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オタクアンダーソン-神の手違いで異世界へ-  作者: 生くっぱ
第三章【アーデンバイド王国編】
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第75話 誰かを守るには外敵以上に強くあらねばならない

 くっそー、やっちゃったなー。まさか空間固定がレジストされるとは思わなかった。マジビビる。こんな事なら多少情報がバレても本体固定じゃなくて周囲固定で捕まえるべきだったか。


 しかも動揺してる間に人混みに逃げられるし。やり口がどうも手馴れている。とは言え既に姉さんの元にはパイセンがいる。タイマンでパイセンを抜くには魔王レベルの戦力がいりますからね。


 にしても危なかったな。まさか本当にいきなり頭を狙ってくるとは……この分だと王子の護衛も急ぐべきか。さっさとパイセンを王子と合流させて任せてしま……うか? んー少しキツイか。不確定要素が多過ぎて……となるとモモも護衛側か、多分エルメスさんだとやや危ない可能性すらある、仕方ないか。こんな時にルムたんがいたらな……いや、無い物ねだりをしても始まらない。まずはっと。


「やっほー、パイセン大丈夫?」

「イタタタ……ビックリしたんだからもう。全然大丈夫じゃないわよ……、何だったの?」

「いや、ちょっと姉さんが死にかけてたからヘルプしにね」

「えっ、ソレイユ姉さんが?」

「えっ? 私?」

「そうそう、割とマジな話。こうなる直前に何か接近してこなかった?」

「そう言えばよく分からない物が空から……」

「それそれ。因みに王子も多分ヤバイから早めに合流したいんだけど、場所分かる系?」

「多分大丈夫よ、でもあっちは護衛がいるはずなんだけど……」

「パイセン級の?」

「……足元にも及ばないわね」

「なら今回はマズイっすわ、ちょいヤバめだから。これガチで急ぎね」

「分かった、先に合流しておくわ」

「ちょっとルナレシア!? 本当に行くの? これだけの話で……行き先は王宮でしょ?」

「アンダーソンくんがここまで言うのは珍しいから、多分本当に危ないと思う。ゲオルグさんが死んでもいいの?」

「え、そんなに……なの?」

「多分……そうよねアンダーソンくん?」

「流石パイセン、俺のことよく分かってくれてて、もう俺ってば涙がちょちょぎれる……」

「ふざけないで」

「はい、さーせん。マジのヤツですはい」


 パイセンはマジモードだとカッコよくて、そして怖い。多分ソレイユ姉さんより怖い。まぁ確かにふざけちゃマズイ場面ですよねごめんちゃいテヘペロ。


「そしたらこっちにモモを送るわ、あと千狐さんも。この二人がいたら状況の変化に対応しやすいと思うし。姉さんは俺と来てもらうから」

「えっ」

「……成る程、ならエルメスさんもそっち?」

「しょゆ事」

「……どう言う事?」

「説明よろしこ、そしたら取り敢えず俺行くわ。すぐ戻る」

「任せたわ!」

「えっ」


 姉さんだけがやや置いてけぼりなのは仕方ないとして、ひとまずダッシュで元いた場所へと帰還する。今は特に、下手に能力使ったら誰に見られるか分かりませんからね。念の為。


 姉さんへの説明はその間にパイセンがしてくれるっしょ。つまりまぁ……エルメスさんと姉さんの養殖って事になるかな。一応エルメスさんがマルチアドバイザーのポジションは取れる訳だし、こっちに居てくれる分にはメリットもある。それに、多分レベル上がって強くなっちゃっても大丈夫だろうって信頼は築けたと思うし。姉さんは弱過ぎるしで。


 ひとまず、向こうと合流かな。




 ______





「成る程、そういう事か。ならリーダーはまずモモ君を送るのかい?」

『せやな、それがベストか』

「そんな訳で千狐さん頼みますわ、多分状況判断は千狐さんが一番強いから二人をよろしこ」

『まぁ二人おって、護衛対象が一人やったら問題は無いと思うけど……油断出来ん相手みたいやからな』

「そこなんですよね」


 今回の敵はまず、最低でもレベル200くらいはありそうな、魔王軍幹部クラスの実力者。恐らくその一連の動き方から単独犯ではない事が伺える。


 しかも偵察に出ている程度の存在が組織のトップとは思えない。使いっ走りであのレベルなら……他に何が出て来てもおかしくないという訳。ゴロゴロいたらヤバイけど、それは流石に無いと思うからまぁここは千狐さんに任せるしかないかな。


「そしたらエルメスさんはここで待機。モモとカイナス氏(半死)は俺と来てもらって、カイナス氏はそこで現地解散」

「そ、そんな殺生な……」

「悪い、ちょっと立て込んでるからさ。今度埋め合わせするから許してちょ」

「仕方ありませんな」

「そしたら移動するけど、徒歩で行くからカイナス氏は俺の背中で。モモは並走よろ」

「オッケー!」


 道中、ギルドマスターのギランさんを探してこれも合流。理由はすぐに説明するから取り敢えずよろしくと無理やり連行。


 そのままダッシュでパイセンの元に戻って、事情説明はパイセンに丸投げ。王子もパイセンとギランさんが居たら多分大丈夫っしょ、信憑性的な意味で。


「そしたらここは頼むわ、主に千狐さん」

『そっちもぬかりなくな、一応それなりのダンジョンなんやで』

「まぁエルメスさんもいるし多分大丈夫。油断はしないけど出来るだけ急ぐ様にする」

『頼むわ、ぬかるんやないで』

「ん、そしたらパイセン、モモ、後はよろしこ」

「また後で!」

「またねー!」


 その場を頼れるメンバーに預けて、俺は出発ですね。さて、走るか。


「姉さんほら、早く背中に」

「えっ、嘘でしょ?」

「はよ」

「ちょっと……流石にそれは……」

「ならこれで」

「ちょっ!? まっ!?」


 背中に乗る事を渋った姉さんを半ば強制的にお姫様抱っこしてエルメスさんの元へ。やべぇな、なんかこの抱っこ慣れてきたわ、慣れって恐ろしい。いや多分シリアスのせいだうん間違いないきっとそうだ。


 よし、走ろう。人と接触したら危ないからね、屋根の上をピョンピョンと……。


「キャァァァァ早い早いから! ちょっ、もう少しゆっくり……」

「もうちょいスピード上げるんでよろしこ」

「嘘でしょぉぉぉ」


 姉さんと二人でエルメスさんの待つ場へと急行する。

 さて、いよいよダンジョンか。

 こりゃのんびりしてる暇はなさそうだわ。


 どうしてこうなった。

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