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無題  作者: いしの riko
3/8

避難所で二泊

避難所で目を覚ます

床が固い、何だかあちこちいつもと違う

大人はもっとそうみたい、腕を回して首を左右にコキコキ音が聞こえそう

背中を伸ばして座り「おはよう」

じっと見ていたのを気づかれ目をむいて「おはよう」

「朝は暖かい汁がでるそうだ、もらってくるからここでおかあちゃんとまってて」

コクンと首を傾け「うん」と言う

「はい」でしょと頭をなでながら言われた

笑顔で「はい」返事する


まるく膝を寄せあい配給された食事をとる

 「いただきます」

家族が一緒にいるだけで幸せ

「お~い、おはよう」と声がかかる

おじちゃんの声だ

「にいさん、ねえさん、寝られたか?」

「おお、ありがとう大丈夫だ」とおとうちゃん

「俺が抱いてるから、食事をとって」と、弟を抱き取りながら、「前日に会社へ荷物を運んだから大丈夫だったけど、独身寮はほぼ全壊なので会社に泊まった」

「あんたも大変だったね」とおかあちゃん

おかあちゃんは長女でおじちゃんは弟、ほかに2人の妹がいる。


おとうちゃんを見ながら軽く頭を下げるおじさん

実の兄のように接するおじさんに信頼を寄せるおとうちゃん

「食事は?」

「社食で食べた、波が届かない所はいつも通りだ」

「そうか安心した」

「今日は有給とったから手伝う」

「ありがとう」


昨日泥の中から掘り出した運動靴を履いた

今度はおとうちゃんが弟をおんぶ紐で背中に背負う

歩きながら話す大人のちょっと後ろからついていく

周りを見ながら、昨日は余裕がなかったから見えても見てない周囲の様子

見ようと思わないと見ていても頭には入ってこないのかな

台風の爪痕に気が付いた


夜も干したままの家具たちが乾いてた

日陰に干していたテレビ、

元通り写るかな~

「おはよう」

「おはようごさいます、会長さんとこは大丈夫でしたか?」

「ありがとう、海から遠かったから助かった。

町内会へ連絡があって この辺りの消毒は午前中にできるそうだ、家の床下も消毒するから」

「助かる、床下が乾いたころに来てくれるとありがたい」

「岸さん、凄いね。ほとんどの家は今日から片付けだ、放心状態でぼ~として我に返ったのが今日という人が多。台風が去ったすぐから動いて片付けができてる」

「ありがとう」と言葉少なく笑顔で答えるおとうちゃん


泥を洗い流した庭の草は元のようにぴんと立ち上がり葉の上にはバッタ。

しゃがんで大人たちの話を聞きながら緑の羽や長い後ろ足にみとれてる私。


「ふゆ子、チリトリとホウキなんかを使って残った小さいゴミを集めてくれるか」

「わかった、とうちゃん」

バッタをあきらめてお手伝いを選ぶ


干してある建具たちを裏返したり、痛みなど具合を確かめて話し合う大人たちを目の隅にとらえながらちっちゃい庭の変なゴミを拾う

干からびた海藻?ちっちゃい魚?ゴロゴロ石?


電気が通ったみたい、避難所で見たお知らせ通りだ


部屋の裸電球もきれいに洗って元の場所

紐を引っ張るといつものように白っぽい光が灯った

乾いたテレビを繋いでみる、みんなが見つめる目の前で画面が生き返った、この時は知らなかったけど、多くの家では泥にまみれたまま捨てたという

波が引いてすぐ洗ったりしたからか中まで壊れない前に手が打てたようだ


消毒をする保健課の職員が来るまで一休みすることに、おかあちゃんが避難所からお茶と湯呑をもらってきた泥を落として拭き上げた縁側 みんなで並んで一休み 

あんぱん一個を四つに割って食べる、ちっちゃいけど四分の一もらった 

大人とおんなじニンマリ

「ゴミ拾い終わったから遊んできていい?」


「いいけど、まだ町内じゅう片付けしてるから邪魔しない、ケガしない、約束」


わかった「約束」

「行ってきます」


まずけんちゃんとこ行こ

「けんちゃん、あそぼ」

家の前で声をかける 

なんだか家全体が静かになって、時間が止まっているみたい。

しばらく待ったけど、そのままにして歩く

いつもの原っぱ

泥にまみれた家財などが山積み

一時置き場と札がたってる。

漢字は好きだ、みると意味が何となく浮かぶ


仕方ない、今日は家で遊ぶことにしよう。

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