001 シルヴァーナのダークでない日常 ~ケーキと感情で忙しい~
本作は、「俺はできそこないの村人Aなんだが、幼なじみのダークエルフの超絶美女が何かと勇者にしようと企んでいる!」のスピンオフ作品です。初めて本作を手に取った方にも楽しんでいただけるよう、工夫を凝らしていますので、どうぞご安心ください。
<シルヴァーナ>
--------------------シルヴァーナの視点。
私はシルヴァーナ。ダークエルフ王国の現当主だ。強いって言われるけど、実のところゴキブリが本気で無理。あれ、どうしてあんなに生き生きしてるんだろう?あれこそが“最強”なんじゃないかって最近思ってる。でもまぁ、あいつらは人類じゃないから、別にどうでもいい話だけど。
よく感情の起伏が激しいとか言われるけど、もう慣れた。今日は突然泣きたくなって、昨日は理由もなく怒ってた。まぁ、正直なところ、理由なんて必要ない。たまにこういう日もあるでしょ?ロウィンは「またかよ」って顔してるけど、私の感情だから仕方ないよね。
結婚してから、いろんなことが変わった。ロウィンと学生結婚して、クロエをお腹に宿した。それって、普通の家庭みたいだよね?でも私は、勇者とかやりたくないし、ヒーローズ・カレッジにも行ってない。だって、世界を救うなんて面倒だし、無理だし、そもそもやる気ないし。今の私は、ただ平穏な日常を望んでる。それが一番。
あ、そうだ、今日も人間界からイチゴのショートケーキが届いた。最初は「なんでこんなもの送ってくるんだろう?」って思ったけど、今じゃこれが楽しみになってる。甘いケーキを食べると、なぜかホッとするんだよね。人間たち、こんな些細なことで「ありがとう」を伝えたくなるのかな?ちょっと変だけど、ま、気にしないでおこう。
でもね、たまに思うんだよね。私、ダークエルフって言われてるけど、全然ダークじゃないよな。むしろ、ケーキに癒やされてる自分、完全に普通の主婦だし。ダークエルフなのに…これじゃ全然「闇」の力を感じないよね。たまには冒険でもしたいなって思うけど、きっとすぐ飽きちゃうから、そんなもんだよね。
今はケーキで十分幸せだから、世界を救うとか、そういう面倒くさいことは完全に無視。だって、今はケーキとお昼寝が最高の幸せなんだもの。あ、でも、このケーキ、イチゴの配置がちょっと偏ってるな。次はフルーツのバランスをもっと考えて欲しいな、とか、そんなことを考えてみたりして。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
世界が滅んでもいいと思った方も、「いやいや、世界を救えよ!」って思った方も、評価していただけたら、嬉しいです。