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オタクアンダーソン-神の手違いで異世界へ-  作者: 生くっぱ
第四章 【転移後転移編】
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第95話 どんな事も慣れれば日常

 アズライールさんの言う事には。


 こっちの世界には、人族、魔族みたいに複数の種族が存在し、その中の魔族が一番力を持っているらしい。


 その魔族の王が穏健派から過激派へと代替わりし、他種族への侵攻を視野に入れ始めているそうだ。やばすんぎ。


 そして魔王の率いる組織、魔族軍の構成は、魔王、六魔将、それぞれの将軍親衛隊、そしてその配下たち。兵力は人族の10倍とも目されているとか。無理じゃね?


 そんな魔族が今の時点で他種族を攻め切れていないのは纏まりがない為。どうやら数ほどの脅威はなく、一個一個であれば他種族が上回っているとか。ただし六魔将親衛隊に匹敵するレベルは人族にもそうは居ないらしく、結局数も質も魔族が上。


 ただ今侵攻すれば他種族から総出で攻め滅ぼされる可能性があるという点から、まだ動けていないに過ぎないらしい。


 そして、俺たちの世界に侵攻していたのは魔王軍六魔将が一人、ユーレン・タールポート。


 実験好きの狂った将軍で、ほぼ戦いに出てくる事はないらしいのだけれども、こいつが作り出す強化魔族が厄介だそうで、かなりの手練れを作っては使い捨てているらしい。


 心当たりしかない。


 その実験好きが功を奏して見事に異世界の存在に気付き、自力で穴をこじ開け、通れる様にまでしてしまったと。普通にやっている事がヤバ過ぎる。


「ほんで俺は、商人言うても奴隷商人や」

「やっぱりそんな感じでしたか」

「……まぁえぇ。その奴隷の密売が後を絶たんくてな。大量の奴隷がユーレンの所に流されとる」

「それを阻止する為に?」

「散々やってきたけど、大した効果は出とらん。仕組みそのものが敵みたいなもんや」

「なら何故その奴隷商人に?」

「湿っぽいのは無しや、単純に俺の強さ、能力で奴隷商人をやれば、ある程度はコントロールが効くからな」

「アズライールさんで、どれくらいの強さなんですか?」

「人族では最上位やろうな」


 最上位!!

 ふぅ、危うくまたステータス1のクソ雑魚スタートなのかと焦った焦った。最強クラスが相手ならまぁ仕方ないか。


「だから商人たちは言う事を聞いてくれるんですね」

「まぁ表向きはな。それで全部が上手くいったら楽なんやけど、そうは行かんのがややこい所や」

「成る程」

「俺のおる街に粗悪な商人はもうほぼおらん。見つけ次第締め上げとるからな」

「粗悪な商人?」

「飯も出さんと適当な事ばっかして金だけ稼いで、その商品すらその辺から拾って来とるゴミどもな」


 この人、奴隷商人が嫌いだから奴隷商人やってるのか。面白いな。というか、奴隷か。なんか異世界っぽいけど、響きが重いな。


「で、その調査の為に怪しい場所にアタリを付けて張ってたら、ノコノコとエルフを連れた魔力垂れ流しマンが現れたと」

「流石に無視は出来んやろ?」

「ここまで聞いたらそうですね」


 この人はアレだな。

 相当なお人好しだ。


 頭も良いし、力もあった。その上でお人好しだった。だから今もこんなに強いのにまだ頑張って足掻いている。


 んんーその上でこの世界最強クラスときたもんだ。

 これはもうアレだな。

 この人でいいな。

 エルメスさんに相談……はいいか、大丈夫っしょ。


「さて、アズライールさん」

「何やねん改まって。断る」

「えぇ、いやヒド」

「酷くないわ、どうせ厄介な事言おうとしてるやろ? 無理無理、断る」

「弟子にしてクレメンス」

「断る!!」

「力一杯断らないで! あたしたちの仲じゃない!」

「何やねん、擦り寄るな! キショい!!」

「酷い! 私の事散々丸裸にしておいてここに捨てて行くつもりなのね!」

「いや帰れや、来たとこに帰れ。それで終いや」

「袖張り合うも他生の縁っていうじゃないっすか」

「縁? 切れた切れた」

「結んだ!」

「結ぶなや」


 んもー頑固なんだからこの人!


「メリットがなさ過ぎるわ。なんで俺がこんなしょんべん小僧と馬車馬の面倒見なあかんねん、面倒臭いわハゲ」

「でゅふふ、そこを何とか!」

「無理やゆーてるやろ。俺忙しいねん」

「その割にはボッチですよね」

「は? やかましいわほっとけ」

「ボッチ乙」

「シバかれたいんかおのれ」

「ですので、弟子にしてくれたらそれに見合っただけのお返しは致します。これマジで」

「……ほぅ、そうきたか」


 まぁそれしか差し出せる物も無いし、何ならレベルアップする上でこの人以上を安全に探すとかまずもって無理。今しかない、押し込めアンダーソン!


「何とぞ! お願い! アハン!」

「せやな……、まぁ確かに誰も全く知らん状況でお前レベルの部下が参入したら……土壇場で使えるかもしれんな」

「そこはお手柔らかに……」


 目の前のアズライールさんは少し考えを巡らせて……そして口を開いた。待って待って、怖い怖い。土壇場で使う? この人レベルの土壇場って何?

 六魔将と戦う時ですね分かります。

 アアアァァマズイかもしれないぃぃぃぃ。


「今、俺の置かれてる状況は……かなり悪い」

「えっ」


 あれ?

 押し込む所間違えた?

 んん?

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