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第一部「夢現の狭間」その1

目次


Prologe「いつもの夜」

第1章「白い天井」

第2章「Vital(バイタル) check(チェック)

第3章「Incomprehensible」

あとがき


Prologe「いつもの夜」

「おやすみなさい、お姉様!」

「はい、おやすみなさい。ジョセ!」

1日のやるべき事を終え、妹と歩きながら最近あった様々なことを話していた。

そして、別れ際に就寝前の挨拶を交わし、自分の部屋へ向かおうとした。

「あの…お姉様!」

私を呼び止める妹の声は少し震えていて、何か不安に近い感情が混ざっている気がした。

「どうしたの?」

「あの事件についてどう思いますか?」

「あの事件というと…神隠し事件や変死事件の事ですか?」

「はい…」

あぁ、そういうことか。

私は妹が何に対して疑問と不安を抱いているのかが分かった。

「今のところは分からないことだらけでなんとも言えませんが…確かにあれは異常な事件ですよね。

世界中のどこかで唐突に発生し、被害者は行方不明になるか、寝床で変死体となって朝を迎えるかのどちらかで…」

「やっぱり分かりませんよね…すみません、こんな意味の無い事を聞いてしまって……」

「そんな事は有りませんよ!分からないことは分からないと誰かに聞かなければ何も進展しないままですし…それに、ここには関係者以外は簡単に入れませんよ!!

もしも、その事件の犯人が入れたとしても、ここに居る皆さんが負けることは無い…そう思いませんか?」

私がそう励ましても、妹はまだ暗い顔をしていた。

「私は…私が寝ている間に…お姉様がその事件の被害者になるのではないかと思うと…怖くて仕方がないんです…!」

「あはは…ジョセは本当に私のことを大切に思ってくれてるんですね!でも、いつも私の隣に居るのですから私がどれくらい強いかわかっているはずですよね?」

「でも…」

「私は絶対に大丈夫ですよ、もちろんジョセと他の皆さんも!だからそんな顔をしないで下さい。さぁ、もう早く寝ましょう、明日も忙しくなりますよ?」

私がそう話すと、妹は少し気が楽になったのか、徐々にいつもの明るさを取り戻していた。

「はい!おやすみなさい!」

「ゆっくり休んで、明日も頑張りましょうね!」

そうやってお互いに微笑み、手を振った。

そして私は、妹の足音が遠ざかって行くのを聞きながら自分の部屋に向かった。

いつもの様に扉を開き、明かりのない部屋の中に入る。

そして、扉に鍵をかけてベッドの上で仰向けになった。

ただ深い意味も無く白い天井を見つめ、眠気が来るのを待っていた。

そして、扉のある方へ寝返りを打ち、明日の事を考えながら一日の幕を閉じた。


第1章「白い天井」

体内時計がいつもの様に朝を告げ、いつもの様に新たな一日の幕を開く。

最初に目に映ったのは白い天井だった。

「……?」

何かがおかしい。

起きたばかりでまだ頭がぼんやりとしているが、私は違和感を感じた。

寝ている間に仰向けになることは別におかしなことでは無い。

そして、仰向けになっているのだから、白い天井が目に映るのは当たり前のことだ。

だが、天井の位置が高くなっているのは明らかにおかしい。

いや…正確には天井の位置が高くなっているというよりも、私の寝ている場所の位置が低くなっていると言う方が正しいのだろう。

被っていた毛布は無く、背中の下にはマットレスの代わりにカーペットが敷かれている。

ベッドから落ちたなら、その時に落下の衝撃で起きるだろうし、綺麗に仰向けになる確率も低い。

そして、その状態で目が覚めたとしても天井と一緒にベッドが視界の端に映るはずだ。

ここは何処だ?

昨晩に妹と話した記憶が鮮明に蘇る。

『私は…私が寝ている間に…お姉様がその事件の被害者になるのではないかと思うと…怖くて仕方がないんです…!』

まさか本当に…?

とても嫌な予感がする。

「ジョセフィーヌ!!」

不安に駆られて妹の名前を叫びながら身体を起こす。

しかし、返事が帰ってくる事は無かった。

妹は巻き込まれていないだろうか?

妹の無事を確かめるためにも、先ずは自分がおかれている状況を把握しなければならない。

そう思い、辺りを見渡したとき、私は戦慄した。

「えっ…!?」

なんとそこには、人が3人も倒れていたからだ。



第2章「Vital Check」

彼等はカーペットの上で、仰向けだったり、うつ伏せだったり、横を向いていたりと3人ともばらばらに倒れていた。

「大丈夫ですか!?」

私は声をかけてみた。

3人とも返事をすることは無かったが、小さなうめき声のようなものが聞こえた。

彼等も恐らく寝ているのだろうが無事だという確証は無い。

急いで彼等の安否を確認しなければ…

胸や背中は正常に上下運動を繰り返しており、呼吸音にも異常は無い。

次に、カーペットに血が染み出ている様子も無く、彼らの服が破れていない所や、頭に打撲痕がない所を見るに、致命的な外傷は恐らくないだろう。

そして、見える範囲内では注射痕なども特に見当たらないため、何かを投与された可能性は低い。

だが、強制的に何かを服用させられたか吸入させられた可能性も考慮しなければならない。

いや…それは無いか?

仮に、そのように強引な手段を用いた場合、ターゲットは必ず抵抗するだろう。

そして、抵抗する過程でどこかしらに掴まれた痕や傷が残るはずだ。

しかし、首や腕にはその様な痕は無い…

ひとまずは…彼等が生きていることを喜ぼう。

そういえば私も何かをされた様子は無いし、いたって普通に眠りから覚めただけだ…

拘束具も監視カメラも見張りも見当たらない…

これは……夢か?

そう思ってしまうほどに今の状況は異常で、意味不明な事ばかりだった。


第3章「Incomprehensible」

先ず、なぜ私達が誘拐されたのか?

もしかすると、彼等も同業者かもしれないが、私が声をかけた時点で起きないということは、その可能性は無に等しい。

ということは、一般人の可能性が高いのだが、そうなると私はなぜ一緒に誘拐されたのだろうか?

彼等のことは全く知らないが、何かしらの権力者か犯罪者で、誰かに命を狙われる立場の人間という可能性は低いはずだ。

もしそうなら、自分の身の安全の為に正規のボディーガードを雇うか、裏社会の住人と契約を結んで用心棒を提供してもらうだろう。

その警備を潜り抜け、ターゲットを傷つけず、起こさずに誘拐するなど出来るわけが無い。

つまり、無傷で眠ったままカーペットの上に居る彼等は…一般人である可能性が高い。

人間は眠っていても、身体を触られたり、音が鳴ったりすると起きるものだし、乗り物で輸送する時の振動や音、時間の経過で起きる可能性がある。

それを踏まえて考えると、私のような訓練された人間を起こすことなく誘拐するなど不可能なのだ。

それ以前に、施設内に侵入し、何事も無く部屋に入ること自体不可能だと断言出来る。

施設の場所はトップシークレットで、厳重なセキュリティシステムを導入していて…

さらには、就寝時には全ての隊員の部屋に内側から鍵を開けない限り確実に音が鳴るトラップが仕掛けられている。

そんな場所から私を誘拐し、他の3人も同時に同じ場所へ閉じ込める理由は?

全く分からないし合理性が無い…

復讐心から来るものなら合理性が無いのは理解出来るが、もっと手段を選ばないか、逆に確実性を重視した計画を立てるはずだ。

さらに、誘拐と監禁に使われるはずの道具や手順が一切無いのが不自然さを際立てている。

現実的に考えれば考えるほど、非現実的な答えに辿り着く。

それは、ここに居る全員が眠っている間にこの部屋へテレポートしたか、私はまだ寝ていて夢のまた夢の中をさまよっているのか…

だが残念なことに、五感が全て機能しているのが確認できるということは…私は起きているのだろう。

とりあえず、彼等を起こしてここから脱出しなければ…


あとがき

ここまで読んで頂き誠にありがとうございます!

pixivやハーメルンの方で投稿していましたが、ここにも投稿してみました。


pixivとは仕様が違いますし、趣味でやっているだけなので至らないところがあるかもしれませんが、よろしくお願いいたします!

第1部「夢現の狭間」はすでに書き終わっているので小分けにして今回のように投稿しようと思っていますのお楽しみに!

これからも頑張りますので、よろしければ感想を下さい!


あと挿絵は、Aiで作ったり編集をして作る予定です!

それでは、改めて読んで頂きありがとうございました!

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