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アカギ戦記  作者: 饅頭
二章【魔法学園バーミンガム】
89/160

ロンドン

 同時刻ロンドン、PSAキャメロット拠点フロア6。

 特別収容エリアレベル5。

 そこには常人が数分近くにいるだけで酔ってしまうほどの魔力を垂れ流し続ける子供がとらえられていた。

 悪魔の目をもつ子供。いや悪魔そのもの。

 その部屋は縦横高さそれぞれが30メートルの立方体になっており部屋の中心には特注の椅子に子供が座っている。

 子供の体には様々な器具が取り付けられており常時上体を監視している。

 「スミス二等星殿、子供のバイタルに変化が見られました」

 「本当かルイス・アルフレット特等兵」

 「はい。今まで眠っていたような脳波が突如として覚醒状態へと近づいていきます」

 「よし警戒レベルを高めろ。エレン・ウォーカー二等兵はいるか!」

 「スミス拠点長、彼女なら聖典教会の少女と共に休憩室です」

 「エリス・テイラー特等兵、今すぐ二人を呼んでくれ」

 「承知いたしました」

 「スミス二等星殿!」 

 「今度は何だ?」

 「侵入者です!」

 「なんだと!?」

 突如として子供の眼前に祭服の男が現れる。

 「報告にあった神父です!」

 「子供と接触させるな!ルイス・アルフレット特等兵!捕縛だ!」

 「承知!」

 ルイスとスミスは同時に子供を隔離している部屋の中へと突入する。

 「〈アイアンメイデン〉」

 ルイスは突入するなり魔法を放つ。

 ジェイソンの背後に突如として巨大な鉄の処女が出現する。

 出現した鉄の処女が開き瞬く間にジェイソンを捕らえる。

 「そのまま捕らえておけ!〈フルカウルスレッド〉」 

 モーター音に似た音と共にスミスの両手の五指から半透明の魔法の糸が射出される。

 「〈トライデントスレッド〉」

 放出された魔法の糸は束なり2メートルほどのトライデントへと形作る。

 そしてそのトライデントを力の限りに投擲する。

 トライデントはアイアンメイデンを突き刺し静止する。

 「ルイス・アルフレット特等兵、すぐに子供を別のフロアへ!」

 「承知いたしました」

 ルイスはすぐさま子供に向かって走り出す。

 「〈プラネットアトミック〉」

 アイアンメイデンの中より漏れ出た声に思わずルイスの足が止まりかける。

 その一瞬の隙が最悪を呼んだ。

 空間がぐにゃりと歪みフロアが吹き飛んだ。

 その衝撃は地上の大英博物館の外壁に大きなひびを入れる。

 「魔法の糸で施設の崩落を防いだか。敵ながら見事なものだ」

 スミスは衝撃の寸前にフロア全体に糸を張り巡らせてジェイソンの爆破を防ぎきって見せた。

 「お前がジェイソン司祭だな」

 「そういう君はPSA第十部隊の部隊長だね。【スレッド】っていう固有能力だろ?」

 「よく知ってるな」

 「やせ我慢は体に良くない。君の体は私の魔法をほとんどモロにうけてボロボロだろう」

 「生憎、そういうわけにもいかんからな。〈リッパー〉!」

 スミスが腕を振るうと見えない斬撃が飛ばされる。

 だがジェイソンには当たらずに周囲の空間に亀裂を入れるのみとなる。

 「無意味なことを〈ブラックスペース〉」

 ジェイソンがパンと合掌すると周囲の景色が白黒になる。

 「なにを・・・・体が動かない・・・!?」

 「何故私に攻撃が通用しないか教えよう。自分の影を殴っても影は消えないだろ、それは三次元のものが二次元に干渉できないからだ」

 「それだとお前が二次元にいるといってるように聞こえるが」

 「その通りだ。君の見ている私の体は二次元だ」

 「影が本体だな」

 「察しがいい。だが残念。【ブラックスペース】は二次元で周囲を侵食する。三次元の君が二次元に入ったら動くことができない」

 ジェイソンはゆっくりと地面に降り立つ。

 そして先の衝撃で地面に倒れているルイスを持ち上げてスミスへ向かって投げる。

 ルイスはスミスにぶつかる寸前の位置で制止する。

 「さて我が悲願がかなう時だ」

 ジェイソンは子供の頭にそっと手をのせる。

 「■■■■」

 それは人の耳では聞き取れない言語だった。

 子供の体が重力に逆らって浮かび上がりジェイソンと同じ目線で止まる。

 子供がジェイソンの胸に手を当てるとその手は徐々にジェイソンの体へと引き込まれていく。

 瞬く間に子供の体はジェイソンの内部へと入っていく。

 【我こそが神だ】

 

To be continued.

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