034 反逆の影、王宮の静寂
--------------------ユイナの視点。
王城の廊下を歩いている。足音が響く中、黒いマントの人物の背中を追いながら、私たちはその空気に違和感を覚えていた。華やかだった雰囲気が一変し、周囲には重い沈黙が漂っている。
「どうしてこんなに静かなんだろう?」
ルビーがぽつりとつぶやいた。私も同じ気持ちだった。無音の中、何かが抑え込まれているような不安感を抱えている。
「何かあるのかな?」
クロエが警戒の色を強めてつぶやく。エルフィーナも周囲をきょろきょろと見渡しながら、少し不安そうに私たちに近づいてきた。
黒いマントの人物は、全く気にすることなく歩き続けている。その歩調には迷いがなく、前に進むことに集中している様子だ。
「王の間はもうすぐです。」
黒いマントの人物が低い声で告げる。その言葉が、さらに私たちを不安にさせた。
何かがおかしい。私たちがここに呼ばれたのは、単なる偶然ではない。イベントが動き出している気配がする。私の胸に、ひときわ強くその予感が渦巻いた。
その時、廊下の先に金色の鎧をまとった近衛兵が立っていた。その姿勢には、ただならぬ意志が感じられる。彼の鋭い視線が胸に刺さり、何かが引っかかる。
黒いマントの人物が足を止め、近衛兵を一瞥する。
「お待たせしました。」
近衛兵は無表情で応える。
「これから起こることに手出しはしないでくれ。」
その言葉が私の心に重くのしかかった。
黒いマントの人物は無言で頷き、さらに前へ進むように告げた。
「お前たちがいくら関わろうとも、王宮の運命はすでに決まっている。」
その言葉が、私たちに衝撃を与える。今、ようやく私たちがここに呼ばれた理由が明らかになった。私たちが王宮に足を踏み入れたことで、事態が動き出したのだと感じた。
「反王族……?」
私は無意識にその言葉を口にした。黒いマントの人物はその反応を無視して、さらに先を告げる。
「そう。王族と反王族の戦いが繰り広げられている。」
その言葉が終わると、王の間へと続く扉が音もなく開かれた。
私たちはその先に踏みこむ。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。