超常対策秘匿機関
「元公安警察所属、赤城葵です!本日より超常対策秘匿機関、第十三部隊に配属になります!よろしくお願いいたします!」
ビシッと敬礼をして名乗った彼女に対して目の前に立つ女性も敬礼を返す。
「超常対策秘匿機関、第十二部隊所属の氷室亜里沙だ。ようこそアトランティスに」
「ありがとうございます!」
「うむ。形式的なことはこの辺で、そこにかけてくれ」
氷室が先にソファに腰を掛けるとその対面に葵は腰を下ろす。
「葵、君の経歴は見させてもらった。その若さで公安警察とはな」
「はい。恐らく兄の計らいかと」
「そうだろうな。だが一年と経たずに自主退職を申請。その理由は数日前の事件によるものと」
「そうです」
「自主退職は却下、君には二つの選択が与えられた。公安か別の組織か。何故こっちに来たんだい?そのことばかりは聞いていないからね」
「はい。元々公安に私の居場所はなかったんです。祖父も父も警察、そんなんだから娘の私も同じ道を進まされる。いい結婚相手が見つかるからとかなんとか、私は家の道具じゃない。だから小さい反抗期みたいなものです。だからここに来ました」
「なるほど。十分だ。よし、きたまえ。君のバディを紹介する」
「はい。あ、十三部隊の隊長は?」
「祁答院の奴から聞いていないのか?」
「ええ」
「十三部隊に隊長は存在しない。基本的な命令系統は私だ。書面上の上司は祁答院だ」
「承知しました」
氷室の後を追って10フロアほど地下に降りる。
そのうちの一室に案内された。
「ここだ」
部屋の中には両腕を拘束され目隠しをつけた囚人服を着る長髪の男が座していた。
「こいつが葵、君のバディだ。名をヤクモ。こいつは特別指定災害の吸血鬼。この部屋から出ることを禁止されている。というか出られない。仮に完全に外に放たれた際は、君が指名手配される」
To be continued.