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オタクアンダーソン-神の手違いで異世界へ-  作者: 生くっぱ
第三章【アーデンバイド王国編】
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第70話 豪邸に招かれたらルートイン

「さて、間も無く到着な訳なんですけど」

「まずは我が家に招待するわ、恐らくルナレシアも戻ってる筈よ」

「ならば拙者は到着と同時に失礼するのでごさる」

「さよならグッバイ」

「まだ降りないでごさる。いやぁそれにしても名残惜しいでござるなぁ」

「ところで国に入る時は普通に行っていいの?」

「大丈夫よ、私がいるもの」

「実に名残惜しいでござるなぁ」

「なら普通に行きますわ、後はよろしこ」

「それくらいは私に任せて」

「名残惜しいでござるなぁ?」


 何だかんだで遂に何とか王国に到着。入り口の検問は姉さんの顔パスで普通に通過。というか馬車自体がもうなんかそんな扱いで、最初から恭しく対応されてマジ焦り。姉さんどんなポジションなんスか。


「さて、拙者はこれにて」

「あー、あのさ。村での一件は本当助かった、まぁ……また会うならその時もよろしく」

「こちらこそ道中助かったでござる。拙者はまた会いそうな気がするでござるよ、アンダーソンどの」

「勘弁して欲しいけど俺も同感だわ」

「拙者、自身の研究室におりますのでいつでも訪ねてくだされ」

「研究室? ん、まぁ機会があれば」

「では御免」


 さっぱりとカイナスを降ろし、運転はエルメスさんに引き継ぎそのまま街中進む。エルメスさんの居た方はモモチコが運転。


 にしてもこのなんたら王国は今まで見たどの街より整備されており、また都会らしい風貌をしている。入り口の関所もかなりしっかりした造りだったし。やっぱ全部ダンジョンの影響ですかね。


「見えて来たわね、あそこよ」

「あれが実家?」

「そうよ、あの下が入り口に繋がってるわ、使用人も居るはずよ」


 めちゃくちゃ大きい家でした。

 ありがちなパターン過ぎてもうアウトとしか。


「うへぇ……やっぱデカイなぁ。よし、俺パス」

「……え?」

「さっきの通りの宿屋に泊まるわ、用事あったらそこによろしこ」

「ちょっと! 貴方には色々お礼を……それにお父様にもちゃんと紹介したいのに!」

「パス」


 正にそれが嫌なんだってばよ。

 このフラグにやべぇ匂いしかしないから。


「すまんなソレイユ、リーダーが言うからにはそう言う事だ、我々は向こうに泊まっている。用があるならそこに来るといい。居なければ受付に言付けてくれ」

「よーし、もう歩いて帰れるっしょ? 俺ら向こうに乗り移るから、部下に回収させてどうぞ」

「嘘よね?」


 そんな言葉を尻目にスタスタと自分たちの馬車へと移動する俺とエルメスさん。


「またねー!」

『ルナによろしゅーなー』

「……本当なのね」


 手を振る一行に、遂に諦めのスタイルを見せる姉さんはとぼとぼと一人実家へと帰還する。


 パイセンには会いたいけどもてなしはノーセンキュー。どうせアニメよろしくの偉い人が「君は実に面白いねぇ! 我が娘の婿となれ!」みたいな事になるんでしょ? いらないからそういうの。パス。


「さて、ではまずは宿をとってしまおうか」

「だねー、さっきのトコでいいの?」

「良いっしょ、馬を預かってくれるならどこでも」

「なら早速向かおうか」

「宿屋にゴー!」


 貴族のお屋敷イベントは何とか回避し、宿へ向けて再び馬車へと乗り込んだ。ヒュー危ない危ない。




 ______





「宿はこれで大丈夫だ、馬車も預けられたし……一先ずどうする?」

「なんか飯でも食いながら街の情報集めたりとか、そんなんで良いっしょ」

「ご飯と情報ー!」

「ふ、実に合理的だ。ではその辺りの飯屋にでも入るか」

「グルメって適当な店でもアリなんです?」

「やれやれ、見くびって貰っては困るな。私とて自身の腕と持つ食材に自身はあれど、驕りでまだ見ぬチャンスを逃す程愚かではない」

「成る程、なら何でもオッケーって事で」

「まぁそういう事だ」


 探すと割りと手近な場所にそれっぽいやや広い飯屋を発見。今は昼過ぎなんだけど、なんか夜はバーとかやってそうな店。


「ここならどっちもいけそうかな」

「お腹すいたから早く行こうよー!」

「ならもうここでいいか」

「私はどこでも構わないさ」

「千狐さんは後で肉出すからそれで頼むわ」

『まぁこないな場所やとな、理解しとる』

「助かるンバ」


 そんなこんなでひとまず目の前の店へと全員でなだれこんだ。中に入ると奥にいた店員がこちらに気がついて駆け寄ってくる。うーん、結構人は多いな。めっちゃガヤガヤしてますわ。


「いらっしゃいませー!」

「三人なんだけど、大丈夫です?」

「こちらへどうぞ!」


 案内された席に座りメニューをチェック。手書きで可愛いメニューだ。店主は……イカツイおっさんだな、ギャップが凄い。


「最近楽だよなーマジで、ギルドから派遣されるから取り敢えず顔出すけどよー、貴族のボンボンが点数稼ぎ頑張っちゃうからマジでやる事ねーのな」

「これで金貰えんだからチョロいよなー」


 何か隣のテーブルの会話が妙に際立って聞こえる。ふーん、ここはギルドとかあるのね。なんかファンタジーっぽいぽい。


「でも最近の感じだとそろそろアレだよな」

「だなー、めんどくせーわマジで」


 アレって何なんだよ。

 はよ言えし。


「でもボンボンパワーで楽勝なんじゃねーの?」

「いや、なんかうちのギルドマスターが偉い人と喋ってるの聞いちゃったんだけどさ。なんか波があるらしくて」

「ほーん、で今回はヤバイの?」

「なんか結構ヤバイらしい。一昨日くらいから体制は整えてるとか何とか」

「もう整えてるのかよ。最近多くね? にしてもそこまで準備出来てるんなら楽勝だろ」

「俺らも駆り出されるっぽいぞ?」

「めんどくせーわ、そろそろ鞍替えすっかなぁ」


 うん? つまり何だってばよ。飯も来てるけど全然集中出来ないわ、気になりすぐる。


「どうやら……スタンピードの話らしいな」

「あー、なんかパレード的なアレか。大丈夫なの?」

「大丈夫だから王国はここにあるんだろ?」

「ま、それもそうか」


頼んだ飯を食べながら思考を進める。


 ダンジョン魔物の逆流、それが定期的に起こっており次はそれなりに強力な予感。でも安心、僕らにはつおい貴族マンがついてるから。


 うーむ、これは流石に都合良すぎる気がする。

 まさか……いや多分そうでしょこれ。


 頑張ってるみたいね、パイセン。やれやれ多分大丈夫だとは思うけど、どう立ち回りますかねぇ。

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