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アカギ戦記  作者: 饅頭
一章【京都百鬼夜行】
44/160

時間潜航

 世界の凍結が解けて全ての事象が動き出す。

 虚光の星が着弾するまで約225秒程。

 不可能に近い秒数。

 「やっぱりこの距離じゃきつすぎた。いくらばれないギリギリの距離から撃ちたいからって」

 「いや、もう一度時間を止める」

 祁答院がスマホを取り出して操作しだす。

 「無理よ。私の時間停止は一日一度だけ。もう一度使えば私が死ぬまで世界は凍結する」 

 「いいや、正真正銘、最後の時間停止だ」

 「どういう?」

 「俺が時間を止めるだけだ」

 「それでもこの距離は」

 スマホを氷室に見せると氷室はそれ以上は何も言わない。 

 「それじゃやってみようか。〈時間潜航じかんせんこう〉」

 その刹那、二つの動きを除くすべての事象の速度が徐々に遅くなっていく。

 一つは祁答院の動き。

 もう一つは虚光の星の速度。

 静止に近づく中動くその星はまるで目にもとまらぬ速さで動いているかのように錯覚する。

 そして世界はほとんど静止する。

 ほとんどというのは完全ではないため、極限まで静止状態に近づいただけ。

 故に葵の放った矢の速度は静止に近づいた世界でも亀のようにゆっくりではあるが動いている。

 「流石神殺しの一射。この静止した世界であれだけ動くか」

 星の着弾迄約200秒。

 「そろそろきついな。着弾迄後600メートルを切ったあたりか。徐々に時間の流れが戻ってき始めたか」

 氷室亜里沙の時間停止が自身以外の全てをその場に固定する技であるならば、祁答院杏良太の時間停止は極限まで0に近づける流動し続ける技である。

 祁答院の虚光の星はルール無視の全ての事象を破壊する技。

 どんな状況でも一度放たれたエネルギーが消費されるまでは止まることはない。

 葵の放った矢が徐々にその速度を上げていくのを確認する。

 「さて、こっからが勝負だな。八千代の撃った火球に奴は集中している。あの火球はもう奴にあたる。そしたら一時的に視界はさえぎれる。巨人どもが遠くから迫ってきてる。奴の周りの巨人はまだこっちの意図に気が付いてない。いや、そこまでの知能があるかは謎だが。多分驚異の大きいものから襲う習性がある。今の脅威は八千代。本体は地上、ならしたに密集してるな」

 祁答院は無限に近い魔力量を保有している。

 だがそれも最初の阿形吽形との戦闘、そしてインフィニティとの戦闘でかなり消費している。

 そして最大出力の虚光の星、時間潜航。

 それ以外にも祁答院には魔力を消費する要因がある。

 故にこの時間潜航が解除されれば自身の守る粛清領域を再び常時展開するのは不可能である。

 世界の時間は徐々に元の速さを取り戻しつつある。

 「そろそろ、限界か。だが、最後のダメ押しは俺じゃない。この残りの距離を埋めるのに最適なのは彼だからな」

 祁答院が時間を止める寸前にスマホを操作したのはメールを送るため。

 「後は頼んだよ。石戸」

 世界の時間は元の速度へと戻る。

 星の着弾迄後170秒。


To be continued.

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