表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/87

045 崩壊の足音(PART2)

 アルバートの突然すぎる宣言に、俺を含めた全員が困惑していた。

 しかし奴は気にする素振りも見せず、さらに訳の分からない発言を残す。


「どちらがリリアナ様にふさわしい存在か、明日はっきりとさせてやる! 覚悟しておけ!」


「……はあ?」


 そのまま颯爽と退散していく奴を見送りながら、俺は首を傾げるしかなかった。


 当然、教室中の視線が再び俺に集中する。

 するとそこに、リリアナが申し訳なさそうな表情で近づいてきた。


「アレンさん、少々よろしいでしょうか?」


「あ、ああ」


 先ほどのアルバートの発言といい、彼女は何か事情を知っている様子だった。



 その後、俺たちは昼休みと同じ応接室へと場所を移した。

 到着するや否や、リリアナは頭を下げる。


「大変申し訳ありません。恐らく私のせいで、面倒な事態に巻き込んでしまって」


「いったい何があったんだ?」


 俺が尋ねると、リリアナは説明してくれた。


 それは昼休みの話し合い後、リリアナたちが食堂に向かっている時の出来事。

 どうやらそこで、アルバートを含めたAクラス一行と鉢合わせたらしい。

 リリアナがEクラスに入ったことを噂で聞いていた彼らは、すぐさま理由を問いただしてきた。


 その際、アルバートがこう言い出した。



『理解できません! だってEクラスですよ!? リリアナ様が所属するには相応しくありません!』


『そんなことはありませんよ。私は納得して選択いたしました』


『っ! し、しかし、あそこは落ちこぼれの集まり! ダブル・ジョブに目覚めたと大ボラを吹く無能や……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()がいるくらいなんですから! そんな奴らより、俺たちと一緒にいた方が――』


『……今、何と?』


 ヒーラーという言葉を聞いたリリアナは、無表情になる。


『そのヒーラーというのはもしかして、アレンさんのことでしょうか? だとしたら見当違いも甚だしいですね』


『え?』


『アレンさんは勇気に満ちた素晴らしいお方。実力についても貴方とは比較にならないでしょう……私の大切な恩人を侮辱するのは止めていただけますか?』


『っっっ!』


 リリアナの体から冷たい魔力が漏れ、それに押されるような形でアルバートが一歩下がる。

 それを見たリリアナは柔和な笑みを浮かべ直した後、


『この場で私から伝えられることは以上です。それでは、ごきげんよう』


 それだけ言い残し、その場を立ち去った――



 ――とまあ、こんな感じだったらしい。


 それを聞き終えた俺は額を押さえながら、ようやく納得する。

 元々アルバートは原作通りグレイに対して不満を抱いていたが、このやりとりによって俺に対する怒りの方が大きくなったのだろう。


「本当に失礼な方でしたね。殿下の前で旦那さ……こほん、アレン様を侮辱なさるとは。うっかり袖下の短剣を抜くところでございました」


 何やら怖いことを呟いているローズは置いておき、俺はリリアナに向き直る。


「事情は分かった。リリアナは俺を庇ってくれただけだし、気にしないでくれ」


「……ありがとうございます、アレンさん」


 きっかけを作ったのはアルバートなのでそう言うと、リリアナは安堵したような笑みを浮かべる。

 そんな彼女に向けて、俺は付け加えるように告げた。


「ただ、今の話で少し気になったことがあるんだが……」


「何でしょうか?」


「俺の実力についてだ。Eクラスの俺がAクラスの相手に勝てるだなんて、何の根拠があって言ったんだ?」


 そう尋ねると、リリアナはしばらくきょとんとしてから……


「根拠も何も……あの日、アレンさんは悪魔種にトドメを与えましたよね?」


「え?」


「あの戦いで私のレベルは40から45、ローズは51から53に上がりました。そしてあの時のアレンさんの動きから察するに、討伐前のレベルは恐らく10前後。敵のHP的に最後の一押しをしたにすぎなかったとはいえ、魔物の強さと残りの経験値分を考慮すれば、10レベル以上上昇していてもおかしくないはず」


 リリアナは淡々と説明を続ける。


「Aクラスの平均レベルは20程度と聞いていますし、アレンさんならその後も努力を惜しまないでしょうから、間違いなく上回っているのではないかと。そう思っていたのですが……違いますか?」


「…………」


 リリアナの言葉は正しかった。

 バフォール戦で俺のレベルは10→21に上がり、その後も『不死人形』特訓やダンジョン実習で著しく成長している。

 ユーリを除くAクラスの相手なら勝つのは難しくないはず。


 ただ、それを知っているのは現状、ルクシアとユイナだけだと想定していた。

 だけど確かに、あの日の経緯を知っているリリアナからすれば、そこまで予想することは容易だったということだろう。


(さて、どうしたものか……)


 色々と面倒な事態が起きて混乱しそうになるが、とりあえず、直近の問題から片付けようと思考を巡らせる。


 アルバートと俺が戦うことになったのは想定外だが、ワーライガーが二体出現したことや、リリアナが転入してきたことに比べれば軽微な変化だし、まだ修正はきくはずだ。


 そもそも、この交流戦イベントは二段階構成になっている。

 まず初めに、グレイがアルバートに勝利し、周囲に実力を証明する。

 しかし、それだけでは終わらないのが『ダンアカ』が主人公とプレイヤーに厳しいゲームだと言われる所以。


 その後、別の相手に勝利を収めていたユーリから改めて勝負を申し込まれ、グレイはそれを受諾。

 二戦目が発生し、そこでグレイは前回に引き続きユーリに敗北してしまう。

 そうして現在のグレイの立ち位置がはっきりとするのだ。


 ここで重要なのが二つの要素。


 ①グレイがAクラスの誰かに勝ち、実力を証明すること。

 ②ユーリに敗北し、Aクラストップにはまだ及ばないことが明らかになること。


 最悪、この二つさえ守れればいい。

 グレイが戦う相手がアルバートじゃなくなったとしても、そこでしっかりと勝利を収め、その後ユーリに敗北してもらう。

 この通りに進めば、なんとかシナリオが修正できるはず――


「ちなみに、こちらはアレンさんには関係のない話かと思いますが……」


「ん?」


 俺が再び未来への希望を抱きかけたその時、リリアナは告げた。




「私は明日、Aクラス代表のユーリさんと戦うことになりました」




 ……………………



 なんでやねん。



 ◇◆◇



 そして、交流戦当日がやってきた。

悲報:アレンの計画(シナリオ)、また壊れる


【恐れ入りますが、下記をどうかお願いいたします】


ここまで本作をお読みいただきありがとうございます!

本作を読んで少しでも面白いと思っていただけたなら、


・ブックマークへの追加

・画面下の「☆☆☆☆☆」からポイント評価


をして応援していただけると、とても励みになります。

何卒よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

同時連載作品のコミカライズ紹介。画像タップで飛べます!

『ゲーム中盤で死ぬ悪役貴族に転生したので、外れスキル【テイム】を駆使して最強を目指してみた』



i933694
― 新着の感想 ―
多分二年後にはコミックで読めるんじゃないかなって思った
主人公がモブとなっています! 強いはずなのに(笑)
もう駄目だ(シナリオさんは)おしまいだー、 と棒読みが聞こえた気がします 必死にシナリオに戻ろうとしながら ワチャワチャ動き回るのがなんとも面白く読んでます、 思い通りに行かないのがなんともいい感…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ