教会
葵が学園内の教会に入ると中は最低限の明かりだけがあるとても静かな場所だった。
いくつもの並んだ長椅子に奥にはステンドグラス。
昼すぎということもあってステンドグラスから太陽の光が差し込んで教会内を明るく照らす。
「誰もいないのかな?神父様とかいてもいいと思ったんだけど・・・」
葵がキョロキョロ周りを見またしていると奥の扉が開き祭服を着た男性が現れる。
「ようこそ我が協会に。初めまして、私はジェイソン・オールドマン司祭だ。君の名を聞かせてもらえるかな?」
「初めまして。赤城葵です。えーっと、日本から魔術を学ぶためにこの学校に来たものです」
「ほう。話は少し聞いている。ところで何故協会に?」
「いえ、特に。ただ静かな場所がないかと」
「なるほど。ならここはうってつけだろう。おっとでは私は少々お邪魔かな」
「いえ、そんなことは」
「冗談だ。ところで君は何か悩んでいることでもあるのかい?」
「悩み…ですか」
「悩みがあるからここへと足を運んだのかもしれないからな。お節介かもしれないが、懺悔室というものがここにはある。自身の胸の内に秘める悩み、罪、過ち。それらを神様へ打ち明けることで、神様に自身の重荷を少しだけとってもらうといい」
「重荷を・・・」
「そうだ」
オールドマン司祭は聖書台の上に置いてあった白い本を手にとって開く。
「人生の旅とは出会い別れがある。それと同時に歩むうえで大切な荷物」
「荷物?」
「大切な荷物とは知識かもしれない。宝物かもしれない。思い出かもしれない。罪かもしれない。その全てをもって歩き続けるのは苦難の道のりになるだろう。歩き続けるのではなく立ち止まってその荷物を整理する時間を人生には必要なのだろう。私はそう思う」
「荷物を整理する時間・・・ですか」
「気が向いたらまた来るといい。中年の話し相手でもするために」
「はい、色々興味深い話をありがとうございます。では失礼します」
「あぁさようなら。神のご加護のあらんことを」
To be continued.