J A M E S C I G A R E T T E O R I G I N ――― T H E F I N A L E ―――
夕闇と共に現れーーーーーー
朝日と共に消えるーーーーーーーー
ーーーーーその者の名はーーーーーーーー
西暦20XXX年、ネオロンドン中央小学校旧校舎前にて......
「ここが旧校舎か!」
ジェームズとジョン・スミスの前にそびえ立つネオロンドン中央小学校旧校舎は、夕焼け空もあいまってどこか異様な雰囲気を醸し出していた......
「ここが旧校舎か............」
「さっそく卒業証書を探しにいくぞ!!!!?!!!!」
ジェームズとジョンとスミスは駆け足で旧校舎の中へ入っていった......
旧校舎の中は薄暗く、荒れ果てていた......
そしてジョン達は30分ほど旧校舎内を彷徨い、ようやく校長室を発見した......
「あそこが校長室だ急げ!!!」
ジェームズがジョンスミスに続いて校長室に入ろうとしたその時、廊下の突き当たりに何者かがいることに気が付いた……
その者の姿はとてもおぼろげで…それはまるで影か闇か…あるいは"火煙"のようであった…
「.........何者だ......??」
「クックックック......小童......俺が見えるのか...クックックックック......このネオロンドンにまだ......お前ほど才気あふるる者がいたとはな......」
「...????......何者なんだ......?????」
「クック.........俺は"何者でもない"...............あるいは............ネオロンドンの影とでも言うべきかな...クックック......」
「...お前はいったい......????......何者なんだ............???????」
張り詰めた空気を吹き飛ばすように、スミスが校長室の外にいるジェームズに呼び掛けた。
「おーーーいジェームズ!!!!早くこいよ!!!!!!!卒業証書が見つかったぜ!!!!!!」
「......お前は......いったい......???????」
ジェームズが校長室に入ると何者かの姿は見えなくなった............
「やっと来たかジェームズ!!!卒業証書はここだ!!!!!」
ジョン・スミスはおもむろに振り向くと、ジェームズに卒業証書を掲げて見せた。
「一件落着だな.........これで万事解決というわけだ............」
「否……実は問題がある!!!それは.........卒業証書はこの1枚しかないということだ!!!!!!!!!!!!!」
「......なんだと.........?......?」
ジェームズはジョン・スミスの様子がおかしいことに疑念を抱いていた………そしてその疑念はすぐに確信へと変貌を遂げることとなった............
「つまり卒業できるのは一人だけ............!!!!!!???!?!?!??......!!俺だけが!!!生きて帰って!!!!!!卒業するんだぁァ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ジェームズが咄嗟に身を屈めると、ジョン・スミスの卒業証書は空を切った。
「正気かジョン・スミス!?」
「クックック......この世は弱い者が死に、強いものが生き残るんだよジェームズ!!!!!???!!!!...クックク......」
「まさか......取り憑かれているのかジョン・スミス......!!??........."お前"はいったい......????......"何者"なんだ............???????」
「くたばれぇーーーーーーーーっ!!!?!?!?!!!!!」
ジョン・スミスが証書を振り回すと、塵は舞い上がり、火花が舞い散った......
「......まずい!!!!!!」
【才気あふるる異端児】《ジェームズ・シガレット》は一瞬にして気付いたのだ......
粉塵が飛んでいるこの状況で火花が発生するとどうなるか......そう、粉塵爆発である......
粉塵爆発とは、粉塵が飛んでいる状況で火花が発生すると、爆発が起こるという現象である......
「ぐわーーーーーーーーーーっ!?!!!!!!!!!」
校長室に爆音が鳴り響き、爆風が吹き荒んだ!!!!!!!!
すんでのところで爆発を回避したジェームズは、大の字になって倒れているジョンスミスの傍に駆け寄った......
「大丈夫かジョン・スミス......!?!?」
「ジェームズ……すまなかったな…俺はここまでのようだ……………この証書を…持っていくんだ……!」
「ジョン......?......ジョーーーーーーン!!!?!スミスーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!?!?!??!」
ジェームズの呼び掛けもむなしくジョン・スミスは事切れた……
ジェームズはジョンから卒業証書を受け取ると、ゆっくりと立ち上がって歩き出した......ジェームズがジョン・スミスの方を振り返ることはなかった......
西暦20XXX年、ネオロンドン中央小学校前にて......
「ジェームズ君!ようやく帰ったか!」
ジェームズがネオロンドン中央小学校前に着くと、校長が駆け寄ってきた。
「ジョン・スミス君の姿が見えないようじゃが………………」
ジェームズが黙って首を振ると、校長は全てを察した様子で神妙な面持ちで俯いた......
「......そうか、ジョン・スミス君は............」
夕闇が世界を包む中、ネオロンドン中央小学校のチャイムだけがどこか寂しく鳴り響いていた......
西暦2XXXX年、ネオロンドン中央区にて......
ジェームズの卒業式と、ジョン・スミスの告別式が行われてから数ヶ月が経ち、ネオロンドンはかつての活気を徐々に、しかし確実に取り戻しつつあった。ネオロンドン中央小学校旧校舎で起こった事件も、人々の記憶から忘れ去られようとしていた......
しかしジェームズ・シガレットは忘れてはいなかった……
ネオロンドン中央小学校旧校舎で見た何者かのことを......
そしてジョン・スミスの死を......
そしてジェームズは朝日に誓った―――
――――――"ネオロンドンの影"の正体を突き止めることを――――――
―――そして―――
――――――――――ジョン・スミスの仇を取ることを
ありがとう。
さようなら。