表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/25

Side:ハル 2

――くれないちぎりのあとの、よる


しずかだった。


かぜおとも、おとも、ぜんぶ、とおくにいってしまったみたいで。

ぼくは、ちいさなのそばで、信長のぶながよこに、そっとすわっていた。


ひとさしゆびつめる。


まだ、すこし、あかい。


がまじったところ。あのとき――信長のぶながが、

「これが、わしとおぬしのくれないちぎりじゃ」ってってくれた。


ちぎり”って、よくわからない言葉ことばだった。


でも、さわったがあたたかくて。

そのが、ずっとはなれなかったから――わかった。


“これで、ひとりじゃない”


……そうおもったのに、こわさは、まだある。

さっきの“かぜ”も、“ひかり”も。

なんでるのか、どうやってしたのか、わからない。


だれもおしえてくれなかった。

まれてから、ずっと、そうだった。


「……こわいなぁ」


ちいさく、こえにしてみる。

でもそのこえは、おとにもけて、信長のぶながにはとどかなかった。


むらたちは、またぼくを、こわがるかもしれない。

昨日きのうまでわらってくれたのに、今日きょうからいしげるかもしれない。


でも。


でも――それでも。


ぼくは、あのかおる)を、まもれて、よかった。

あのの「ありがとう」が、

あのよるほしよりも、ずっと、ずっとあったかかった。


「まもったこと、まちがいじゃないよね……?」


今度こんどは、こえさずに、こころのなかだけでいてみた。


そして、よこる。


信長のぶながが、うとうとしていた。

でも、ぼくのは――まだ、しっかり、にぎってくれていた。


ひかりが、ゆびゆびのあいだから、ゆれる。


“これが、ぼくのいる場所ばしょ


そのよる、ぼくは、

はじめて「ねむっても、あさこわくない」っておもえた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ