第一部「夢現の狭間」あるべき場所へ
『あるべき場所へ帰る』
これがあなたの選ぶ終わりですか?
正しいのならば、そのまま物語の幕が降りるのを見守って下さい。
また、既に別の終わりを見届けたのならば…同じように最後までお付き合い下さい。
もし、もう一つの終わりをお選びになるのであれば…ここを立ち去り、あなたが望む終わりを見に行って下さい。
お伝えしたい事はそれだけです。
それでは、最後をお楽しみ下さい。
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Epilogue「あるべき場所へ」
「でも…俺は元の場所に帰るべきだと…思います…」
「何でっすか?」
「確かに報酬は魅力的なんですけど『マーリン』さんが本当に味方かは分からないですし…それでもし『マーリン』さんが悪い人だったら俺達は…こ…殺されちゃうかもしれないじゃないですか…」
それに…
「マーリンさんが良い人でも、『魔法』でどこまで出来るのかも分からないですし…もし『魔法』で俺達の願いを叶えてもらえるとしても…終焉を止めるなんてそんなの絶対に危険じゃないですか!」
「つまり…お前が言いたいのは、不確定な要素が多すぎる上に、夢が叶ったところで死んじまったら意味が無い…ってことか?」
「はい…そうです。それに、ジョゼフィーヌさんを早く病院か家に送ってあげないといけませんし…」
「確かに…お前の言ってることも正しいが…あんたはどうするんだ?」
「あっ!春喜さん、怒らないで下さいね?あの〜…あくまでも起きそうな最悪なパターンを考えておかないと行けないかなぁ〜って思っただけで…春喜さんのことを全否定したかったわけじゃ…」
「僕もやっぱり帰るっす。」
「えっ?」
「確かに流輝君の言う通りっすよね。生きてたらその内に記憶が戻るかもしれないっすけど、死んじゃったらどうにもならないっすよね。」
「そんな…あっさり?」
「あとジョゼさんが心配っす。だから僕も帰るっす。」
「じゃ…じゃあ星次さんは?」
「俺も帰ろうと思ってる。もちろんお前の言ってたことも正しいし…何より、やらないといけないことが俺には残ってんだ。」
「流輝君にも家族が居るっすよね。」
「はい…皆が家で…」
そうだ…
今日は皆で琴美のお見舞いに行く日だった。
お父さんとお母さんはどうしてるかな…
共夜はもう学校から帰って来ちゃってるかなぁ…
「じゃあ…早く帰ってお袋のこと安心させてやらねぇとな。」
「…そうですね!」
星次さんって家族思いだったんだ…
「じゃあ、そろそろ行こうぜ。」
「ジョゼさんは僕が出口まで連れて行くっすよ。」
「はい、お願いします!」
「念の為に俺たちが先頭に立つ。あんたは少ししてからついてきてくれ。」
「OKっす。」
「それにしても…あの怪物はどこから来たんでしょうか?」
「…あっちから来てたみてぇだな。見てみろ、あのドアからここまで濡れた跡がある。」
「あっ、本当ですね…」
「結局あのドアと怪物は何だったんすかね。」
「…さぁな。もうどうでもいいだろ。」
「このドア…やっぱり古いですね…鍵は入りそうですか?」
「あぁ…試してみるか。」
ジョゼフィーヌさんがピッキングで開けようとした時は…バリア?みたいなので防がれてたけど…
「…入ったぞ!」
「じゃ…じゃあ!」
「これで…鍵が開いた。」
「や…やっとここから出られる!」
「大変だったっすね。」
結局…何でこんな所に来ちゃったのかも分からないし…
何もかも分かんないままだったけど何でもいいや!
「じゃあ…さっさと出るか。」
「はい!」
「開けるぞ。」
あぁ…本っ当に大変だっ…!
「たッ!ちょッ!眩しい眩しい!!」
「くっそ!またかよ!!」
「なんか光が強くなってきてるっすね。」
ちょッ!本当に目がヤバいって!
…ってまだ強くなんの!?
「う…うわぁあああぁぁあああ!」
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「眩しッ…!」
あれ?
カーテン開けっ放しにしてたから…
陽の光が当たってたのか…
「う〜ん…何か…」
何か凄い夢見たけど…忘れてる気がする…
「あぁあぁあっ!ちょッ…」
考え事してる時にいきなり目覚まし時計鳴るなよ!
しかも…
こういう時に限ってスヌーズ押しちゃうんだよなぁ!
これ本当に何の為にあるの?
2度寝する為につけた機能?
「おはようお兄ちゃん…ふわぁ〜あ…どうしたの?」
「あぁ〜…何でもない!」
「うっそだぁ〜!めちゃくちゃ慌ててたの聞こえたよ…ふわぁ…ふぉりあえず…1階に下りよ?」
「共夜…めっちゃあくびしてんじゃん…今から学校なのに大丈夫なの?」
「まぁ…大丈夫でしょ…お兄ちゃんは良いよな〜、俺達よりも早く夏休みに入ってるんだもん。」
「いやいや…そんなこと言わないで頑張れって!そっちも明日から夏休みでしょ?しかも、今日は午前中で終わるんだって?」
「うん、そうだよ!でも…面倒臭いなぁ…」
「まぁ…そうだよね…でも、今日は琴美のお見舞いに行くんだし元気出して!ほら、朝ごはん食べに行こ!」
「うん!…ってか…お兄ちゃん何か変わったね。」
「え?何が?」
「何か…前より明るいっていうか…しゃっきーん!っていうか?」
「あっはは…そうかな?」
あれ?
このやり取りどこかで…
「後さ…階段下りる時はスマホしまっといたら?この前落としそうになってたし。」
「あ…確かに……あれ?」
「どうしたのお兄ちゃん?」
「何か…ポケットに入ってるっぽい。」
「2人共起きてる〜?ご飯出来てるよ〜!」
「あっ…俺、先に下りるね!お兄ちゃんも早く来てね!」
「あっ…うん!」
…俺…眠る前に何か入れてたっけ?
「えっ…!?」
こ…これッ!
『流輝さん、手をこちらへ。』
『え…?ど…どうしたんですか?…わっ!?何で手を乗せて…』
『知っていますか?銀の弾丸は邪悪なものを退けるという言い伝えがあるんです。』
『1つだけしか差し上げられませんが…これを持っていて下さい!これは必ずお守りになってくれるはずです!』
『あ…ありがとうございます!でも…俺がこんな貴重なものを…』
『貰っておいた方が良いっすよ。それはジョゼさんが流輝君の為を思って手渡してくれてるんすから。』
『さっさと貰っとけ。これ以上ビクビクされても面倒なんだよ。』
『は…はい、これから先もずっと大切にします!』
「ジョゼフィーヌさんに貰った…銀の弾丸!」
そうだ…俺は…階段を下りる前にこれを貰って!
「あの夢は…違う…あれは…!」
やっぱり…夢なんかじゃなかったんだ…
Ending「崩れ去る日常」
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あとがき
ここまで読んで頂き誠にありがとうございました!
こちらの方でも最後まで投稿が終わったので嬉しいです!
ちなみに、こちらは続きのない終わりですが、もうひとつのエンディングは第二部への続きがある終わりです。
よろしければ、もうひとつのエンディングも読んでみてくださいね!
第二部からは少し書き方が変わりますが、第一部よりは読みやすいと思います!
そして第二部「破滅を照らす者:賢者との出会い」は、第二部を読み進める上で必要な設定の話が多めなので、こちらは一気に投稿するつもりです。
ここまで読んで頂き誠にありがとうございました!
第二部もぜひお楽しみに!
ところで…
銀の弾丸が彼のポケットにお陰で、彼は『世界の終わりに気づけた』のか…
それとも、銀の弾丸のせいで『世界の終わりに気づいてしまった』のか…
いったいどちらでしょうね?