心神振興会
ー2023年3月5日新宿駅ー
「宗教団体っていってもどうやってコンタクトをとるかだよね」
葵は新宿駅近くの喫茶店でココアを飲みながらくつろいでいた。
アトランティスは東京湾の海底付近にある。
なので新宿駅までは数時間あればついてしまう。
「宗教団体の名前は『心神信仰会』だっけ?」
ぼーっとしていると背後に気配を感じて振り返ると綺麗めな女性が立っていた。
「あの、貴女今『心神信仰会』とおっしゃりましたか?」
ビンゴ!と心の中で強く思う。
「はい。そう言いましたよ」
「よかった。もしや興味がおありですか?」
「ええ、実はそうなんです」
「でしたら、この後会合がありまうので一緒にどうですか?」
「いいんですか?是非行かせてください」
何という幸運だろう。案外あっさりと件の団体に近づけたではないかと少し浮かれ気分になる。
心神振興会は新宿駅から三駅ほど離れた場所にある。
少し大きめの一軒家の中へと通された。
広めの和室の中へと案内されるとそこには既に7人が円になって座っていた。
葵たちが中に入ると奥に座っていた束帯を着ている男が口を開く。
「おや?山田さん、その人は?」
「先ほど新宿駅でお会いして、心神振興会に興味がおありとのことなのでお連れした次第です」
「なるほど。君の名前は?」
「はじめまして。赤城葵です」
「赤城さんか。とりあえず山田さんと一緒に座ってもらおうか。見上げてしゃべるなんて、新たな同志に失礼というものだ」
束帯の男に促されて葵を連れてきた山田と共に腰を下ろす。
「改めて初めまして。私は心神振興会の教祖を務めさせていただいている、高木雄一郎だ。そして右から小川雄二山田修平尾崎綾子戸田彩夏本部大輔石川巧そして赤城さんを連れてきてくれた山田香織。以上が役職持ちというところか、あとはそれぞれのかけ持つ信者たち。総勢約100人弱のまだ小規模な団体さ」
名前を呼ばれた者たちはそれぞれが葵に会釈する。
「でだ、早速だが赤城さん。君は最近何か大きいものに憑りつかれているよね?」
To be continued.