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アカギ戦記  作者: 饅頭
四章【深淵都市ベルリン】
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【海賊領海ヴァルハラ】

 『ではこれより厄災を顕現させます。オールドマザーの顕現を邪魔できる唯一の厄災、アナザー・ワンの顕現を開始します、必要条件を達成。アナザーアースへ偽りの月を観測させます』

 「偽りの月か」

 『はい。偽りの月です。偉大なる母は海より来ます。母なる海はいわば太陽ですわ。ならば同じ海をもつ厄災でなら顕現を邪魔できますわ。昼の海をオールドマザーとするならば夜の海こそがアナザー・ワン』

 「勝算はどの程度だ」

 『5%ですわね』

 「・・・。それは・・・、ずいぶんと低いな」

 『あくまでも参考値ですわ。今なら引き返せますけど、そうなった場合もうベルリンは間に合いませんわ。決断を』

 「結論は出ている。それに上の空母には世界三大剣豪の一人剣王キング・ヴィレッチがいる。厄災を顕現させろ」

 『オーダー受諾いたしました。これより本基地は厄災襲撃プロセスを実行しますわ。センターゲートを残しすべての接続部をロック。アナザーアースが月を観測、厄災、顕現します』

 

 空母の上で一人PSAの最高責任者である男。

 総統閣下キング・ヴィレッチがたたずんでいた。

 快晴だった空が突如として白い霧に包まれ次第に夜がやってくる。

 「これは・・・結界・・・」

 その腰に携えるサーベル、ヴィレッチに手をかける。

 いつの間にか霧は消え昼は夜に、空には満点の星々がきらめき深紅の満月がうっすらと空母を照らす。

 水平線の先は霧でおおわれている。

 「何か・・・・来るな」

 霧の海よりゆっくりと何かの影が近づいてくる。

 一つ、二つ。三つ。いやそれ以上に。

 髑髏の旗を掲げ、帆に風を受け、波を切って現れる。

 「海賊船?」

 それはいうならば海賊艦隊、時代錯誤の帆船の群れ。

 「これほどの結界、人の仕業じゃない。異様な魔力の感じ、厄災か」

 海賊艦隊の奥より何かが空高く舞い上がる。

 赤い光の軌跡を空に描き耳をつんざくほどの轟音を轟かせ、黒い物体は深紅の月をなぞるように旋回する。

 「夜を運ぶ獣、話に聞く厄災、夜の悪魔」

 旋回する黒い影は海に浮かぶ空母を認識すると直角にその軌道を変えてミサイルのごとく勢いで空母めがけて突っ込んでくる。

 ズドンと艦内に響き渡る衝撃音と共にキング・ヴィレッチの眼前に黒い夜の悪魔が飛来する。

 赤い眼光をぎょろりと動かしキングを凝視する。

 四本の足でがっしりと甲板をつかみ、両翼を大きく開きその存在をアピールする。

 それはまさしくおとぎ話の竜を思わせる風格をしている。

 言葉は返さない。

 話せないのではない。

 下等な生物に対して聞く口を持たないだけである。

 

 『たった今、空母の上に厄災が顕現しましたわ』

 「よし、ひとまずこれでベルリンでの厄災顕現は無効化できた。後のことは向こうの者らに任せるか。俺も空母へ向かう。メインシャフトで上までどのくらいだ?」

 『設備の能力を70%掌握されていますので本来の5倍ほどですわ。おおよそ50分ですわね』

 「わかった。レベル5保管室より聖剣を空母へ向けて射出してくれ。総統閣下がサーベルで無理しないうちに」

 『ロックがかかった区間にあるから時間がかかるけど早急にやってみるわね』

 「あぁ頼んだ。センターゲートを開けてくれ」

 『えぇ。ご武運をバスター・アルムンド』

 「あぁ」


To be continued.

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