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オタクアンダーソン-神の手違いで異世界へ-  作者: 生くっぱ
第四章 【転移後転移編】
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第94話 鬼ごっこ中にかくれんぼする奴が最強、かくれんぼ中に鬼ごっこする奴が最弱

 ピンチは去った、と思っていいのか?

 ふぅ、危うく漏らす所だった。

 あれ? ほのかに股間が涼しい様な……。


「何漏らしとんねん、やる気無くなるわアホたれ」

「あ、あの、これ地元の挨拶なんですよね。初めましてーんじょじょじょみたいな」

「お前の地元臭すぎるやろどんな風習やねん。死んでも行きたないから後で場所教えといてくれや」

「なんなら今から……え? 後で?」

「取り敢えず着替といで、待っといたるわ。ホンマにトイレ行きたかったんかいな」

「え?」

「ユーレンとは無関係、せやろ?」

「え、あ、はい。まぁそうなんですけど。というかゆうれん? がそもそも人名なのか食べ物なのかさえ分からない始末でして」

「悪かった、恨み辛みで無関係な奴に当たってたみたいやな。まさかほんまに旅人やとは思わんくてな。逆に不自然やろ、なんでこないなトコに旅人がおるねん」

「確かし」

「ふ、流石リーダー。和解した様だな」


 え、エルメスさん?

 まだあまり挑発しないで。

 お願い。

 人の事言えないけど。


 ズイっと、俺の前に出たエルメスさん。

 ちょ待てよ。


「バッ、ちょっ、おまっ……」

「自己紹介が遅れて申し訳ない。私はエルフ族のエルメス。彼のパーティーの馬車馬担当だ」

「ブレませんねエルメスさん」

「お前エルフの女を馬扱いしとんのかいな」

「いや信じないで? どう考えても嘘じゃん?」

「いや、よく考えたら馬というより雌豚かな」

「エルメスさん!?」

「はぁ、もー頭痛いわ……なんやねんこれ。馬なんか豚なんかハッキリさせろや」

「そこ重要でした?」


 ひとまず状況は沈静化された、むしろチン聖化されたと言っても過言では……はい失礼しました。


「にしてもエルフか。人と戯れとるのは珍しいな」

「そうなのか? 確かにそれ程一般的ではないのかもしれないが」

「パターンとしては森に引きこもってるか、奴隷にされるかやからな。お友達ってのはレアケースや。普通は見つけ次第そっこーでボコボコにして首輪つけてそれでしまいや」

「首輪か、まぁリーダーにつけられるならそれもやぶさかではな」

「やめなさい」


 ひとまず謎の死神マンに案内されるがままに少し移動し、転がっていた小型の岩に腰を下ろした。


「ええ加減魔力しまえや、いつまで垂れ流しとんねん」

「え、引っ込めてますけど?」

「は? お前まさかそんな初歩的な事もでけへんのか?」

「え? ……え?」

「ならこっちを威嚇した魔力やなかったと?」

「威嚇? はしてなかったつもりなんですけど」

「面倒臭いわぁ、何やねんこいつ。そやのに何でこないに強いねん訳わからんわ」

「いや、そう言われましてもですね……」


 どうも魔力の扱いがなっていないらしい。まぁ確かにそんな事に注視しなきゃならない程困る事もなかったし、……うーん、魔力ってオンオフだけじゃなかったの?


 なんかステータスの存在のせいでRPG思考になってたのか? 今考えると全然能力を錬磨してなかったわ。鍛える方法ってのはレベルの上昇のみ、だから敵を倒したらパワーも魔力もアップする! って感じだと勝手に思い込んでた。いや待てよ、とするとここが取っ掛かりで強くなれば良いって事か?


 おっと、今それはいいか。

 まずはだ。


「えー、そろそろ経緯を話させて頂いても?」

「聞かせてくれ、俺も情報は少しでも欲しい」


 ひとまずこの千狐さんっぽい喋り方の死神に、ここまでの流れを説明する事に。どうせガチで来られたら逃げ切れないし、洗いざらい全部話しておいた。


 あ、因みにズボンとパンツは死神マンの持っていた謎の水が出るアイテムで洗いました。マジ感謝しかない。


 乾いた訳ではないけど前例では燃えちゃってる訳だし、濡れたまま履いておいた。ここで燃えたらマジでシャレになりませんから。下半身寒す。


「ほならお前、そこの魔力スポットから出てきた向こう側の人やっちゅー事かいな」

「まぁ……そうなりますねぇ」

「せやかてそんなちょっとした魔力的な揺らぎしかない場所からどうやって?」

「え、あの黒い渦からスッと入ってパッと出ればすぐですけど?」

「黒い渦? 何の事や?」

「あ、えっと……もう少し行った先の黒い渦の事なんですけど」

「……お前にはそう見えんのか?」

「え?」


 あれ? 見えないの?

 エルメスさんみたいに?


「私にも確認出来なかったな。一応私単独では移動も出来なかった。リーダーに手を引いて貰えれば、見えなくても通れはしたのだがな」

「あれ? 俺にしか見えてないの?」


 あそこに普通にあるのに?

 なして?


「つまりアレか、お前には入ったのと同じ出口が見えとるけどツレにすら見えとらんと」

「私には見えないな、存在すら消えている様に見えている」

「デジマ? どゆ事?」

「まぁええわ、つまり纏めるとや。お前らもユーレン一派からの侵略を受けて被害を受けたから、その根源を断つべく単身敵地に乗り込んで来たところですぐに俺と遭遇、今はまだ全体的に訳分からん状況って事やな」


 超的確、この人……面白いな。

 こういうタイプは好感が持てる。

 ちょっと怖いけど。


「そういう事ですね、因みにここって何処なんですか?」

「地図出すわ。ほら、ここら辺や」

「……何だこの地図は」


 あーやっぱ向こうの地図とは全然違う。

 カスってすらない。


「嘘やろ? 全く違うんか? まさか長距離移動ですらない?」

「いや、長距離移動は長距離移動だった様な……。いや、空間移動か? 世界間移動?」

「向こうの世界には私の方が詳しい、私が答えよう。200年生きてきたが、こんな地図見た事ないな。受け入れ難いがもう別の世界であると認識した方が早いだろう」

「そうか、あの魔力の揺らぎは異世界に通ずる道やったんか。たまに消えるユーレンの部下どもを追い切れんかったんはそんなカラクリが。あいつら気配ごと完全に消えよるからおかしい思とったんや。追跡するにも罠やったら死ぬから追い切れんしな」

「そのユーレンっての、誰なんですかね?」

「そうか、そっち側におったんならそら知らんわ。軽く説明しよか。っと、その前にやな」


 その場で軽く居直る死神マン。

 ほんの一挙一動にビクつきますわ、怖い。


「挨拶が遅れてすまん。俺はアズライール、今は商人やっとる者や。それよりひとまずユーレンやな」

「おねしゃす」


 この人商人なの?

 死の商人って感じ?

 それは買いませんから。


「お前ええ加減にせーよ?」

「え、何故心の声が!?」

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