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アカギ戦記  作者: 饅頭
三章前半【仮面夜会ロンドン】
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焦土の世界

 「〈爆熱衝イクスバーン〉」

 ゼロが魔法を唱えるとゼロを中心とした周辺の空間が大きく歪む。

 空間に幾本もの亀裂が走りゼロを中心に大爆発が起こる。

 爆発により周辺の建物は全て消し飛ばされ空間の一部は元のロンドンの夜景が顔をのぞかせている。

 「今の爆発でもこの程度しか結界に損傷を与えられないのか」

 「随分とまぁ派手に人の世界を荒らしてくれるじゃないか」

 半壊した建物群の奥から武装したレイが現れる。

 同時に大量の兵士が四方八方より迫りくる。

 「物量で来るタイプの結界ね、なら〈氷点ひょうてん〉」

 ゼロの背中より氷の翼が顕現し周辺に霜が降りる。

 「〈永久凍土エターナルグレイ〉」

 氷の翼が粉々に弾けると共に目にもとまらぬ速さでゼロの周囲が凍り付いていく。

 時間にして1秒足らずで迫りくる兵士たちは全て氷漬けにされてしまう。

 無論この結界の主たるレイも同様に氷漬けにされてしまう。

 「じゃあ改めてこの結界を破壊して現実世界に戻らせてもらうとしようかな」

 「そうはいかない」

 レイの声に驚いてゼロは氷漬けのレイをみる。

 だが未だに氷の中にとらわれている。

 「それは既に私ではない」

 「!」

 背後からの声に驚き振り返ると至近距離にレイが立っていた。

 すかさずゼロは距離をとる。

 「私はここにいて、ここにいない。戦火の中では時に見方も敵も区別がつかなくなる、昨日まで隣で寝ていたやつがいなくなったりもする」

 「・・・。何が言いたいのさ」

 レイは煙草を一吸いして静かに上を指さす。

 ゼロがつられて見上げると眼前にまで迫った特攻機の姿が目に入る。

 「〈獄t」

 詠唱が終わる前に特攻機はゼロへと直撃する。

 人の焼けるにおいがあたりに立ち込める。

 「その程度じゃ死なないだろうよ」

 レイは上へと刺した指先をゆっくりと正面の爆撃地へとおろす。

 するとそれを合図にドンと太鼓をたたいたような音にそれに続きヒューっとまるで花火でも打ちあがったのかと思わせる音が鳴り響く。

 そしてドーンと先ほどよりも大きな音が鳴る。

 レイの後方よりガタガタとディーゼル車の様な音をたてながら現れるは三台の戦車。

 先ほどの一連の音の正体は戦車の砲撃音であった。

 特攻機の一撃に加え戦車の砲撃の雨を受けても尚その爆煙の中よりゼロは現れる。

 「今のは効いたね。さてと僕の本気を見せてあげるよ〈核氷かくひょう〉」 

 腰を落とし刀を両手で構える、その刀身は白い炎が包む。

 炎はノッキングの様に大小大小とその大きさを変化させる。

 「〈心火宝刀サーベルオブハート〉」

 刀を一振りすると光の斬撃が結界を一気に切り裂く。

 結界はその形を維持できなくなり世界は崩れていく。

 戦場の世界は一変し元のロンドンの夜空へと塗り替わる。

 「ふぅ。奴は何処に」 

 氷の翼を広げてゆっくりと滑空しながらゼロは周囲を見渡す。

 「〈秘剣・電光石火〉」

 「!?」

 気が付いた時には遅くゼロの両足が切り飛ばされる。

 「これが私の能力【パーフェクトトレース】。能力をトレースしているんだ、君にできて私にできないことはない。【氷炎】、確かにとても強い力だ。だが結界を破壊するほどの火力を出せばそれを冷却しなくちゃいけない、故に今の君は炎の側を使えない」

 「僕の力を熟知しているのか!だけど、炎が使えないのもあと数秒だ」

 「そんな数秒与えると思うのか?88㎜弾頭を受けるがいい」

 レイが指を鳴らすと虚空より出現した砲塔が消炎を上げ一発の弾丸をゼロへと放つ。

 弾丸は一寸の狂いもなくゼロの胸部に大穴を空ける。

 被弾した部分は氷が砕けたように弾け、両腕と頭は胴体より切り離される。

 粉々になった肉体は風に流され風化する。

 「これで死んだとも思えないが・・・」

 レイは周囲を見渡しながらゆっくりと地面に降り立つ。

 「さてこれだけ時間を稼げれば大分逃げられただろ」


To be continued.

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