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アカギ戦記  作者: 饅頭
一章【京都百鬼夜行】
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獄天使

 蘆屋が一度瞬きをした瞬間、ヤクモがその場から消え去った。

 「1分もいらなかったか」

 蘆屋の背後からヤクモの声が聞こえる。

 同時に蘆屋の体を異様な暑さが襲う。

 蘆屋は声の方向を振り向くよりも先に自身の体を見下ろした。

 先ほどまで全身を強固に包んでいた鎧は砕け散り、刀は折れ、袈裟は自身の血で真赤に染まっていた。

 「これは・・・ぐふっ!」

 口いっぱいに血の味がする。

 「まさか、こちらにはこれほどの真祖がいるとは」

 蘆屋はその場に膝をつく。

 「さて、人間。貴様には聞くべきことが沢山ある。死んでくれるなよ」

 「私が死ぬだと?ふざけるなよ、化物風情が。私の真の切り札を見せてやる。これは祁答院杏良太との戦闘にとっておいたのだが今ここで使うべきだな。〈呪印召喚じゅいんしょうかん獄天使ごくてんし

 蘆屋の召喚に応え黒泥から何かが打ち出された。

 ヤクモがそれを見上げるとそこにいたのは漆黒の翼をもった銀髪の天使の姿だった。

 天使は空中で見えない椅子にでも座っているかのように頬杖をついてこちらを見下ろしている。

 「我こそはそこの導師に契約を交わしてやった高貴なる天使である。地上の獣よ、我が三度の奇跡をその不快な眼で拝むことを許してやろう」

 天使は煉獄のごとき眼でぎろりと下を見下ろしている。

 「厄介なものを出しやがったな。天使も式神にしたのか」

 「蘆屋。最初の奇跡を願え」

 獄天使は式神とは思えぬ傲慢な態度で蘆屋に語り掛ける。

 「祝福。そして堕落」

 「よかろう。〈祝福しゅくふく奇跡きせき〉」

 獄天使の眼光が赤く光り、蘆屋の体中の傷が塞がっていく。

 「ダメージは残るから疲労感とかはとれないけどこれである程度動けるかな」

 蘆屋は立ち上がってヤクモと向き合う。

 「ならばもう一度切り刻んでやろう」

 「そうか?残りの時間でどうする?もう30秒とないだろ?それにもう一つの奇跡で君は弱体化する」

 「〈堕落だらく奇跡きせき〉」

 再度獄天使の眼光が光る。

 「!?」

 ヤクモの全身を違和感が襲う。

 「これは・・・。魔力量の現象・・・?」 

 「蘆屋、最後の奇跡はどうする?」

 「残酷をもって戦え」

 「いいだろう。〈残酷ざんこく奇跡きせき〉」

 獄天使の眼光が光り同時に夜空に輝く魔剣が顕現する。

 魔剣を手にした獄天使は一瞬でヤクモの背後に降り立った。

 「〈テレポート〉」

 獄天使に切り裂かれる寸前にヤクモは数メートル瞬間移動する。

 だがヤクモの左腕は宙をまっていた。

 「っち残存時間10秒を切ったか。なら〈血槍けっそう〉!」


To be continued.

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