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アカギ戦記  作者: 饅頭
二章【魔法学園バーミンガム】
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終節

 【やっと来たか】

 エンシェント・ワンが葵の方を向いてつぶやく。

 【だがもうこの世界に用はない】

 エンシェント・ワンは両手を空へと掲げる。

 「やっとついた」

 「遅いよ葵」

 「てかあれ神父様?」

 【やぁさっきぶりだな。だがこれでさよならだ】

 「逃がすか〈バブルプリズン〉」

 エヴァが魔法を放つとエンシェント・ワンが水の泡の中へと閉じ込められる。

 【無駄なことを】


 大英博物館前。

 「いた!神父!それに二年の人とアオイ!」

 「どいてください!私がやいます」

 エレンとカーラが空の三人を見上げる。

 「カーラそれなに?」

 「聖薬です」

 「せいやく?」

 「超すごい聖水とでも思っておいてください。これは司祭以上の位だけが所持を許されたもの」

 「え?なんでもってんのよ」

 「それはまぁ昨晩学園内の教会よりくすねたので」

 「うっわぁ」

 「手持ちの聖薬は三本。これで」

 カーラが聖薬を口にしようとしたとき後ろから肩を叩かれる。

 カーラが振り返るとそこにはグレア・オルカ枢機卿が立っていた。

 「カーラ・ベロナロ院生」

 「っ!グレア・オルカ枢機卿」

 「その手に持っている物はなんだ?これは重大な規約違反だ。強いては二度と教会の門をくぐれなくなるが」

 「あ、いえこれは。・・・・。ジェイソン司祭の管理されていた教会よりくすねたものです」

 「そうか。廃墟で拾ったものか」

 「え?」

 「所在と管理者が不明ではすぐに罰せられないな。緊急事態に付きその手に持つ物を調べるのは後にする。仮に割れて中身がこぼれたりしたら調べようがないから落としたりするな」

 「はい」

 カーラは小瓶の一つを開き飲み干す。

 「ちょっとそれ飲んで体大丈夫なの!?」

 「うるさいですわよエレン。〈堕落だらくせしはかみであらず、ならばそれはははなる大地だいちしばられる〉」

 カーラが聖言を唱えた途端空のエンシェント・ワンはその異形の翼を失い落下する。

 大英博物館入り口の広場に突如人が降ってきたことでその場は一気にパニック状態になる。

 【これは、聖言。それも終節・・・神に背く禁忌の御業。祝福を捨てるのだなカーラ】

 「それはどうかなジェイソン元司祭。いや既にジェイソンですらないのか」

 【グレア・オルカ。聖言の使えないお前ごとき私の相手にならない】

 落ちたエンシェント・ワンを追って葵とエヴァが降り立つ。

 カーラは更にもう一本聖薬を飲み干す。

 「〈しゅおも存在そんざいである、しゅまつられその天上てんじょうへとのぼらん〉」

 更に聖言を唱えるとエンシェント・ワンはガクンと力が抜けてその場に膝まづく。

 カーラも同時に膝をつく。

 「器以上の力を注げばそうなる」

 グレアは十字架を引きずりながらエンシェント・ワンへと近づく。

 「さてどうするジェイソン。今すぐにその力を捨てるかここで処刑されるか」

 【昨夜の段階でここまで追いつめられなければ素直に従ったが、もう遅い。この場に聖言を扱える人間はカーラ一人。ならば〈プラネットコア・ブラックスペース〉】

 「まずい!」

 エレンが叫んだ時には遅く広場の全員が同時にその場で動けなくなる。

 エンシェント・ワンは重力に逆らうようにその体を起こしカーラに近づく。

 そしてカーラの手に持つ最後の聖薬を奪うとそれを飲み干した。

 【まったくもって運がよかったなカーラ。君が持ってきた三本の聖薬のうち一本は別のものだ】

 エンシェント・ワンの失われた翼はすぐさま復元されてゆっくりと宙へと浮上する。

 【さていい加減この場から離れなければ厄介な男が来そうだな。〈ディメンションゲート〉】

 エンシェント・ワンの頭上に黒い渦が出現する。

 【もう会うことはないだろう】

 エンシェント・ワンはその渦の中へと入っていきその場から完全に消え去った。


To be continued.

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