レオナルドダヴィンチ国際空港
「あの、ジョン・クリスタルさん」
「なんだ?」
「私たちが借りる秘宝についてお聞きしてもいいですか?」
「聞いてないのか?」
「えーっと、一切」
「すいません、何分時間がなくて。私も聖槍を借り受けるとしか。まぁ人間界にある聖なる槍でいかなる封印も突破できるなんて代物一つくらいしか思いつきませんが」
「ガブリエル殿の想像通りのものです。今回あなた方二人の身柄と一時的に交換するのがくだんの槍。聖槍ロンギヌス。乖離を有する槍だ」
「かいり?」
「赤城さん、乖離というものは簡単に言ってしまえば引きはがす事象です」
「引きはがす?」
「ええ。その状態の解除とでもいうのでしょうか、わかりやすい例で表しますと、今赤城さんとその影に潜む悪魔は契約を結んでいますね」
「はい」
「その契約というものは部外者、第三者が切り離すことはできません。それをいともたやすく切り離すことができるのが乖離です」
「まさにガブリエル殿のおっしゃる通り。まぁ乖離なんて力が備わっている武具は数える程度だが」
「そうなんですね」
「ロンギヌスの槍はその中でも最もそういう封印なんかを破壊するのに適している」
『その槍。ぜひとも私のコレクションに加えたいものですね』
影の中でおとなしく潜んでいたマモンが不意に現れる。
「あくまで貸すだけだ。それにお前なんぞに指一本たりとも触らせない。それよりも貴様、離陸後は絶対に外に出てくるな。貴様は本来ならば聖典教会の敷居、いや。ローマに入るのすら許しがたいのだ」
『かまいませんよ。私レベルになれば陰からでなくともマスターである葵との意思疎通はできますしサポートもできます』
そういうとマモンはあざ笑うようにジョンを見ながら葵の影の中へと沈んでいった。
そして機内は揺れ飛行機はレオナルドダヴィンチ空港へと着陸する。
To be continued.




