箱を開くためのカギ
ジェイソン・オールドマンは昨日見たときよりも一段と若返っていた。
長髪の髪の毛を後ろでまとめており肉体はどことなく筋肉量が増えているようにもうかがえる。
「赤城葵くん、そしてエヴァ・スタークくん。まずは君たちに感謝を」
「感謝?」
「貴様に感謝される筋合いなんてない」
「いやいや。とっても感謝しているのだよ。あの黒鯨。”魂の悪魔”を見つけ出してくれて。君たちはあれを私より先に撃退したかったようだが、残念だったね。あれは君達では決して倒せない存在だ」
「どういうことです?」
「あれはあくまで箱。鍵のかかった箱だ、ならば鍵がなければあくまい」
「貴様がカギをもっているということだな」
エヴァがロッドを構える。
「無論だ」
「なら話が早い〈テラフレア〉〈ノナプルドリルランス〉〈ノナプルアクアバレット〉そして〈スクランブルマジック〉」
エヴァが続けざまに魔法を発動させると三つの魔法はロッドにストックされる。そしてそれらを組み合わせることでロッドに魔法陣が浮かび上がた。
「〈スクランブルキャノン〉」
かき混ぜられて一つの魔法へと変質させ一気に解き放つ。
「〈クラフトハイジーン〉」
だがエヴァの攻撃はジェイソンには当たらずにその周囲を衛星の様に旋回しだしてしまう。
「それが貴様の固有能力だな。話だけは聞いたけど、能力名はプラネットコア。投げ物無効の能力」
「その通りだ」
「葵、同時攻撃も無駄なのよね」
「うん。全部あんな風にジェイソン司祭の周囲を旋回する。だから近接が有効だと思う。でも私の覇道じゃいなされると思う」
「無意味なことはやめておくといい。君たちは私の邪魔をしないことだな」
ジェイソンが指を鳴らすと昨晩の様にその体はゆっくりと浮き上がる。
「鯨狩りとはこのようにやるものだ」
ジェイソンは両腕を大きく広げ黒鯨を見下ろす。
「〈オープナー〉」
ジェイソンが唱えると空中を遊泳する黒鯨の姿は消え、その影より一本のらせん状の角を携えた巨大な白い鯨が姿を現す。
To be continued.