漫才「昔やんちゃしてた」
ボ=ボケ ツ=ツッコミ
ボ「いやさぁ、俺さ『昔やんちゃしてました』って誇らしげに言う人が嫌いなんだよね。」
ツ「そういう意見多いですよね。『やんちゃで迷惑被った側の気持ちは考えたことあるのか!』って」
ボ「周りもチヤホヤするじゃない『やんちゃ』だった人を。」
ツ「『昔はやんちゃだったけど今は真面目にやってて成長したね~』なんてね。やっとまともな人のスタートラインに立っただけなのにねぇ。」
ボ「だからね、『昔やんちゃ』ということを誇る人を撲滅する方法を考えようと思うんですけど、はいそこのお客さん。あなたはどう思いますか?」
ツ「いやいや急すぎる。いきなりお客さんに意見求めるのは違うでしょうよ。何でそんなことするの?」
ボ「え?一番やんちゃそうだったから。」
ツ「いやいやいや絶対ダメ。まずお客さんに対して失礼だし、そもそも撲滅しようとしている俺らが『やんちゃ』とか人に使ったら絶対ダメ。論理が破綻しちゃうから。」
ボ「だって昔は僕らの漫才中にあくびしたりスマホ触ったりして『やんちゃ』してたけど、今は真面目に漫才聞こうとしてますからねあの人。」
ツ「やめろ!勝手にお客さんの聞く態度悪くしてんるんじゃないよ!『昔は』って勝手に過去を決めつけてるんじゃないの!あと、あくびとかしてるのは『やんちゃ』とかじゃなくて我々の実力不足が原因だからね!」
ボ「いやはやすみません。まぁね、僕が思うに、色々昔やっていた悪事を『やんちゃ』って一言で片付けてることがいけないと思うんですよね。」
ツ「『やんちゃ』ってちょっとポップな言い方してるのがよくないですよね。本当はそんなポップな言い方で片付けられないような悪いことばっかりしてますからね。」
ボ「ほんとですよ。授業中に人の頭に消しカス乗せたり、後ろの人にプリント渡す時に手に力入れてプリント取りにくくしたり......。」
ツ「いやそれは滅茶苦茶ポップだなぁ。そんなの全然可愛いよぉ~。」
ボ「いやアレで俺は、授業中いつ消しカスが頭に乗ってくるかビクビクしてたし、今日こそはプリントを取るときにプリントがビリビリ破れてしまうかんじゃないかと怯えていたし。」
ツ「それはお前が神経質なだけだろ!もっと酷いことあるだろ!」
ボ「あ~3色ボールペンの色をごちゃ混ぜに入れ替えらたとか、貸したシャーペンに付いてる消しゴム勝手に使われてることとかね。」
ツ「いやそんな地味に酷いことじゃないんだよ!カツアゲとか万引き強要とかあるだろ!何でさっきから筆箱周りのことなんだよ!」
ボ「ごめんごめん。いやほんとに『やんちゃ』と言われてる奴がやってることはもう犯罪行為ですからね。」
ツ「そうですよ。被害者側は訴えてもいいレベルですからね。」
ボ「使わないバットを車の中に入れていたり、電車の切符を買う行列に割り込んだりね。」
ツ「いや確かにそれも犯罪行為らしいんだけど、そういうのじゃないのよ!あいつら『実は犯罪行為』をやって『やんちゃしてました~』とか言ってないのよ。『明らか犯罪行為』を誇らしげに語ってるの!」
ボ「けど皆さん今言ったことも犯罪らしいですから気をつけてくださいね。」
ツ「気をつけてくださいね。いやだからね。あいつらは犯罪者とか前科者とか呼称すればいいじゃない。」
ボ「でもあいつら「前科者」とか呼ばれることもカッコイイと思ってるんじゃん。」
ツ「まぁ漫画や映画の影響受けたりしてるからね。」
ボ「だからねもっとダサい呼び方で読んでやればいいと思うわけ。」
ツ「たとえば?」
ボ「金銭を己の拳で勝ち取りし者」
ツ「ん?」
ボ「パシりから学ぶ労働者の基本」
ツ「は?」
ボ「ショップリフティングオーガナイザー」
ツ「いやいやいや、全然ダサくないじゃん!『金銭を拳で勝ち取る』ってカツアゲをかっこよく言ってるだけだし、『パシリから学ぶ』ってあれを労働を捉えてはダメでしょ!あと、『ショップリフティングオーガナイザー』って何?」
ボ「万引き強要するやつ」
ツ「だよね!『万引き』のこと英語で『ショップリフティング』って言うけど。カタカナ使ってオシャレにするなよ!」
ボ「じゃあ。これは?『カツアゲや万引き強要をしてたら『やんちゃ』と呼ばれて女の子からチヤホヤされた件』」
ツ「ラノベ風タイトル辞めろ!長ったらしい!あと、結局『やんちゃ』でモテちゃってるじゃねーか!」
ボ「やんちゃなキャラって人気じゃん?」
ツ「確かにそうだけども!悔しいことに!ていうかお前がやんちゃ撲滅とか言い出したのに!さっきから議論になってね~よ!」
ボ「なぁ?全く話が嚙み合わない俺って結構『やんちゃ』だろ?」
ツ「滅茶苦茶『やんちゃ』に憧れてるじゃねーか!もういいよ!」
ボ ツ「どうもありがとうございました~」