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044 賢狼エルフィーナ、魔法少女になりたいんだってば!

--------------------エルフィーナの視点。


朝。窓から差しこむ光が、リチャードの寝顔にやさしく降り注いでいる。

……うん、安定の、尊い。これだけで、今日も一日頑張れる気がする。

これは魔法で記録しておくべきか?いや、倫理的にアウトだ。

(でも、あとで絵に描いてノートに挟んでおくのはセーフ。たぶん。)


私は自分の枕元に積まれた“賢狼の手帳(ただの分厚いノート)”を手に取る。

最近、魔法の研究は順調だ。変身呪文の言葉も短縮できたし、スカートのフリルが風になびいても全く負けないようになった。進化ってこういうことだと思う。


「魔法少女エルフィーナ、参上っ☆」とか言って、キラキラの衣装でポーズを決めているけれど──いや、待て、ちょっと待って。


今、私は賢狼エルフィーナなのだ。

誇り高き賢狼、森の守護者としての名を馳せていた、理知的で冷静な存──だったはずだ。


……まあ、魔法少女モードが取れなかったのも、最初に魔法をかけた友達が悪いんだけど。あれからずっと、無駄にリボンとかフリルとかついてるんだよね。仕方ないけどさ。


「この姿が最強だろう?これでこそ、賢狼エルフィーナの誇りを持って戦えるんだ!」


そんな風に自分を納得させてみても、やっぱり自分でも「なんでこうなったんだろう」と思う瞬間がある。


でも……一度リチャードに見せたとき、反応が思った以上にいい感じだったんだよね。だから仕方ない。

あれから、ちょっとやめられない。恋って、そういうものだよね?(強引)


「リチャード、おはよう。今日も魔法の実験をしようか?」

「お、エルフィーナ、魔法の調子はどう?」

「もちろん順調!変身ポーズは完璧に決まるし、狼の魔力も高まってる。問題は……」

「問題?」


「リチャード、こっち見ないで!恥ずかしいじゃない!」


だって、これ、完全に魔法少女が言いそうなセリフじゃない?私は本来、冷静で知的な賢狼なのに。まあ、つい口に出ちゃうあたり、どうしようもない。


「リチャード、私の魔法でサポートしてあげるから。まあ、今度の冒険は少し大きな獲物が待ってるから、力を合わせていこうね?」


軽く手を伸ばして、魔法をこめた風を感じてみる。

風がふわりと私のスカートを揺らす。確かに、魔法少女の風が吹いてるんだよね。

でもまあ、賢狼だし、スカートがあろうがなかろうが関係ないってところは、冷静に保たないと。


……こうしてまた、日々が進んでいく。

まさか、こんな衣装を着ることになるとは思わなかったけれど。

まあ、リチャードが私の魔法を認めてくれて、ちょっとでも役に立ててるのなら──これもありかもしれない。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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