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オタクアンダーソン-神の手違いで異世界へ-  作者: 生くっぱ
第三章【アーデンバイド王国編】
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第71話 本物は本物の人脈を持っている

「一応店主にも話は聞いたが、概ね間違いなかった。やはりスタンピードだ。しかも近日中って事らしいぞ?」

「で、ボンボン貴族マンってのはやっぱ女の子な訳?」

「当たりだ、どうも最近戻った貴族の戦力が輝かしい戦績を挙げているらしい。その子が知り合いの子か? ソレイユの妹の……ルナレシアだったか?」

「そそ、多分そうっぽい」

「流石だな、君の知り合いは滅茶苦茶だ」

「勿論自分も含めてますよね?」


 腹ごしらえも済んでひとまず街を散策、ギルドがあるならそこで情報をと思ってエルメスさんに聞いてみたら、ギルドは知ってるらしい。


 今は案内して貰っている最中。


「ギルドとは何繋がりで?」

「そうだな……仕事が主かな。そこそこ金が必要な趣味をしているものでね、ギルドは実力次第で金を積んでくれるから割と役に立つんだ」

「成る程、もうちょい話を聞いておきたかったから助かりますわ」

「それくらいわけないさ」


 向かった先にあったのは何とも言えないこれまた風格のある建物で、ギルドというか、何とか道場とかついてそうな重々しい建物だった。


「おや……まさかエルメスか?」

「ギランか、久しいな。それに良いタイミングだ、探す手間か省けたよ」

「俺を探していたのか?」

「まぁ大した用じゃないんだけどね、少し話を聞きたくて」

「恐らく……同じ件で俺もアテになる人材を求めていた所だ。まぁ話を聞こうじゃないか」

「中に入っても?」

「勿論、ゲストルームへ案内させて貰うよ」


 エルメスさんの人望力によってトントン拍子で話が進んでギルドのゲストルームへ。あるぇ……なんか早速巻き込まれ始めてるような……。


「さて、こちらの皆さんは君の部下かい?」

「皆私の上司だ」

「はぁ!? エルメスの!?」

「あぁ、紹介させて貰う。アンダーソンとモモだ」

「どうもよろしこ」

「やっほー!」

「お、俺はここのギルドマスターをやっているギランだ、よろしく頼む。つまりエルメスより強いのか?」

「鈍ったのか? 見れば分かるだろ?」

「……子供が二人いる様にしか見えないね」


 おっふ、まぁ高校生なんて子供か。出来ればオタクとカテゴライズされたかった所。ま、それはいいとして。


「念のため実力を確かめ……」


 そこまでギランさんが声を発した時点で俺は空間の断裂を発動し、テーブルの上にあったコップを縦に真っ二つにした。勿論水は溢れました、サーセン。


「……今のは何だ?」

「貴方の首に向けて使う事も出来たかもしれない謎の技」

「……成る程、理解出来ないレベルという事か」


 ある程度の実力者ならその差が仮に分からなかったとしても、分からない事がヤバイ事だと認識出来るらしく、伝えたい事は伝わったっぽい。良かった良かった。実際そんな怖い使い方出来ませんから。


 とりま話を進めましょうぜ。


「ではまず俺が話させて貰おう、聞きたい事はこの国の現状で間違いないかな?」

「それで頼む、私もギランの話なら信用出来る」

「それは光栄だ。まずー」


 そこから語られたギランさんの話を纏めると、国は耐えずピンチに晒されていて、それを補強しながら何年もやり過ごして来たけど年々ヤバくなってきて。


 遂にそろそろヤベェよってタイミングでパイセンが帰還。その力で何とか盛り返せているが、規模的に一人でどうこう出来るレベルではない。


 ギルドも戦力を総動員しているが、しているからこそこれ以上の状況の悪化には耐えられない。何か策が必要だ。よし受け流せる防壁を建てよう、しかし途中で壊される。よしダンジョンを狙おう、しかし戦力不足でどっち付かずに。


 つまり、現状では手詰まりで、真の意味でこの件を解決するには国を守る戦力とダンジョンに攻め込める戦力が同時に必要と。


 経費はともかくとして、そもそも人材不足がどうにもならない。ギルドマスターよ、貴様マスターを名乗るなら何とかしろバカモンが! と、国王に詰め寄られていたとかなんとか。


「では国王は相変わらずのクズという訳か、あのクソのせいで大概狂っているというのに、何故排除しない?」

「簡単に言うなエルメス、色々としがらみがな。それに継承問題もある」

「クズの子はクズという訳か」

「いや、そうでもない奴もいるのだが……そういう奴ほど王にはなりたがらない」

「ふ、賢明だ。いるじゃないか話の分かる王族が」

「バカ言え、そんな単純な話ではない」


 王の子は三人いて、末の子が話の分かる王族って奴らしい。でも今の国の体制を変えたくない老害がフガフガ言いながら長男を支持して、クソ体制を継続する事で自分の椅子を暖かいままにしておこうって考えなんだそうだ。


 やれやれ、老害軍団は椅子を暖ためてる間に国が滅びるってイメージは出来ないんですかね。それとも死んだ後の事なんて知ったこっちゃないって奴? うーん、理解しがたいけど、権力ってそういう風潮があるみたいだしなぁ。


 そんな中、第三王子は国を良くしたいと考えるシードレプグルス家と意気投合。特に年が近く、ひたむきに努力する妹の方と懇意に、そのまま婚約へ。あれ? これパイセンじゃね?



「すまない助かった、お陰で話は概ね理解出来たよ」

「ふ、そりゃ良かった」

「さてリーダー、我々はこの話にどう介入する?」

「俺も聞かせて貰いたい、君の意見を」


 まぁ……そうなるよな。やれやれ。


「リーダーって柄じゃないけど、まぁ話は聞かせて貰ったから考えを話すとですね」

「うむ、聞かせてくれ」

「先にもう一つ聞きたいんですけど、そのシードレプグルス家の妹さんってルナレシアって名前で合ってます?」

「よく知ってるな、その通りだ」

「で、貴族の要さんはそのルナレシアさん?」

「……その通りだ。何故知ってるんだ?」

「オッケー、ひとまずそれは置いておいて」

「……ふむ」


 モモの方に目配せをすると、任せるよ! と言わんばかりのウインクをしてくれた。ならまぁ……こうなりますかね。


「まず俺たちは国の事までは責任どうこうするつもりはなくて、だから基本的には関わりたくないですはい」

「まぁそうなるだろう」

「ここにいる仲間を危険に晒す事は避けたいし、それに国としても多分やろうと思ったらまだ国ごと逃げるなりの強行策もあるだろうし」

「……それはそうだろうな、国ごと逃亡はかなりのリスクを伴うが」

「まぁつまりですね、あるとすれば問題は一つだけ」


 そうこれだけは、そしてこれこそが大問題。


「ほぅ、何だ? その問題ってのは」

「危険に晒したくない仲間が、貴族の中にもいるって事、かな」

「知り合いでもいるのか?」

「その貴族の要にされてる女の子が仲間なんですよね」

「……成る程、道理で強い訳だ」

「だからまぁ……少しだけ関わりますかね、このゴタゴタに。俺たちは国の為とかそんなやつじゃなくて、うちのパーティメンバーを助ける為に関わろうと思います」

「ルナちゃんとお姉さんの為だね!」

「そそ、パイセンには笑ってて貰いたいし、ずっと悩んでた所も見てたしさ。それに……今もどこかで頑張ってるっぽいし」


 パイセンは何気に責任感強いからね。あれだけのレベルがあってもほっといたら死んじゃいそうで不安になるんだわ。


「仲間のピンチは見過ごせない。そんな訳でギランさん、うちのパーティも一枚噛ませて貰いますわ。出来ればほどほどにフェードアウトしたいんでアフターケアよろしこ」

「成る程……、何か考えがあるのか?」

「うーん、まぁ大した事でもないけど」

「それならもう少し考えを聞かせて貰ってもいいか?」

「そりゃ勿論、魔物倒してハイサヨナラで済むならそれで良いんだけど、そうじゃないっぽいし」

「……すまない」

「いやいや、こっちもエゴエゴで動いてますから。さて、では議題を移しますか」

「そうだな、では議題を何とする?」


「うーん、なら点数稼ぎでござる作戦で」


 俺たちの次の戦いが始まった。

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