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アカギ戦記  作者: 饅頭
四章【深淵都市ベルリン】
135/160

裏切者

 ベルリンが見え葵はゆっくりと高度を落としていきベルリン=ダーレム植物園付近へと降り立つ。

 続けて空よりフランシスとロゼが降り立つ。

 「空から見た目測で大穴の位置は情報にあったブランデンブルク門を中心にすでに直径4キロはあると思う。おそらく今も拡大していっているから大急ぎで中心に急ぐよ」

 「まだこの辺りの混乱は見られませんわね」

 「それも時間の問題だろうね」

 「とにかく急がないと」

 「そうだねここからまだ数キロあるからね。といっても長距離飛行の後だから赤城さんは少し休んだらどうだい?それにローズさんも補助魔法で疲れてるんじゃないかい?」

 「いえまだいけますわ」

 「私も大丈夫」

 「そうかい?無理はしてくれるなよ。といってもこれ以上穴に近づくのに空からは目立つ。だから地面を駆け抜けるよ」

 「わかりました」

 「葵の魔力量で使える戦闘魔法はセクスタプルが限界ですわね。つまり加速魔法による移動速度は3.5倍速、こっからブランデンブルク門まで走って1時間半くらいだと考えて、おおよそ20分ほどで穴にたどり着きますわね」

 「元々の魔力量ならもっと早かったのに・・・」

 「今は考える時間が惜しいですわ。被害がこれ以上広がる前に大穴へ向かいますわよ」

 「わかってる〈セクスタプルアクセル〉」

 三人は加速魔法を付与し大穴へと急ぐ。

 

 ほぼ同時刻、南太平洋ヴァルハラ拠点にてアナザーアースが祁答院杏良太の封印を観測する。

 第三フロアの会議室へ一人の男が入室する。

 「失礼する総統閣下。ただいま帰還した」

 「バスターか、早かったな」

 「鳥公がヘマしたらしいから飛んで帰ってきた。杏良太はどうした?」

 「彼なら現在ツングースカ隕石跡地へ向かっている。先ほどアナザーアースがツングースカ隕石を観測したらしい」

 「なんだと?仕方ない私も応援に向かう」

 『それには及ばない』

 「その声は教授だな」

 『このタイミングを待っていた。すべての役員が会議報告で拠点へ帰還し抑止力のすべてが不在になったひと時』

 「何が言いたい?」

 『すでに私のハードはこの基地内にはない。ツングースカ隕石も誤情報だ』

 「裏切ったな教授」

 『怒るなよ総統閣下、そして今最後の仕上げが終わった』

 「最後の仕上げだと?」

 『そうだ。祁答院杏良太の封印、これが何を意味するか君たち二人なら理解ができるだろ』

 「まさかッ!バスター!直ちに始祖と伯爵を起動させるんだ」

 『もう遅い、すでに伯爵の50%を侵食した。この基地内のシステムも大方ロックできた。外との通信も遮断している。それに、現在ベルリンで発生した大穴ですべての注意はあちらに向いている。では諸君。また会おう』

 教授の音声は消え会議室にはスピーカーよりノイズ音だけこだまする。

 「バスター、すぐに研究員を連れてクロノスシステムへ向かって指揮をとってくれ。始祖と伯爵の起動を急げ、始祖を最優先に頼む、私は空母へ向かう」

 「承知、ご武運を」

 PSAの本拠地ヴァルハラは海上に空母がありその真下の海中に全十三フロアの巨大基地が存在する。

 第一第二フロアが格納庫になっており資材を保管している。

 そして第三フロアが作戦本部となっている。

 クロノスシステムが位置するのは最下層の第十三フロア。

 円柱状の巨大なコンピューターを中心に三方向に延びる巨大配管とその先に取り付けられた巨大なポッド。

 そのポッドのうち一つが開かれて内部を満たしていた液体が漏れ出ていた。

 「教授が持ち出されているってことは関係者の仕業か。どうだ?伯爵のほうは?」

 「だめですアルムンドさん。すでに70%掌握されてます」

 「始祖は?」

 「こちらはまだ無傷です。おそらくメインサーバーから教授のハードが切り離されているので伯爵を経由しないと始祖にたどり着けないからです」

 「よし、そのまま始祖を起動させてくれ。伯爵のほうを一旦シャットダウンさせる」

 「ですがそうすると拠点内の防衛システムも機能を停止してしまいます。そうなれば世界にこの拠点の所在が筒抜けになります」

 「シャットダウンのタイミングを始祖の起動と同時ならいけないか?」

 「始祖に全権を移行させるということですね」

 「それでも一瞬だけ無防備な状態になります」

 「その為に総統閣下が空母へ向かった。どのみち教授が裏切った時点でこうするほか道はない、技術者の君たちの腕にかかっている。頼めるか」

 「はい。お任せを」

 「もちろん、最善を尽くします」

 「この拠点は人類の最終ラインだ。絶対に落とされてはいけない」

 

To be continued.

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