核爆氷華
6月7日、午前5時前。
三人はフォークストーン・ビーチ上空を飛行していた。
徐々に空が明るみ出していく。
『おい、なんだあれ!?二人ともビーチを見てくれ』
市ヶ谷に言われて葵とロゼは市ヶ谷の背中よりビーチを見下ろす。
暗いビーチへゆっくりと日の出の光が舞い降りる。
ビーチにはまばゆい炎の球体が徐々に形成されていく。
球体は徐々にその形を変えていき、人の形へと変わっていく。
「あれ、ゼロですわよ!」
「うそ!?」
『このままじゃまたいい的だ!〈ゼノンバトルゴー〉』
『Transform.Dragon Knight』
巨大な龍の姿から一瞬にして人型へと市ヶ谷は変形する。
葵とロゼはすぐにフライの戦闘魔法で宙を浮遊する。
ゼロは炎の翼を出現させて、それをジェットの様に噴射させて飛び上がる。
「レイ教授はどうしたんですの?」
「あぁアレは相当強かったね。死ぬのは久しぶりだよ」
『おいおい。それって域う帰ったみたいな言い方だな』
「龍種、お前なら知ってるだろ?死を覆す唯一の能力」
「そんなものがあるの?」
「それは加護の領域ですわ」
「そうだ。流石はローズ家のご令嬢だね。世界によって与えられる能力、僕が持ってるのは不死鳥の加護だ。さて、無駄話はもういいだろ、赤城葵。次こそ連行させてもらうよ」
「させませんわ」
「あぁさせないね」
ロゼと市ヶ谷が構える。
「仕方ない。〈核氷〉」
刀身に白い炎が灯る。
「〈核爆氷華〉」
白い炎が収束し、まばゆい光が三人を包む。
サファイア色のドーム型の光がビーチの上空で大きく広がり、そのドームが触れた部分は一瞬にして凍り付いていく。
やがてドームは直径50メートルほどで膨張を辞めて収束していく。
空にはその場に氷漬けにされた葵とロゼと市ヶ谷が並ぶ。
ゼロは三人へと近づきそれぞれに触れると、三人の氷像はビーチへと綿毛の様にゆっくりと降下していく。
「さてと、この二人をこのままは流石に上が怒るかな」
ゼロはロゼと市ヶ谷の肩に軽く手を当てる。
「これで数時間後には氷も解けるね。さてこれで心置きなく赤城葵を連行できる」
ゼロが葵を持ち上げようとしたとき、空より何かがビーチに飛来する。
白いトレンチコートに黒い皮手袋に黒ブーツ。
腰には一振りの片手剣。
「初めましてかな。悪いんだけどその女性の身柄、僕に渡してもらえない?」
To be continued.




