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アカギ戦記  作者: 饅頭
三章後半【協和法廷パリ】
129/163

皇 誠

 「やっぱりな。皇家から追放された双子。その兄、皇誠。祁答院蓮司けどういん れんじを殺した皇家の汚点」

 「あぁ。そんな名前だったか?」

 「双子の弟の方はどうした?」

 「弟は魔力を持っている。つまり皇家の能力を使える」

 「そういうことか」

 「無駄話してたら粛清領域も使えるようになったか?使えるようにしてあげたんだ。勘違いすんな、ハンデだよ」

 皇は大きく振りかぶって勢いよく短刀を投げる。

 「そう易々と何度も同じ手には乗らない。短刀の効果発動射程はこのくらいだろ」

 杏良太はそう言って軽く後ろへ飛ぶ。

 同時に短刀の効果によって皇が杏良太の目の前に瞬間的に現れる。

 そして現れた皇は短刀を再び能力を消す刀へと入れ替える。

 「能力の一時的抹消。なら発動しなければいい」

 皇の振り払った刀をギリギリで杏良太はかわす。

 「普通の思考なら。そうするよな」

 皇はそこからほぼノーモーションで急加速して黄色に光る硝子の剣を振りかざす。

 「そう来るよな」

 硝子の剣は杏良太に直撃する寸前でぴたりと止まる。

 「粛清領域をオートからマニュアルにすれば厄介な刀の攻撃をほぼ無効化できるだろ」

 「ならこうするまでだな」

 硝子の剣は瞬時に能力を一時的に消し去る刀へと変わる。

 だがそれより一瞬だけ早く杏良太は粛清領域を解除する。

 刀の軌道を身をひねりギリギリでかわすと同時に杏良太は手のひらで魔力の塊を形成する。

 それは赤く光る球体。

 「〈あかほし〉」

 魔力のないものだけを消し去る球体が皇へと放たれる。

 だがその攻撃は皇の持つ刀で無効化される。

 皇はそのまま大きく踏み込んで再度硝子の剣と入れ替えて新たに一撃入れる。

 「3回目!」

 剣で切り裂きつつ身をひねり回し蹴りを繰り出す。

 吹き飛ばされた杏良太はすぐに体制を立て直す。

 「魔力の流れが微量すぎて輪廻の魔眼でカウンターも決められないか」 

 「やはり過大評価だな。どんな強さかと思えば存外大したことないな」

 「そうか、ならとっとと殺してみるんだな。神意の魔眼でもずっとわからなかったその硝子の剣。一定回数同じ相手を切りつけることで魔力をチャージして最終的に放出する。というものかと思ったが、3度切られて今の状態を見てわかった。その剣は一定回数切った相手を封印する剣だな」

 「ご名答。といっても5回目で種が割れると思ったが、早かったな」 

 「俺の予想だと、赤、橙、黄。ときて次が緑なら虹の七色になぞられている。つまり7回切れれば封印可能状態」

 「あぁそういうことだ。だからおとなしくあと4回切られて封印されることだな」

 「はいそうですかって封印されるわけないだろ」

 「まぁ時間はまだある。確実に詰めてやるよ」 

 「なめるなよ。〈反転領域圧制牢獄〉」

 「あめぇ!」

 杏良太の能力による圧迫が始まるより早く皇は短刀を既に宙へと投げていた。

 瞬間的に距離を詰めて緑色に光る硝子の剣で杏良太を切りつける。

 「そこまでは想定済みだよ。この距離が欲しかった〈酔狂なる世界〉」

 杏良太の周囲において杏良太以外の生物は無重力状態になる。

 だがそれは正確な能力じゃない。

 杏良太自身もしなかったこの技が影響を及ぼすのは魔力を持つ生物。

 故に魔力を持たない皇には無意味。

 硝子の剣が次の光を放つまでのクールタイムは約5秒。

 自身の技の影響が普段と違い混乱することで杏良太の判断力は一瞬鈍る。

 故に生まれた隙。

 それを見逃さずに皇は青く光る硝子の剣で追撃を与える。

 「このまま一気に行かせてもらう」

 「〈飛翔の舞〉」

 杏良太は瞬時に上空へ向かって舞い上がる。


To be continued.

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