防波堤の上で
階段を上ると防波堤の上にでる
そこは歩いたり座ったりできるように余裕がある
長い道のようになっていて 海と陸を分けている
海のほうに足を投げて座る
ぼ~と焦点の合わない目をして動く波を眺め風に吹かれていると
心をぎゅっと縮めていた何かがゆるんで
ゆっくり呼吸できるようになっていく
余裕ができたのか周りの風景に色が戻り人が戻る
あら 結構たくさん人がいる
同じように海を眺める人 数人で話し笑う人たち
結構たくさん居たんだ
心を閉じていると、自分が見たいもの聞きたい声だけにして自分を守っているんだきっと
緩めた気持ちと心の変化
自分でも不思議
頭を回しきょろきょろしてみると
ほとんどの人が海の方に身体をむけて座った入り立っていたり
知ってる顔もある気がする
日頃人と関わらないから名前を知らない人たち
知ってる人がいた
けんちゃん? 両親?
思わず声がでた
「けんちゃん、探したんだよ 家も閉まっていたし…」
声でけんちゃんだけ色が戻った?
「ふゆ」
そうだ、けんちゃんだけは私をふゆと呼び捨てだ
ふわふわしたつかみ所がない感覚があるけど
ともかくけんちゃんに会えてよかった安心した
「そうだよ、ひさしぶりだね、心配したよ」
会えてよかった、笑顔を取り戻した
波にのまれ変わった街並み大人たち
自分を守って心を閉じていたから自分が笑っていることが嬉しいんだ
立ち上がってけんちゃんの側へ行く
「目がなくなってるぞ、歯を出して笑え、線が三本 ニコニコマークと間違う」
「えへへ」
いつものけんちゃんだ 良かった




