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メカニカル☆ウィッチ  作者: 星乃祈
第6章「運命は誰の手に」
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第84話「衝撃の決着!?」



 ——俺は今でも美月と出会ったあの日のことを覚えている。 ああ、そっか……俺はきっとあの日、美月に……。


(——あれ……? あの子……)


 今年の四月、メカニカルウィッチ研究所のテロ事件が起きた日に、焔は初めて美月のことをテレビ以外で直接目にすることになった。そして後で聞いたが、美月もその日、焔を目にしていたらしく、この日が二人が出会った日になった。

 そんな美月は、二大チャンピオンバディの麗とウラノス、それからネオンとネプチューンのバトルの映像を見て、周囲にいた皆が笑顔になる中、一人だけ悲しそうな表情をしていた。

 焔はそんな美月のことがどうしても気になってしまい、さらにその後、彼女が涙を流したのを目にして、自分も胸が張り裂けそうになった。

 しかし結局、どうすることもできず、その日の夜になってもそんな美月の姿が頭から離れなくなって、悶々とすることになった。


 それからその数日後、メカニカルウィッチ学園の入学式の日に、焔は再び美月と再会した。

 しかし先日の弱気な素の性格が出ていた美月と、明日斗博士の娘として相応しい振る舞いをする強気なお嬢様の様な性格になっていた美月を、最初は同一人物だと結びつけることができなかった。

 

 だけどその後、入学式の日の始まりのウィッチバトルをした際に、美月が周りから明日斗博士の娘としてしか扱われずに苦しんでいるのを見て、彼女が先日の子だとと言うことと、悲しそうな表情をしていた理由に気づくことになった。

 美月がその立場故に、本当はバトルが好きなのにも関わらず、バトルにあまり良い思い出が無いことを知った焔は、直ぐに自分の力不足で良いバトルにできなかったことを謝った。

 それから次こそは良いバトルをしてみせると誓った。


「——ありがとう……ございますわ、焔……!」

「……!!」


 すると美月は初めて笑顔を見せてくれた。

 目に涙を浮かべ、泣き笑いに近い形だったが、それでもとても綺麗な笑顔だった。


 それからと言うもの、美月にはきっと笑顔が一番似合うと思った焔は、そんな彼女が悲しそうな顔をしないで済む様に、笑顔になれる様に、頑張る様になった。

 美月と友達になって、実習授業の二対二対のタッグ戦を一緒にしようと提案して、作ったばかりのチームオールスターズに誘った。

 

 だけど良いことばかりでは無かった。美月のことを狙う正体不明機(アンノウン)……その正体は彼女の亡き母の相棒であるクリサリスの彼の果てのネメシスに襲われることになった。


「——わたくしの命が欲しいなら、わたくしだけを狙いなさい! だから……!」


 その際に美月のことを助けようとした焔は、逆に彼女から命を救われることになった。

 その後美月は自分のせいで巻き込んでしまったと謝っていたが、焔はそんなこと無いと思った。だって悪いのはあくまでも襲って来たネメシスで、美月は逆に自分たちのことを助けようとしてくれたのだから。


 それからも美月にはいろいろと助けられることになった。

 最初の学園リーグ戦で、御影とカロン、それから歌とピスケス相手に、タッグ戦を行うことになった際には、足を引っ張った自分のカバーをして貰った。

 その次の学園リーグ戦……自分はじゃんけんに負けて出れなかったが、チーム戦で王牙とレオのキングレオが暴走した際には、助けてに入った筈の自分が逆にまた命を救われることになった。


 だけどそんな美月も過去のトラウマにより今も尚、苦しんでいることをリンから聞くことになった。

 

 美月の過去を知った焔は、明日斗博士の娘として周囲から過剰なまでの特別視を受けて孤立していた美月の隣に立つ為に、先輩たちに特訓をつけて貰うことにした。

 そしてその甲斐もあって、学園リーグ戦で美月とサターン相手に引き分けることができた。

 そのバトル後、美月は焔に素の性格のことを打ち明けてくれた。その際に焔も実は最初から気づいていたことを打ち明け、美月が悲しそうな顔をしなくて済む様にこれからは自分がずっと側にいると誓った。


「——ありがとう、焔……! 約束ですよ……!」


 すると美月は天使の様な満面の笑顔を見せてくれた。

 それを目にした焔は自分の気持ちを率直に伝えたい。


「……!! やっぱり、美月には笑顔が一番似合うね! 俺、美月のこと大(・)好(・)き(・)だよ!」

「ふえっ……!?」


 この時はまだ自覚していなかったけど、自分はきっとこの時にはもう既に美月のことが好きだったんだと思う。

 多分、好きになった大きなキッカケは、入学式の日のウィッチバトルで美月の笑顔を初めて見た時だったのだろう……。

 でも本当のキッカケは美月と出会ったあの日に、彼女の姿を見かけた時なのだろう……。ある意味一目惚れの様なものだったのだろう……。


 だけど焔は長らくlike(好き)とlove(愛)の区別が分からずにいた。相棒のマーズや家族である父と母、それから幼馴染の冬馬や小春、その相棒のマーキュリーやジュピターに対する好きと同じものだと思っていた。

 それでも美月に対する好きは、他の皆に対する好きとは、なんとなく違う様に感じていた。


 六月に起きたメカニカルウィッチ学園での事件の際に、美月が死にかけて一ヶ月間意識不明になった時は、世(・)界(・)の(・)全(・)て(・)が(・)灰(・)色(・)に(・)な(・)る(・)く(・)ら(・)い(・)に(・)毎(・)日(・)が(・)辛(・)い(・)日(・)々(・)に(・)な(・)っ(・)た(・)。

 その後、回復した美月と一緒に行った海では、水着姿の彼女を見ていろいろとドキドキさせられた。その日の夜に見た花火ショーでは、美(・)月(・)の(・)方(・)が(・)花(・)火(・)よ(・)り(・)も(・)煌(・)め(・)い(・)て(・)い(・)る(・)と思った。


 そして焔は、輝が思わず明かした美月への想いと、その直後に美月の声を聞いて感じた自分の想いによって、自分のこの美月に対する好きの正体を自(・)覚(・)し(・)た(・)。

 今まで知識としては知っていたが、like(好き)との違いが良く分からなかったlove(愛)の意味をようやく理解することができた。


 ——ああ、そっか……俺(・)は(・)美(・)月(・)の(・)こ(・)と(・)が(・)好(・)き(・)な(・)ん(・)だ(・)……。 そしてこの好きが、他の皆に対するlike(好き)とは違う、美月にだけ感じるlove(好き)なんだ……。 この想いを自覚してしまった以上、俺は美月のことが好きな輝先輩にだけは絶対に負けたくない……負ける訳にはいかない……! 俺は輝先輩たちに勝って、美月にこの想いを……いや、決勝戦直前は流石に不味いから……決勝戦で美月たちに勝ってから、好きだって伝えるんだ……!



*****



「——マーズ! 俺、この準決勝戦は絶対に勝ちたいんだ! 輝(・)先(・)輩(・)た(・)ち(・)に(・)だ(・)け(・)は(・)絶(・)対(・)に(・)負(・)け(・)た(・)く(・)な(・)い(・)ん(・)だ(・)!」

「大丈夫よ、焔君! ちゃんと分かっているわ」

「いや、ごめん、マーズ。 ハッキリ言って、かなり個人的な事情が混じっているんだ……」


 焔は輝たちに勝ちたいと言う理由に、私情(美月)が入りまくっていることから、マーズに申し訳なさを感じていた。

 ……とは言え、相棒に隠し事などしたくないので、正直にこの気持ちを明かすことにした。


「俺、やっと気づいたんだ……美月のことが好きだったんだって……だから……」

「キャアァァァァァァァァァァッーー!!」


 するとマーズは急に黄色い悲鳴を上げた。

 焔が思わずビクッとしていると、マーズは早口で話し始めた。


「あのlike(好き)とlove(愛)の区別がついていなかった焔君が、ついに好きな子(美月ちゃん)への想いを自覚したのねッ!! お姉ちゃんはこの瞬間をずっと待っていたのよッ!! だって側でずっと見守っていたけど、あまりにも焦った過ぎて、そろそろ背中を蹴飛ばすことを視野に入れていたんですものッ!! だから安心して、焔君ッ!! お姉ちゃんが焔君の恋を絶対に叶えて上げるからッ!!」

「う、うん……」


 姉のマーズなら反対することは無いと思っていたけど、ここまでの熱量で応援されるのは流石に予想外だった。……とは言え、素直に嬉しかった。


「さあ、行くわよ、焔君ッ!! まずはこの準決勝戦で輝君たちに勝って、その次の決勝戦で美月ちゃんたちに勝って、焔君のその想いを美月ちゃんに伝えるのよッ!! 大丈夫、お姉ちゃんに任せなさいッ!!」

「うん、マ(・)ー(・)ズ(・)姉(・)ち(・)ゃ(・)ん(・)!」

「「——シンクロゾーン!」」


 焔とマーズは、煌めきな強さを持つ輝とヴィーナス、それか美月とサターンと言う、バトルの面だけでは無く恋愛の面でも目の前に立ち塞がる大きな壁を乗り越える為に、シンクロゾーンを発動させた。

 シンクロ率が百パーセントのその先へと至ったことで、人間である焔の赤い瞳にも、マーズの紫の色が混じり合った。

 文字通り二人で一つの存在となった焔たちは、まだ屋内にいる輝たちを倒す為に、自分たちの最強のマジカルスキルを発動させた。


「「マジカルスキル! マーズファイア! +(プラス)マーズバースト! +(プラス)マーズブラッドムーン! 合体マジカルスキル! マーズブラッドムーン・月食(げっしょく)!」」


 ブラッドマーズはブラッドロッドからマーズファイアを放ち、さらに反対のマーズステッキからもマーズバーストを放つと、その二種類と自身のものを合わせた三種類の炎が合体した、太陽の如き赤い月を生み出した。

 このまま屋内諸共ノーブルヴィーナスを消し飛ばそうとするが……。


『『マジカルスキル! ヴィーナスバスター!』』


 するとブラッドマーズが吹っ飛ばされて来た壁の穴から、六つの巨大なビームが飛んで来て、マーズブラッドムーン・月食(げっしょく)の核を撃ち抜いた。


「くっ……!?」

「しまっ……!?」

 

 それにより大爆発が起こり、あまりの衝撃にバトルフィールドはおろかスタジアム全体が揺れ、観客席を守る特別なマジカルバリアも激しく点滅していた。


『くっ……! 僕としたことが焔君(恋敵)に塩を送ってしまった……! こうなったら、何がなんでも焔君には負ける訳にはいかない! ヴィーナス!』

『大丈夫ですよ、マスター……! も(・)し(・)も(・)の(・)時(・)は(・)ヴ(・)ィ(・)ー(・)ナ(・)ス(・)が(・)隣(・)に(・)立(・)ち(・)ま(・)す(・)の(・)で(・)……!』


 すると屋内から現れたノーブルヴィーナスが、展開した四機のノーブルM(マルチ)ウィング改と一緒に、連携攻撃を仕掛けて来た。


「俺だって、輝先輩には負ける訳にはいかないんです! マーズ姉ちゃん!」

「大丈夫よ、焔君ッ!! お姉ちゃんに任せておいてッ!!」

「「マジカルスキル! 炎の剣! そして、マジカルスキル! マーズクラフト!」」


 ブラッドマーズはブラッドロッドとブラッドステッキの先端に、炎の剣を発生させた。

 そして続けてマーズクラフトで作り出したトランポリンを使って一気に上空へと飛び上がることで、ノーブルヴィーナスのの攻撃を回避した。


「「マジカルスキル! 炎の翼!」」


 さらとブラッドマーズは、輝たちの飛行魔法対策に用意していた魔法で、背中に二対の炎の翼を生やした。

 だがこれで終わりではない。


「「+(プラス)マーズクラフト! 合体マジカルスキル! マーズクラフト・不死鳥(ふしちょう)! そして、合体マジカルスキル! マーズクラフト・紅(くれない)!」」


 ブラッドマーズはマーズクラフトで作り出した巨大な翼と剣のそれぞれに、炎の翼と剣を纏わせることで、巨大な炎の翼と剣を作り出した。


 そしてブラッドマーズとノーブルヴィーナスは、屋外にある実寸大のロケットのモデルとその発射上のレプリカの前で激突した。


「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッーー!!」」

『『うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッーー!!』』


 焔たちと輝たちの、この準決勝戦と決勝戦に勝って、相棒と一緒に高校生チャンピオンバディになりたいと言う想いがぶつかり合う。

 それから焔と輝の、好きな子(美月)に告白するのは自分だと言う想いがぶつかり合う。


「焔ー! マーズー! それから輝先輩ー! ヴィーナスー! どっちも頑張れー!」

「フッ、どちらも凄いが……まだまだこんなものじゃない筈だ……!」

「そうだよ! 焔もマーズも! 輝先輩もヴィーナスも! どっちも負けるなー!」

「う、うん……! どっちもファイトだよ……!」

「焔ッ!! 輝ッ!! やはり貴様らは、さっきから何かとんでもないことを口走っているだろうッ!! ええい、何故か絶妙に聞き取れないッ!!」


 するとそんな両者の耳に、観客席にいる同じチームオールスターズの冬馬とマーキュリー、それから小春とジュピターの応援が聞こえて来た。さらに好きな子(美月)の相棒兼兄のサターンの怒鳴り声も。

 それだけじゃない。同校の生徒会メンバーや他校のライバルたちの応援も聞こえて来た。

 そして……。


「——焔ー! 輝先輩ー! それから、マーズー! ヴィーナスー! わたくしに貴方たちの勝利する姿を見せて下さい!」

『「……!!」』


 好きな子(美月)の応援が聞こえて来たことで、焔と輝のテンションは最高潮になった。

 ブラッドマーズとノーブルヴィーナスもそれに連動する様に、激しい攻防を繰り広げながら上空にある月のレプリカ目掛けて上昇して行く。


「輝先輩!」

『焔君!』


 そして両者は月のレプリカの元へと辿り着いた。


 そんな中、焔は今自分が絶好調になっているのを感じていた。

 多分今なら、今までの自分たちの限界であるマジカルスキルの四つ同時発動を超えた、人間の限界と言われている五(・)つ(・)同(・)時(・)発(・)動(・)ができる気がする。


「マーズ姉ちゃん! 輝先輩とヴィーナスは煌めき強い! だけど今の俺とマーズ姉ちゃんの煌めきなら、きっとそれを超えられる気がするんだ!」

「その意気よ、焔君ッ!! その為にももっともっと限界を越えるわよッ!!」


 ブラッドマーズは一旦、マーズクラフト・不死鳥(ふしちょう)とマーズクラフト・紅(くれない)を解除した。


「「マジカルスキル! マーズクラフト!」」


 それからマーズクラフトで足場と壁を兼ね備えた、簡易的な空中要塞を作り出した。

 良し。これで準備は整った。


「行くよ、マーズ姉ちゃん! ト(・)リ(・)プ(・)ル(・)合(・)体(・)マ(・)ジ(・)カ(・)ル(・)ス(・)キ(・)ル(・)の(・)そ(・)の(・)先(・)へ(・)!」

「ええ、焔君! お姉ちゃんに任せなさい!」

「「マジカルスキル! マーズファイア」」


 ブラッドマーズは手始めにブラッドロッドにマーズファイアを灯した。


「「+(プラス)マジカルスキル! マーズバースト!」」


 次にブラッドステッキにマーズバーストを灯す。


「「+(プラス)マジカルスキル! マーズブラッドムーン!」」


 そしてその二種類の炎と自身の炎を組み合わせた三種類の炎を合体させた、太陽の如き赤い月を生み出した。

 ここまではマーズブラッドムーン・月食(げっしょく)と同じだ。

 しかし……。


「「+(プラス)マーズブラッドサイス!」」


 ブラッドマーズはさらに、マーズブラッドムーン・月食(げっしょく)を核に、四種類の炎が合体した、機体のサイズを優に超えた超巨大な太陽の鎌を作り出した。


「「合体マジカルスキル! マーズブラッドサイス・日食(にっしょく)!」」

『四つ合体……!』

『クアドロ合体マジカルスキル……!』


 空中要塞の中から現れた太陽を目にした輝たちは驚愕の声を漏らしていた。

 それでも微塵も臆してはいない様だった。流石は高校生チャンピオンバディだ。


『流石だよ、焔君! マーズさん! 君たちの進化には本当に果てがない! だけど、それでも僕たちは絶対に負けない……! ね、ヴィーナス!』

『はい、マスター……! 高校生チャンピオンバディになるのは……いえ、こ(・)の(・)世(・)で(・)最(・)も(・)お(・)似(・)合(・)い(・)の(・)二(・)人(・)に(・)な(・)る(・)の(・)は(・)ヴ(・)ィ(・)ー(・)ナ(・)ス(・)た(・)ち(・)で(・)す(・)か(・)ら(・)……!』

『『マジカルスキル! ヴィーナスノーブルゲート!』』


 するとノーブルヴィーナスはノーブルM(マルチ)ウィング改で光の門を作り出した、そこにノーブルガンソード改のビームを打ち込み、その威力と数を増大させた攻撃を放ち、さらにヴィーナスフォーリンエンジェルの白い翼のスピードと黒い翼とパワーを込めた。


 そして月のレプリカの目の前で、両者の最強のマジカルスキルが激突した。


「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッーー!!」」

『『うおぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッーー!!』』


 究極の炎と無限の光がぶつかり合った衝撃で、バトルフィールドにあるレプリカが消し飛び、さらに観客席を守る特別なマジカルバリアもまるで今にも壊れそうな程に激しく点滅していた。

 そんな中、その衝撃と観客席の大観声によってスタジアム全体も大きく激しく揺れていた。


 ——そしてそのぶつかり合いを制したのは……。


「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッーー!!」」


 ヴィーナスノーブルゲートを打ち破ったブラッドマーズが、マーズブラッドサイス・日食(にっしょく)でノーブルヴィーナスにトドメを刺そうとした。

 しかし……。


「ーーッ!? いない……!?」

「嘘……!?」


 何とノーブルヴィーナスの姿が消えていた。

 焔たちは思わず焦った声を上げる。


 ——その次の瞬間。


『『マジカルスキル! ヴィーナスセイバー!』』


 いつの間にかブラッドマーズの背後へと回り込んでいたノーブルヴィーナスが、ノーブルガンソード改の先端に発生させた光の剣で切り掛かって来た。


「くっ……! だけど……!」

「まだよ……!」


 それでも焔たちは事前の予習でそのパターンを知っていたこともあり、咄嗟に対応しようとした。


 ——その時だった。


 観(・)客(・)席(・)を(・)守(・)る(・)特(・)別(・)な(・)マ(・)ジ(・)カ(・)ル(・)バ(・)リ(・)ア(・)が(・)粉(・)々(・)に(・)砕(・)け(・)散(・)っ(・)た(・)。


『『「「ーーッ!?」」』』


 前代未聞の状況に両者は思わず機体を急停止出させた。


 するとそんな両者の耳に、この光景を目にしたMCのステラの混乱する声が聞こえて来た。


『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ〜〜!? これはまさかまさかの予想外の展開……!? まさか特別なマジカルバリアがバトルの衝撃に耐え切れないなんて……!? ん? え〜と、たった今届いた運営からの連絡によると……両者は安全の為に、そのままバトルの手を止めてだって! それからこの試合をどうするかの審議を行うので、ちょっと待っていて欲しいんだって!』



*****



「——まさかこんな展開になるなんて……」

「……全く、焔と言い輝と言い……二人に引っ張られたマーズと言いヴィーナスと言い……皆熱くなり過ぎだ……」

「……確かに、あまり良く聞こえませんでしたが……それでも焔たちも輝先輩たちも何かいろいろ叫んでいましたからね……」


 観客席から焔たちの試合を見ていた美月とサターンは、そんな感想を口にしながら、この試合の結果がどうなるのかを待っていた。

 するとそんな美月たちの耳に、MCのステラの声が聞こえて来た。


『え〜と、皆お待たせ☆ どうやら運営の審議が終わったみたい☆ それでこの試合の結果なんだけど……輝君たちが押していたとは言え、焔君たちも負けていなかったし……何より決着が付く前に中断してしまったから、過(・)去(・)の(・)最(・)初(・)の(・)世(・)界(・)大(・)会(・)で(・)起(・)き(・)た(・)事(・)例(・)を(・)試(・)み(・)て(・)、(・)再(・)試(・)合(・)じ(・)ゃ(・)な(・)く(・)て(・)両(・)者(・)を(・)決(・)勝(・)戦(・)へ(・)と(・)進(・)め(・)る(・)み(・)た(・)い(・)☆』

「焔たちと輝先輩たちを……!?」


 まさかの結果に、美月は思わず独り言の様に叫んだ。


『え〜と、その理由は……どうやら再試合をしても普(・)通(・)の(・)バ(・)ト(・)ル(・)フ(・)ィ(・)ー(・)ル(・)ド(・)じゃ同じ結果になる可能性が高いみたい☆ だから決勝戦でのみ使用される特(・)別(・)な(・)バ(・)ト(・)ル(・)フ(・)ィ(・)ー(・)ル(・)ド(・)……『擬(・)似(・)宇(・)宙(・)』で白黒つけて貰うらしいよ!』


 その発表に観客席が大観声を上げる中、ステラがマイクを片手に大きな声で宣言した。


『……と言う訳で、今年の全国大会高校生の部の決勝戦は前代未聞☆ 輝君とヴィーナスちゃんに焔君とマーズちゃん、そして美月ちゃんとサターン君による、三つ巴の決勝戦で行うみたいだよ☆』


 

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