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第五十話 共闘



 「死ねやカスども!」

 グレイは手のひらが灰色の炎を生み出した。

 「おら!」

 その炎を地面に思い切り叩きつけると炎はグレイを中心に勢いを持って一気に広がった。

 灰色の炎は俺たち二人に向かって津波のように巨大な炎壁となり迫ってきた。

 

 「はん! んなもん喰らうかよ!」

 ナグルは黒魔法を自身の周囲に展開した。

 「ふっ!」

 俺も同じく周囲に黒魔法を展開し灰色の炎を防いだ。

 すぐに灰炎はいえんは消え、俺たちは防御を解いた。


 「ちっ! あれでくたばった方が楽だったのによ!」

 グレイは舌打ちをしながら、パチンと指を鳴らした。

 するとグレイの周りに灰色の炎で作られた人型の何かが現れた。

 さらにもう一体作られ、二体の人型がグレイを守るように立っている。

 

 「ふん、かなり高出力に作れたな。これもお前らから力を吸収したからか」

 不適な笑みを浮かべながらグレイは自らが作った人型の炎の出来に満足している様子だった。

 「やれ!」

 グレイが俺たちを指差して叫ぶと二体の人型がこちらに向かってきた。

 

 「そんなもんで俺様が倒せると思うんじゃねー!」

 ナグルは向かってくる人型の一体に黒魔法により生み出した黒炎をぶつけた。

 黒炎により一部が欠けたがすぐに元通りの姿となって人型の一体がナグルに突っ込んで行った。

 「ちっ!」

 人型がナグルに掴み掛かり灰炎で全身を焼こうとするが、ナグルは黒炎を体にまとい、それを防いだ。

 俺の方にももう片方の人型が襲いかかる。

 俺も全身に黒炎を纏い、人型の攻撃を躱しながら隙を窺う。


 「はっはっは! それで俺の灰の炎を消せると思ったか?」

 俺たち二人のようにグレイは勝利を確信したかのように腕を組みながら笑っていた。


 「はっ! そうだと言ったら?」

 「あ?」

 人型に掴まれているナグルの言葉にグレイは眉をぴくりと動かした。


 「いくぜ! ブラックホール!」

 ナグルの手のひらから小さな黒い球が現れた。

 その名の通りブラックホールのように見えた。


 ズズズズッ!


 そのブラックホールを人型へと向けるとブラックホールは灰炎の人型を吸い込み始めた。

 そしてすぐに灰色の炎は跡形もなく吸い込まれ消え去った。


 「な!? なんだおい! その魔法は!」

 グレイはひどく動揺しはじめた。


 「おっと初めて見るか? そりゃそうだ! 俺様がたった今思いついた魔法だからな!」

 ナグルはケラケラと笑った。

 

 「魔族連合にいた時はもらった力でイキリながら、女ども相手に腰振るだけの猿だったくせによ!」

 「おお、おお、悔しいか? もう煽るくらいしかできねえか? おいヨシキ! こんな雑魚さっさとやっちまおう! そんな木偶の坊とっととやっちまえや」

 「言われなくても」


 俺はナグルがやったように擬似的にブラックホールを作り、同じように人型の炎を吸い尽くした。


 「なっ!? てめえもか! 二人揃ってマジでうぜえな!」

 奴は青筋を立てながら今度は自分自身に灰色の炎を纏い始めた。


 「あの腰抜け黒スケの力でイキってられんのも終わりだぜ! この俺が直接殺してやる!」

 身体が灰炎そのものと化したグレイはそのまま猛スピードで俺たちへ迫ってきた。

 

 「おっと!」

 ナグルに向かってグレイはパンチの応酬を浴びせるがナグルはそれをさばいていく。

 「おらおら! もっとスピード上げてくぞ!」

 しかしグレイのパンチの速度は徐々に上がっていく。

 パンチと同時に灰色の炎がナグルを燃やそうとするが、黒の力がそれを防いでいた。

 「おいおい息が上がってるのがわかるぜえ? そのまま燃えちまいな!」

 「はっ! …まだまだ余裕だっつの!」

 ナグルは明らかに攻撃をさばくペースが落ちているのが分かった。

 

 「これで終わりだ!」

 グレイはわずかな隙を見逃さずにナグルの胸を目掛けて拳を放った。


 「させねえ!」

 「な!」

 だが、俺は横から奴を蹴り飛ばし、攻撃を阻止した。


 「ヨシキ……ったく、余計なことしやがって」

 ナグルは悪態をつきながらも内心でホッとしているだろうというのが表情で分かった。

 「礼は言わねえぞ」

 「ああ、そうかよ」

 短いやりとりを終えて俺たちは吹き飛んだグレイに向き直る。


 「ちっ! どういうこったよ! 俺はお前らから力を回収したはず! あんな出来損ないの黒スケ野郎の搾りかすのような力をもらったところで何もできねえはずだぞ! なのになんで!」

 グレイは訳がわからないと言った様子で歯軋りをする。

 「さあ、なんでだろうな? 俺も分からないよ」

 俺は素直にそう答えた。本当になんでかは分からないからな。

 「惚けやがって! 何かあるはずだ! でなきゃ復活した俺が手こずるなんてありえねえ!」

 グレイは地団駄を踏んだ。

 「はん! 俺様がお前なんかよりさらに強かったってだけだろうがよ」

 ナグルは相変わらずの口調で答えた。

 「んだと! 横槍がなきゃテメエは今頃燃え滓になってたくせによ!」

 

 だんだんと地団駄を踏み怒り狂った後にグレイは急に静かになった。

 「「?」」

 俺たちは警戒して構えをとった。


 「仕方ねえ。こうなったら」

 グレイは足を曲げ腰を低くし始めた。

 「……覚悟しろよ?」

 グレイは俺たちを人睨みすると手を地面につけてそのまま静止した。


 「……」

 静寂があたりを支配する。


 (一体何をしてくるつもりだ?)

 俺はどんな攻撃が来てもいいように警戒する。


 

 





 「はあっ!」

 突然グレイは真上に高くジャンプをした。

 「あばよっ!!」

 「「なあっ!?」」

 こいつ! まさかこのまま!


 「俺の目的は戦いじゃねえ! テメエらの相手なんかもうしてられるか! 面倒臭え! 勝てないなら逃げるだけだぜ! あーばよ!」


 「てめ! 待てやこらあ!」

 ナグルは青筋を浮かべながら奴を追いかけようとした。

 だがもうだめだ。

 もうすでに追いつけないほどに奴は遠くへ行っていた。





 「そ こ ま で だ !」


 「「「!?」」」


 その時、空全体にエコーがかった声が聞こえてきた。


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