趙雲「(人質は建物の中、見張りは外に二人、中に一人。さて、どうするか?) 」


趙雲の実力ならば外の二人の兵を倒すくらい楽なものだが、問題は中にいる兵の方だ。


何故かというと外の二人を倒している間に中の兵が気付き、人質に危害を加える恐れがあるからだ。中にいる兵は気性が荒いため十分に有り得ることだ。


趙雲が考えていると…


?「キャーー!! 」


突然女の悲鳴が聞こえたかと思うと女が慌てて兵に近寄ってきた。


袁紹軍兵士三「どうした!?何かあったのか? 」


中の兵が聞くと


袁紹軍兵二「心配すんな、女が寄って来ただけだ 」

袁紹軍兵士一「大方逃げ遅れたんだろうよ 」


これを聞いた中の兵は


袁紹軍兵士三「何だよ!驚かせやがって! 」


袁紹軍兵士一「女、ここに来るんじゃ… 」


ここで兵の言葉が止まった。


袁紹軍兵士二「おい、どうしたん… 」


様子がおかしいと思ったもう一人の兵も言葉が止まった。


何故ならば


女がとても美人だったからだ。二人は女の美貌に見惚れていたのだ。


女「助けてください!北郷軍に追われてるんです! 」


女に見惚れていた兵は


袁紹軍兵士一・二『ボ〜〜。わかりましたお嬢さん 』


完全に女に心を奪われていた。


二人の兵が北郷軍を探そうとしていると


ガツンッ!★彡。ボカンッ!★彡。


急に殴られて二人の兵の意識はなくなった。


女は中にいる兵に聞こえるように言う。


女「キャー!!北郷軍よー!! 」


中にいた兵は


袁紹軍兵士三「なんだって!?おいガキッ!逃げるんじゃねえぞ 」


兵は急いで扉の外に出るが…


ドカンッ!★彡。


殴られて意識がなくなった。


この様子に女は


女?「うっしっしっ!作戦成功! 」


もう分かっている人もいるかもしれないがこの女は、一刀の女装した姿である。


何故一刀がこの場にいるかというと


時は戦い前に遡る。


戦い前、一刀は鈴々に頼み事をしていた。


一刀「愛紗に内緒で俺とすることをかわってくれ 」

鈴々「なぜなのだ? 」


一刀「俺には策があるからさ。かわってくれたら肉まん沢山おごるからさ 」


これに対して鈴々は


鈴々「分かったのだ 」


すぐに返事をした。


一刀「しかし、及川につきあった時の女装が役に立つとはな! 」


なぜ一刀が女装できるかと言うと、これは以前一刀が及川と共に女子高に潜入した時に(其の拾 参照)覚えたのだ。


一刀は急いで女装を解き、扉を開ける。


一刀「黄忠さんの娘さん。もう大丈夫だよ! 」


一刀が言うと部屋の隅から小さな女の子が出てきた。


璃々「ぐすっ…お兄ちゃんだれ? 」


一刀は璃々の頭を撫でながら答える。


一刀「俺かい?俺は北郷一刀、いずれこの世を平和にする男さ! 」


璃々「? 」


まだ幼い璃々には何を言ってるのか分からないが分かることが一つある。それはこの人が自分を助けに来たということだ。


一刀「さぁ怖かっただろ。お母さんの所に行こう 」

璃々「お母さんのところ?やった… 」


とここで璃々の言葉が止まる。なぜならば…


袁紹軍兵三「てめー、よくもさっきはやりやがったな!!! 」


気絶したと思われていた兵が意識を取り戻したのだ。


兵は刀を持ち一刀に向ける。対して一刀は丸腰だ。


袁紹軍兵三「くたばりやがれー!!! 」


一刀はせめて璃々だけでも守ろうと璃々の体を抱き締めて背を向ける。そして、刀は二人にふり降ろ…


されることはなかった。なぜならば


趙雲「まったく、北郷殿は余程の死にたがり屋ですな 」


兵は趙雲によって再び倒されたからだ。


一刀「趙雲!助けてくれてありがとう 」


趙雲「いえいえこちらこそ救出を先にやってくれて感謝しますぞ 」


お互いに礼をしあった。


その頃、愛紗と黄忠の戦いは終盤をむかえていた。


弓使いである黄忠は自分の武器である、颶鵬(ぐほう)を構えて弓を引く、対して愛紗は放たれた弓を偃月刀で次々とうち落としていき、偃月刀を黄忠に向けるが黄忠はそれをかわす。一進一退の攻防が繰り広げられていた。


そんな中、愛紗は


愛紗「(くっ!手を抜かなくてはいけないと分かっているが、黄忠殿は本気でやらなければ負けてしまう!) 」


黄忠「(早く戦いを終らせないと璃々が…) 」


回りのみんなが見まもりお互いの思いが交差する中、誰もが予想できないことが起きた。それは…


黄忠「あっ!! 」


黄忠の弓矢が愛紗から外れてしまいそのまま…


ザクッ!!


一刀の首を貫き、一刀の首が飛んだ。


愛紗「ご主人様!! 」


一刀が死んだと思う愛紗。しかし…


ピクッ!


不思議なことに飛んだはずの一刀の首が動きだし、そして首から出てきたのは



セキト「ワンッ! 」


セキトだった。更に胴体が動きだして出てきたのは


鈴々「ばれちゃったのだー! 」


鈴々が出てきた。


愛紗「なぜ鈴々がここに!?ご主人様はどうしたんだ? 」


鈴々はうっかり答える。


鈴々「お兄ちゃんに言われて入れ替わっていたのだ 」


この時愛紗を見ていたみんなは後に語る。話を聞いた愛紗の頭から鬼の角がはえてきたという。


黄忠も何がなんだか分からないことがあって驚いてしまい動けずにいた。


そんな時だった。


バッ!


璃々「おかあさ〜ん! 」

黄忠「璃々!! 」


突然人質にされているはずの璃々が出てきて驚いた。


黄忠は璃々に聞く、


黄忠「ごめんね璃々!。でもどうしてここへ? 」


璃々は答える。


璃々「あのねー、お兄ちゃんとお姉ちゃんにたすけてもらったの 」


璃々がそう言って後ろを指さすと指の先には


一刀「間に合ってよかったよ! 」


趙雲「道に何度か迷いそうになりましたがな 」


一刀と趙雲の姿があった。


鈴々「お兄ちゃんと趙雲なのだ! 」


朱里・月『(はわわ〜・へぅ〜)ご主人様無事でよかったです 』


翠「心配かけさせんじゃねーよ! 」


恋「…恋も助けに行きたかった 」


詠「くたばればよかったのに 」


みんなから色々と言われる一刀、これですめばよかったのだが…


愛紗「ご主人様!!! 」


すぐ近くに地獄の鬼さえも裸足で逃げ出すほどのあい…


愛紗「何か言いましたか? 」


いいえ!何も言っていません!


愛紗「そんなことよりご主人様!!! 」


一刀「はぃ… 」


一刀は脅えていた。


愛紗「前にも言いましたね。無茶を許すのは前の時までだと(其の参 参照)、今日という今日は許しませんよ!!! 」


愛紗の怒りが一刀にふりかかるが、ここで一刀に救いの女神が現れた。


黄忠「あのぅ、話は娘から聞きました。ありがとうございます。つきましては… 」


とここで一刀がいつものごとく!


一刀「巨乳ちゃ〜ん! 」

黄忠に飛びかかったが、お馴染の…


ドカンッ!★彡


愛紗のゲンコツをくらって倒れてしまった。


黄忠「娘を助けてくれた礼としてあなた達の仲間に加えて下さい 」


これにはみんなが驚いた。


紫苑「あなた達の仲の良さ(?)に惚れました。必ずあなた達の役に立ってみせます。これからは真名の紫苑とお呼びくださいご主人様 」


ボロボロの一刀が答える。


一刀「ありがとう。紫苑!」


とここで


趙雲「うむ、では私は(あるじ)と呼ばせてもらおうか 」


一刀は?を頭に浮かべる。


一刀「なんで? 」


趙雲は答える。


趙雲「大陸をほとんど見てきたが主力となるのは魏・呉・そしてあなた達ならば… 」


星「一番(からかいがいが)であるあなた達の仲間になろうと思いましてな。これからは真名である(せい)とお呼びくだされ主よ 」

ちょっと何か引っ掛かるが来る者は拒まない性格の一刀は


一刀「よろしく、星! 」


こうして北郷軍に新しく星と紫苑と璃々が加わった。更にこの後にさっきの怒りが爆発した愛紗に一刀がボコボコにされたのは言う間でもない。


一刀がボコボコにされている間、他の仲間が袁紹軍の相手をしてほとんど袁紹軍は全滅したが、しかし残念なことに袁紹達(麗羽、猪々子、斗詩)の行方がわからなくなってしまったのが少しおしいが。


それでも一刀達は世界を平和にするために旅を続けるのであった。


ようやく無印の北郷軍が出揃ったところで次回は本編とは関係ない番外編をします。


舞台は江戸時代です。

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