ゼロ
同日23時。
コヴェント・ガーデン駅付近。
葵のスマホが鳴り発信者をみるとエレンの出ている。
「もしもし、エレン?」
『ハーイ!アオイ!今どこ!?』
「え?今はコヴェント・ガーデン駅を通り過ぎたとこだけど」
『アオイ!絶対にロンドン拠点に来ちゃダメ!』
「え?どうして?」
『今アオイに対して反逆容疑がかかっているの』
「反逆!?」
『理由は私も詳しくはわかんないんだけど』
「とりあえずわかった。ちょっとまた連絡する」
葵はエレンとの電話を切りロゼに電話を掛ける。
『ハイ葵。どうしましたの?』
「ロゼ、あのね私指名手配になったんだけど」
『はい!?』
「どうしたらいいかな?」
『どうといわれましても、状況がわからなすぎですわ。何がどうなったら数分で指名手配になるんですの?』
「正直私も知りたい」
『とりあえず今どこにいますの?迎えに上がりますわ』
「ありがとう。今はコヴェント・ガーデンって駅の近く」
『では駅前で合流しましょう。一旦切りますわね』
「わかった」
葵はロゼとの電話を切って駅前へと走る。
時計を見ると時刻は23時38分。
「あとどのくらいで来るかな。ってまた電話」
電話の相手をみるとそこにはエレンと表記されている。
「次は何だろ。もしもし?」
『アオイ!今すぐに国外に逃げて!』
「え?」
『だから、ってうわっ!ス、スミス一等星!え?電話の相手?あ、いやぁ』
プツ!
「あ、切られた。とりあえずロゼをまって・・・・なにあれ?」
葵は夜空のひときわ明るい光に目をやる。
それは飛行機の光やヘリの光でも、ましてや星の光でもない。
ただ言えるのは、それがここに向かって真っすぐ飛んできているという事。
「って、ぶつかるって〈ソイルウォール〉」
すぐさま正面に土の壁を形成する。
直後、空からの飛来物が眼前に着陸する。
飛来物が降りると同時に周囲には白い煙が立ち上り視界を遮る。
ジュ―っと熱い鉄に水を一気にかけたような音が木霊する。
葵が土壁から顔を覗くとそこには真っ白な軍服に白いマントをなびかせる少年が立っていた。
白銀の髪に真赤な瞳孔。
童顔に低身長。
その身分は襟元の階級章が証明する。
「特等星・・・・」
特等星とは役員の一つ下の階級。つまるところ隊員としての最高階級といっても過言ではない。
葵の現階級は二等兵、17階級も上ということだ。
「君が反逆者だね」
「いえ!何かの誤解では!?」
「誤解かどうかなんて僕には関係ない。僕の仕事は君の連行。無駄な抵抗はしないことだね」
「私の連行!?ってことは・・・第四部隊!」
「そうだよ。僕は第四部隊の部隊長。レオ・・・・いや、ゼロ特等星と呼ばれてるよ。まぁ一応確認するけど、赤城葵で間違いないね。現在君の階級は没収されている。この意味わかる?」
「どういうことですか」
「要は君が自身の弁護を出来るのは役員裁判だけってこと。それじゃ大人しく連行されてね」
To be continued.




