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第四話 冒険者登録と初依頼

 「うーん、ふわぁ……」

 お、朝か。

 

 ここはサリーアの町の宿屋“バイン”の2階にある一室。

 ここもまたよくあるイメージ通りの宿の一室って感じだな!

 昨日は教会へと行ったあと、俺は寝る場所がないということで困っていた。

 だがベルちゃんが俺に宿泊するためのお金をくれたのだ。

 本当にありがたいぜ。

 これは冒険者で稼いで倍にして返さなきゃな!

 だが稼ぐその前に

 マームの森のことだ。

 俺が最初にいたあの森は何かあるらしい。

 最奥部の調査へ行くのなら、俺も行きたいぜ!

 冒険者になったら俺も加えてくれるように頼んでみよう!

 「さっそく冒険者登録にギルドに行くか!」

 俺は宿を出て冒険者ギルドへ向かった。


 「おはようございます、ヨシキ様! ようこそ冒険者ギルドへ!」

 受付のメルカちゃんが笑顔で対応してくれた。

 うーん、やっぱり綺麗だぜ!

 「おはようございます。あのう、冒険者登録をしたいのですが……」

 俺は早速メルカちゃんに用件を伝える。

 「まあ! 冒険者登録ですね! かしこまりました!」

 少々お待ちくださいとメルカちゃんが言うと、奥の方へと行った。


 少しするとガーレンさんを連れてやってきた。

 「おお、ヨシキくん! 待っていたぞ!」

 ガーレンさんが豪快に笑いながら俺に言った。

 え、俺を待っていた?

 「君は冒険者になりたいのだということは昨日サイロ様から聞いていてね。ギルドとしても大歓迎だ!」

 わっはっはとまたガーレンさんが笑った。

 「はい。冒険者になりたいと思っています」

 俺はガーレンさんに伝えた。

 「本当はF級からのスタートだが、君のステータスを考慮してA級から始めてもらおう」

 「え? いいんですか? いきなりAだなんて」

 「構わない! むしろ君のステータスで薬草取りから従事しろなんていうほうがおかしいだろう。今すぐにでもS級にしてやりたい気持ちはあるが、ギルドの規約でいきなりのS級ということはできなくてな」

「そうなんですね」

「君ならS級なんてすぐだろうからね。依頼をこなして素行の悪い振る舞いをしなければあっという間さ」

「ありがとうございます」

俺はガーレンさんに頭を下げた。

いきなりAとは、ラッキーだぜ!

「それじゃメルカくん。手続きを頼んだよ?」

「はい! おまかせください! ヨシキ様、お手続きを始めさせていただきますね?」

にこりとしてメルカちゃんは俺に冒険者の説明を始めてくれた。


その後は色々と手続きをして、最後にギルドの心得と規約が書かれた手帳をもらった。

なんか学生手帳みたいだな。ポケットに入るくらい小さなものだ。

そして冒険者であることを証明するギルドカードというものを受け取った。

「はい! これでヨシキ様は冒険者となりました!」

「どうもありがとうございます」

やったぜ! これで俺も冒険者になったってことだ!

「あの! ガーレンさん!」

俺は横にいたガーレンさんに声をかける。

「お? なんだい?」

「さっそくですが、その……マームの森の調査、私も参加させてもらえませんか?」

俺はガーレンさんにお願いした。

ガーレンさんの顔が笑顔から真剣な表情に変わった。

「マームの森調査か……。実は私の方から君にそれを依頼しようと思っていたんだ」

「そうなのですか」

もしかしてそれ目的で俺をA級にしたというのもあるのかも。

「ああ、君のステータスなら最奥部に踏み込めるだろうからね」

「ええ、役に立ってみせますよ!」

俺のステータスがS+ならここで力を発揮しないとなあ!

「ただ今はまだ待機していてほしいんだ。5日後に都市部から別の冒険者が応援として到着する予定でね」

そういえば言ってたな。

「わかりました。それじゃあ、今すぐ出来る依頼というのはありますか?」

出来るのなら薬草採取でもなんでもいいぜ!

「うーん。そうだな……。あ! あれがあった!」

ガーレンさんが支部長室へ行き少しすると紙を持って戻ってきた。


「この依頼なのだが……」

 俺は依頼書を読んだ。

 この世界特有の文字だが問題なく読めるぜ。

 これも神さんが読めるようにしてくれたのかな。

 そうなら感謝だぜ!

 「ジャイアントコングの討伐ですか?」

 「今日来たばかりの依頼でね。貼り出す前だったが、どうだろう? 受けてみないか?」

 「ええ! ぜひ!」

 俺は早速依頼を受けた。

 ジャイアントコングは等級Bの魔物らしく、この町で対処できる冒険者はプレクルミだけらしい。

 その魔物がマームの森と正反対の方角にある別の森で主として好き勝手に暴れているらしい。

 ちょうどプレクルミのみんながマームの森へ調査に入った時に、出現したという報告を受けたようだ。

 このまま放っておけば町のほうにもやってくる可能性がある。

 本来は応援が到着次第、プレクルミと共にそちらの討伐も任せるつもりだったらしい。

 


 「ここの森か!」

 さっそく俺はジャイアントコングがいるという森の前まで来ていた。

 マームの森よりも遠い距離にあったが、俺のステータスで走ってここまで来たのだ。

 やっぱすげえよ、この力!

 全然疲れないし、足は速いし!

 意識するだけで足が軽くなるんだぜ!

 「よし! 入るか!」

 俺は森の中へと足を踏み入れた。


 グギャア!


 「お、これってもしかしてゴブリンってやつか!」

 緑色の肌で真っ黄色の目とデカく尖った耳を持った小鬼のような魔物が群れでいるのを発見した。

 出発前に俺はガーレンさんから魔物の話を一通り聞いていた。

目の前の魔物の特徴は間違いなくゴブリンそのものであった。

向こうも俺に気づいたらしく、俺に向かって全員が武器を手に走ってきた。

 

 ギャア!


 「お!」


 ゴブリンたちは持っている粗末な棍棒で俺に殴りかかる。

 だがその振り下ろす速度は、本当にゆっくりに見えた。

 最初にあったオークキングの攻撃の方がまだ速かったレベルだ。

 俺はすっと攻撃を避けた。

 

 「おら!」

 

 ギョッ!


 俺がゴブリンの一匹を殴ると、短い断末魔と共に四散した。

 ゴブリンの全身が吹っ飛んだのだ。

 

 ギャギャ!?


 ゴブリンたちがそれを見ると、恐れをなしたのか一目散に逃げ出した。

 「全身が飛んだ。やっぱゴブリンは雑魚の部類に入るのか」

 聞いた話ではゴブリンは等級E。

 だが基本群れで行動するので、群れとしての脅威を加味するなら等級としてはDとなるらしい。

 ゴブリンの群れを討伐できるようになれば、初心者冒険者からの卒業になるのだという。

 ゴブリン討伐がひとつのものさしとなっているのも、まるでゲームのようだぜ。

 俺はまた森を歩き始めた。


 グオオオ!


 「ん、この声は!」


 しばらくすると耳に響くほどの声が聞こえた。

 

 アギャギャア!!

 

 それと同時にゴブリンの群れが必死な形相で何かから逃げ出していた。

 俺の方を見もしないでスルーして、とにかく走っていた。

 奴らが逃げてきた方にもしかしてジャイアントコングがいるかも。

 よし! いくぜ!

 俺は駆け出して行った。



 「やっぱりいたか!」

 超巨大なゴリラというべきか。

 まじでキングコ○グのような見た目じゃねえか!

 というかでっけえ! 5mくらいはあるか?

 こんなん地球にいたら、自衛隊出動不可避だろ!

 だが!

 「今の俺は神さんからもらった力があるんだぜ?」

 等級Bなら一撃よ!


 くちゃくちゃ


 ジャイアントコングはゴブリンを喰らいながら俺の方を見た。

 

 にやり!


 俺を獲物と判断したのか、持っていたゴブリンの死骸を放り投げると俺の方に向かってきた。


 グオオ!

 

 奴は俺に向かって巨大な拳をお見舞いしようとした。

 

 「ふん!」

 俺はそれに合わせるように奴の拳にパンチをお見舞いした。


 グギョオアア!


 俺の全力パンチは奴の腕を吹き飛ばした。

ジャイアントコングの腕はなくなり痛そうに押さえていた。

このまま腹に叩き込むぜ!


「はあ!」


俺のパンチは見事に腹に当たった


はずだった。


「え!?」

直前にゴリラがジャイアントコングと俺の前に割って入って、俺の攻撃からやつを庇った。

俺の攻撃を受けたゴリラは全身が四散した。

「いきなりどこから来た!?」

気がつくとゴリラの集団が周りに何匹もいた。

「これってコングか!?」

見ればジャイアントコングを小さくしただけで他は同じ見た目だった。

コングという魔物だ。

というかこっちが基本の姿だ。

巨大化したコングがジャイアントコングと呼ばれるんだ。


グオオ! グオオ!


ジャイアントコングは何か周りのコングたちに命令すると、逃げ出した。

「あ! 待て!」


俺はやつを追いかけようとしたが、周りのコングたちが一斉に俺に襲いかかってきた。

「くそ!」

俺はコングたちを一撃で沈めて行った。

だが先ほどのゴブリンのように仲間が四散したのを見ても、奴らは恐怖すら見せずに次々に攻撃をしかけてきた。

時間稼ぎをするためだけの特攻のように思えた。

実際そうなのだろう。

それが不気味に思えた。

「なんなんだ一体!?」

ようやくコングたちを片付けると俺はジャイアントコングを追いかけた。



ゼエゼエ!


ジャイアントコングは恐怖していた。

つい最近変な声を聞いてからというもの、日に日に自分は強くなっていき、ついには強大な身体と他の奴らに自分の言うことを聞かせる力も手に入れた。

自分がこの森の主となったのだ!

ここにあるものはみんな自分のものだ!

腹が減ったらお前を喰らってやる!

自分にとっての至高の日々が始まった。


だが今はどうだ?

他のコングよりも小さいチビ。

そのチビに自分の腕が破壊されたではないか!

死ぬ!

ジャイアントコングは恐怖した。

言うことを聞かせる力で他のやつらをぶつけて自分はとにかく遠くまで逃げるのだ!

やつを振り切って逃げるんだ!

今、頭にあるのはそれだけだった。


『くっくっく! 無様だな』


グオ!?


あの声だ! 自分が強くなる前に聞いたあの声!

どこを探しても姿さえなかったあの声!

何を言っているかは分からない。

だが今聞こえるこの声に自分は何か縋ろうとしていた。


『やはりダメだったか。だけど……ふーん……。どれどれ、また力を分けてろうか』


グオ!?



 身体が熱い!

 焼ける!

 身体の中に火が点いた!

 

 グギョアアア!!!


 熱くて熱くてたまらない!

 助けてくれ!

 こんなところで死にたくない!

 

 少しの間暴れ回った後、ぱたり熱さが消えた。

 

 !?


 自分の消えた腕がある。

 いや、待て!

 赤い。

 自分の体毛が赤くなっているではないか!

 それになんだ?

 力がみなぎる。

 さっきまでとは段違いだ。


 グオホッホッホッホ!

 

 今なら勝てる!

 これなら勝てる!

 あのチビを殺して喰ってやる!


 ジャイアントコング、いや


 ブラッドキングジャイアントコングは、ニヤリと顔を歪めた。


 

 ◆


 「よっしゃ! 追いついたぜ!」

 さあ観念しな!


 俺は背中を向けているジャイアントコングを見た。

 「ん?」


 何か様子がおかしい。

 結構森の深いところまで来たせいか、ジャイアントコングの姿が陰でよく見えない。

 「赤い?」

 どういうことだ?

 さっき見たのは黒い体毛だったはずだが?


 グオホッホッホッホ!

 目の前のやつは急に笑い始めた。

 そしてくるりと俺の方を向き直った。


 「え!?」


 なんじゃこりゃ!

 かなりデカかった身体がまた一回りでかくなりやがった!

 それに色!

 血のように濃い赤だ!

 一体何があった!?

 ていうかさっきのやつと同じやつかこれ!?


 グオオオオ!

 

 目の前の奴は大声で叫び始めた。

 その声で森中が震え始めた。

 「さっきの大声とは比較にならねえ!」

 俺は耳を塞いだ。


 ニヤリ!


 奴は俺を笑って見下ろしていた。


 今なら勝てるぜ。


 と言っているようだった。

 「上等じゃねえか! どんなトリック使ったか知らねえが受けてたってやるよ!」

 俺だって神の加護があるんだ!

 

 俺はパワーアップしたジャイアントコングと対峙した。


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