弱った心にメープルシロップかけて
皆さまごきげんよう、ひだまりのねこですにゃあ!
小説投稿サイトって便利ですよね。ユーザー登録すれば誰でも書き手になれるし、多くの利用者に向かって無料で発信することが出来ます。有名なプロの作家とだって立場上は肩を並べることも出来るし、相手次第ではあるけれど、交流することだって夢じゃない。
私もそんな場所に救われた存在だから感謝しているし、最高の居場所だって思ってる。
でもね、どんな場所でもそうだけど、やっぱり光もあれば影もある。そして輝きが強ければまた影の暗さも深くなるんだよね。
小説投稿サイトって楽しいこともたくさんあるけれど、辛いこと、苦しいことだってたくさんある。
これでも私なりに四年間活動して来たし、その過程でたくさんの書き手の皆さまの苦悩を見てきた。
この間ね、二年くらい前に参加した自主企画の参加メンバーを確認したら半分くらい居なくなっていたことにショックを受けたんだ。でもそれがこの場所の現実でもある。悲しいことだけどね。
熱を持って突き進んでいる時はいい、前しか見えず希望と可能性を信じてただ楽しさと欲求に従って一心不乱に書き続けることが出来ている時はいい。
やがて同じ書き手仲間が出来て一緒に企画をやったり切磋琢磨するなんて最高だよ。そんなのリアルじゃ滅多に経験出来るものじゃない。お金なんかじゃ買えない、時間すら要らない、感覚で魂で理解し合える仲間を得た時、それはきっと小説投稿サイトにおける一つの到達点なんだろうなって思う。書籍化やプロになることも一つの到達点かもしれないけど、それは小説投稿サイトじゃなくても出来ることだから。
でもそんな仲間がいるならなんで辞めてしまうのかって思うかな?
それはね、仲間であると同時にライバルでもあるからだよ。
心から尊敬しているからこそ負けたくないって思うんだ。
私が相手に対して思っているように、私も同じような存在であり続けたいって思ってしまう。
嫌われたくないのと似てるけどちょっと違う。相手がそんなことで自分を嫌いになるなんて思ってない。だけど自分が許せない。不甲斐なくて情けなくて、出来ない自分に情けなくなる。
仲間は大切で力をくれる存在。
ボロボロになってもう一歩も動けないって、そう絶望している時だって立ち上がる力をくれる。それくらい大事な――――涙が出るくらいありがたい存在。
応えられる間はいい、でも、だからこそ無理をしてしまう。とっくに限界を超えているのに頑張って――――その先に待っているのは――――絶望。
期待に応えられなかったという絶望、私なんかのために足を止めさせてしまったという申し訳なさに打ちひしがれてしまう。みんなそんなこと気にしないってわかってるけど、どこまでも優しい人たちだって知ってるけど、だからこそ辛い。苦しいんだよ。
読まれなくたって評価されなくたって耐えられる。酷いこと書かれたってそれは自分のことだから受け止められる。リアルの辛さに比べたらそんなもの蚊に刺されたほどにも感じない。
でもね、大好きで大切な人たちを悩ませたり困らせたり負担をかけていると感じることには耐えられない。だから無理を重ねてしまうんだよ。
自分はもっと出来るはず
もっと書きたい、もっと描きたい。
交流もしたい、楽しくお話もしたいし、皆のお話を読んで感想やレビューを書きたい。
いただいた感想は宝物のように大切にしたいし、心を込めて作品を書くつもりで丁寧に返信したい。
企画を主催したり、企画に参加したい。
やりたいことが増えてゆくほど出来ないことが増えてゆく。指の間から零れ落ちてゆく。
それはまるで無味無臭の劇薬のように心と身体を蝕んでゆく。
私のことだけど、私だけのことじゃない。
書籍化したから、プロデビューしたから逃れられるわけじゃない。ステージが変わるだけで真面目な頑張り屋さんほど苦しむ呪い。
さらに言えば、理想の自分と現実の自分とのギャップだから、第三者のモノサシは意味をなさない。
まったく――――小説家になろうっていう連中は面倒くさい。
でも――――心から愛すべき連中だ。
だから教えてあげる。
どうやったら私みたいに何度倒れても立ち上がれるのか。
真面目で不器用なアナタにこそ必要なことだよ。
聞きたい?
それはね、自分を甘やかすことだよ。
わかってる、一番苦手なことだよね。それが出来たら苦労しないよね。
でも――――するんだよ。
最初は目分量でいい、弱った心に好きなだけメープルシロップをかけるんだ。無ければ粉砂糖を振りかけたって構わない。
やり方がわからない?
ふふ、簡単だよ。
猫になるんだ。
想像してみて。アナタはモフモフの猫ちゃんで耳と尻尾が生えている。色はお好みで良いからね? (注 鏡を見てはいけません。
早起きして会社に行った。
信じられる? 猫ちゃんだよ? おねむなのに頑張って起きて会社行くなんて偉すぎ!!
もう疲れて帰ってきたら、偉かったね、疲れたでしょ? って抱きしめて甘やかしたくなるよね!!
重いカバン持ってよろよろ歩いてる姿想像しただけで泣ける。
本当は遊びたかったのにうっかり疲れて寝ちゃってる猫ちゃん。
可愛いしかないでしょ。まさか怒ったりしないよね? だって猫ちゃんだし。
休日何もせずにゴロゴロしていた。
大丈夫、だって猫だし。ゴロゴロするのが仕事だし。
うにゃーん……ご飯は何かにゃ?
そんなことを考えつつ微睡む猫ちゃん。
人間だと甘やかせないなら――――猫になればいい。
無理してるなって思ったら、甘やかしてね。
ささやかなティータイムでもいい。美味しいものを食べたっていい。
慣れないうちは目分量でいい。
疲れた心と身体は甘いものを求めてる。
人生は料理と同じ。
辛いだけじゃバランスがとれないでしょ?
弱った心にたっぷりお砂糖振りかけて――――
創作という熱でキャラメリゼすれば美味しいデザートの完成だよ。
大丈夫、どんなに甘やかしたって駄目になんてならない。
そんな人はどうにもならなくなるくらい無理なんてしない。
続けてる人は皆自分なりの甘やかし方を知ってる。
辛さをスパイスに変えるならきちんと甘さも知らないとね。
真面目な頑張り屋さん。
そんな愛すべきアナタに――――どうか届きますように。
幸せな猫ちゃんで世界が埋め尽くされますように。