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オタクアンダーソン-神の手違いで異世界へ-  作者: 生くっぱ
第三章【アーデンバイド王国編】
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第86話 意外な所に原点は存在する

「どうするんだリーダー、かなり能力の幅が制限されるんじゃないのか?」

「うーん、まぁ厄介ではあるけど予め分かってたら対策は出来ますしおすし」

「ふ、言われるまでもなかったか。ならこの後はさっきカイナス氏から預かってきたそれを作動させる訳だね?」

「ですです、これめちゃくちゃ便利ですんで」


 話の内容はかなり衝撃的だった上に問題も多かったけど、大事なのは先に知れたという事。であれば別に無理に空間干渉を使う必要もない。


 そもそもオーバーキルの過ぎる技だったので俺には不向きだったとさえ言える。落ち着いて考えればまぁ程々に厄介かなーくらいに思う。


 で、今はと言うと。


 カイナス氏から不思議な魔道具を預かって来たのでそれを起動させようという所。これは一定の範囲をグルっと囲む様に目印を設置、その囲む内側に特定の何かが侵入すれば教えてくれると言う代物。


 今回はその色分けが魔力で出来るのでカイナス氏としても設定が楽に済んだらしい。俺の探知能力は多目に見積もっても五百メートルくらいで限界、これだと気付いてからでは遅い場合もあるだろう。


 これを設置していれば囲われている正方形、一辺が五キロまで大丈夫との事なので即採用。何処でかかったかもすぐに判明する優れ物。


 何故これが日常的に使われないのかと尋ねると、どうも一度起動すれば使い捨てで、しかもその特定の何か一つしか対象に出来ないらしく、使い道の少ない謎アイテムとして保管されていたそうだ。


 まぁ……言われてみれば他に何に使えるの感は満載なので仕方ないと言えば仕方ない。


 さて、今日の所はこれを設置して終わりですかねぇ。




 ______





「そっちは調子どう?」

「凄く順調ね、ゲオルグ様とギランさんの連携がかなり効いてるわ。ソレイユ姉様が表立って目立ったのもあって婚約だなんだと噂で持ちきりね」

「ゲオ兄さんの努力ありきではあっても、やっぱ型にハマると早いな。必要なピースが揃ったって所でゲオ兄さんもなんかめっちゃ燃えてるし」

「顔にはあまり出さない人だからあれだけど、今回はかなり熱を入れてるわね。見てすぐに分かるくらい」


 感知装置の設置から数日。特に目立った何かがあった訳でもないが、政治面ではかなり順調に話は進んでいる。


 進んでいるのだけれども、と言うことは敵サイドとしては面白くない展開だというのは間違いなくて、そろそろ仕掛けてくるのもあり得るなと考え始めたのが昨日。今日も一日音沙汰なしで、もうすぐ夜中になろうという時間。こんなこったろうと睡眠は昼間に済ませている。夜行性のオタク舐めんなし。


 ぶっちゃけ心臓に悪いんで逆にはよ来いし。


「パイセンは大丈夫? かなり気張る役割頼んでるからちゃんとモモと代わりながら上手く折り合いつけてやって欲しいんだけど。キツくない?」

「私は全然問題ないわ。寧ろ……また一番危険な役割をさり気なく背負おうとする貴方が心配ね」

「まぁそこは俺ですし」

「……そうね、アンダーソンくんだものね。今までも何かあるたびに心配して、でもケロッとした顔で何かありました? みたいに戻ってくるものね」

「よくご存知で」

「だからきっと今回も……」


【ピピピピピピピピピピピピ!!】


「「!?」」


 反応が出た、てっきりダンジョンの方角からかと思っていたら全然違う。むしろこれは……俺たちが来た方角だ。道中にそれらしい所は無かった。見落とした?


 いや、でもそのレベルの違和感なら半径五百メートルにかかれば俺は流石に気付くはず。


 なら一体どこから?


 じゃなくて。考えてる場合じゃなかったわ!


「これは……」

「来たっぽい。ヤベェのは引き受けるからゲオ兄さんをよろしこ。酷な言い方するけど有象無象を見殺しにしてでもゲオ兄さんを守って欲しい、あの人が消えたらその何千倍以上の人がヤバいことになりかねないんで」

「分かった、任せて!」


 背中に背負っていた双剣を抜いて目を鋭くするパイセン。ゲオ兄さんには今モモが付いてくれている。梅雨払いはパイセンの役目だ。


 こういう事態に陥った時、うちのパーティほど頼もしい存在はいないだろうな。


「さて、そしたら俺行くわ」

「アンダーソンくんも、気をつけて」

「まぁこっちは大丈夫だから。そしたらまた」

「いってらっしゃい!」

「い、行ってきます」


 不覚にも……いってらっしゃいとパイセンに言われた時にドキッとしてしまった。なんか、いってらっしゃいってあったかいわ。気が引き締まる。




 ______





「出ますよエルメスさん」

「いよいよか、準備は済んでいる」

「なら後は走りながらで!」


 パイセンと別れてエルメスさんを拾って即出発。敵の方角は分かっているからそっちに向かって俺の探知にかかったら後は寄せればいい。


「こっちなのか?」

「俺も思った、てっきりダンジョンサイドかと」


 思っていた方角とは逆側からの侵略。敵はこのマーキングを考慮してはいなかっただろうから、素直にこっちから来たと考えるのが筋ってものだろう。


 潰したとは言えあのダンジョンが少なからず関係していると思っていたけど……どうも違うっぽい。


 やれやれ、考える事が多いな。

 ここが正念場だ。

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