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オタクアンダーソン-神の手違いで異世界へ-  作者: 生くっぱ
第四章 【転移後転移編】
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第92話 気を付けてても細心の注意を払っても事故る時は事故る

 周りを見渡すにマジで遮蔽物のない開けた平原で、タイミングによっては微かに塩の匂いがした。どっちかの方角に海とかありそう。


 川でも見つかれば話は早いのだろうけれど、割とマジのガチで何もない。どう動くのが正解だ?


「エルメスさんならどっちに向かって進む?」

「ここまで単調な場所だと、現在地がわからなくなって戻れないなんて事にもなりかねないからね。この黒い渦? 私には見えないが、こいつの魔力は探知出来ないのかい?」

「んー、今ぐらいの距離ならあるなーって分かるけど、離れると自信なすび」

「成る程、ならば私が人肌脱ごうか。リーダーがこれを探知できる距離はどれくらいだい?」

「ん? んー……この辺りかな。ここより進んだらもう分からない」

「了解だ」


 そういうとエルメスさんは地面から一本の植物を生やした。

 花もついていない、特徴もない、何の変哲もない植物を生やした。


「私は何キロ離れていてもこいつを探知できる。この先ある程度進む度にこいつを生やしておこう。そうすれば迷わず帰れる筈さ」

「有能過ぎワロタ」

「因みに、君から見てこの植物はどんな感じだい?」

「ちょープリティ」

「それは良かった、なら大丈夫だな」


 最早聞き返してもくれないエルメスさん以心伝心過ぎて怖い。多分魔力的に違和感があるかどうかを聞いたんだろうけど、俺がこの距離でも全然分かんないから多分大丈夫だろうって感じらしい。凄いやエルメスさん。


 因みにマジックバッグは機能を停止していた。これのせいで食べ物が無くなったのだが、エルメスさんが植物をニョキニョキやってくれるので、水分と炭水化物は大丈夫そう。まぁ数日程度なら余裕そうだ。食べられそうな奴がいたらとっ捕まえて食べる事に。


 そんなこんなで暫く東に進んだけど、割とマジで何もなかった。日の登り方と沈み方で多分方角はあってると思うんだけど、収穫なし。収穫なしという収集があったって訳だな。


 時折、向こうで言う所の魔物みたいな奴らと接敵した。まぁ俺とエルメスさんがいて手こずる様な相手はいなかったけど、こっちにも魔物っているんだなって感じだ。


 相も変わらず3時間ほど東に進んだ俺たちだが、唐突に草原が終わった。何というか、そこからは荒野だった。


 その荒野に入った瞬間、ちょっと気持ち悪い感覚があった。なんというか、こう、ヌメッとしたような空気が変わる感じ? エルメスさんも感じたらしいから魔力的な何かかもしれない。キモ過ぎて草原に戻って、草原と荒野の境目を移動する事にした。3時間ほど南下すると、また東に向かって草原が広がり始めた。何なのこの荒野。


 再び東向きに草原を進んだ辺りで暗くなって来たので今日はここまでにする事に。丸一日、そこそこの移動力のある二人が無理のない範囲でちゃんと移動して収穫なし、だ。んー明日は戻るべきかね。


 翌朝、街か村か分からないけれど、集団生活していそうな場所を発見した。外壁でガッチリ囲われており、気さくに入れそうな雰囲気ではなかった。


 だけれども、漸く生活感のある場所を発見した。規模的にはパイセンの国くらいありそうな大きな所で、明らかに外敵に備えている感じだ。街か村かって言った気もするけど、アレは城に近い感じだと思われ。


 潜入捜査は諦めた。


 うーん、未開拓で人と会う事にすら慎重にならざるを得ないってのは実にややこしいな。


「もっと気さくに立ち寄れる村みたいな場所や、明確な道があればマシだったのだがね。そしたら人に尋ねたりも可能だったかもしれないが」

「うーん、思ったよりやり辛いな」


 敵に探されている雰囲気もなければ、出ていった敵がどっちに向かって進んだのかもわからない。あの黒い渦を見張って、奴らが来る方角を搾るにしても、そこで鉢合わせたら負ける可能性すら考えられる。


 さっき見つけたあの城だって、今現在の情報だけなら敵の拠点の可能性の方が高い訳で。


「まぁこんなものかなぁ」


 トボトボと来た道を戻るハメに。帰りは境目を道標に西に進んで、少し北上して、また西へと進んだ。


 何もなく、ただ魔物が普通にいて、草原が続いていて、東から西にガッツリ進んだのに整備されてそうな道や道路がなくて、1日半進むと城があって、そこには近寄れない。この3日の収穫といえばこの程度。後もう少しで例の黒い渦って感じではあるが、徒労感が否めない。


「そうは言っても二人とも無事で何よりじゃないか」

「まぁそれはそう」

「もうすっかりクタクタで酒でも飲みながら美味い物を食べないとやってられないよ」

「美味い物、いいねぇ」

「そうだ、帰ったら酒でも飲まないか! そう言えばリーダーは酒は飲めるのかい?」

「いやそういう露骨なフラグはヤメろし」

「ん? そうかリーダーは酒は飲めないタチだったか。ならたらふく呑んで酔った私を介抱してくれ」

「いや俺飲まないだから普通遠慮しない?」

「ほれ見たまえよリーダー私のこの身体を。何を隠そう、私は飲むと記憶を失うタイプだ」

「だから何なんだし」

「そしてベロベロになるまで飲んでしまうそうだぞ?」

「だだだから何なんだし」

「おや、皆まで言わせる気かい? 私に飲ませてさえしまえばあの時揉み散らかした私の身体をす」

「やめなさい」

「つれないなーリーダーは。ん?」


 何だ?

 何か遠くから不思議な気配を感じる。

 南の方だ。


「エルメスさん」

「あぁ、何か居るな」


 何か居る、それは間違いない。

 問題なのは。


 そいつが俺たちよりも強いかもしれないって所か。

 変なフラグ立てるからぁぁぁぁ!!!

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