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オタクアンダーソン-神の手違いで異世界へ-  作者: 生くっぱ
第三章【アーデンバイド王国編】
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第67話 グーグルイズユアフレンド

「で、どうするんだ?」

「まぁ盗賊が来たら捕まえて聞く感じかな」

「成る程、拷問か」

「いや……そこまでは……」


 一旦馬車に帰還し、我らだけでミーティング。


「違うのか? ならば奴らは話したりせんぞ? 或いは何か特殊な手段が?」

「いや特に手段は考えてなかった……ですはい」

「ではやはり拷問か、拷問をする側に回るのはあまり得意ではないのだが……いや待てよ。私が囮に……」

「やめなさい」

「ではどうする? やはり敵を捕まえて?」

「うーん、どちらにせよエルメスさんだとどうせエルフだから怪しまれるじゃん」

「ぐっ、確かに」

「ねーねー、それなら私が囮になろうか?」

『ワイとセットやったらいけるんちゃうか?」

「……成る程」


 どちらにせよアジトを割り出す策は必要だ。後をつける意味でも、収穫があった方がその保管場所へ行く可能性が高くなるから……囮作戦は理に適っている。でもなぁ……。


「私なら大丈夫だよ! 千狐ちゃんもいてくれるし!」

『今回は人命がかかっとるからな、多少の無理はしゃーないんちゃうか?』

「確かし。うーむ、仕方ないか」

「ではその手筈でいこう」


 そうして作戦は始まった。正直不安な所はぬぐいきれない。大丈夫かな……俺。エルメスさんと二人きりになるんですけど。不安だ。




 ______





「……来たかな」

「来たねー、そしたら私は馬車にいるね!」

「そしたら俺らは離れておきますか、どこにいても警戒されるだろうし」

「それが良い、では頼むぞモモ、千狐殿」

「オッケー!」

『任せとき』


 村の外れから何人かの気配が接近。その上でそいつらは野菜や物を物色しながら進んでいるのでまず間違いなく盗賊だろう。


「ふ、やはりこういった行いはワクワクするな」

「近いから、もうちょい離れろし」

「遠慮するな、もっと近くに来ても良いんだぞ?」

「ちょ!? 引っ張るなっ……ふぉぉぉ腕が何かに当たってりゅぐむむ!」

「バカっ、声を出す奴があるか!」


 ギャァァァァァァ圧力がぁぁぁぁだから嫌なんだってこの作戦んんんん! 欠陥だらけだから! 具体的には欠陥だらけのパートナーですから!


「ふふ、そこで匂いでもかいで落ち着くといい」


 落ち着きませんから、全然落ち着きませんから。ヤバイってこのボリューム感、未だ嘗てない圧力にもう完全に麻痺してる。


 無理ぽ。


「おいリーダー、ん? 何だ大丈夫か? 足りないのなら直接顔をう……」

「だだだだ大丈夫だから!! 復活した超復活したもうなんかヤバイくらい元気だから」

「む、それは残念だ。お、モモくんが拐われたな」

「それそれ、そっちが大事だから。ふざけてる場合じゃないから」

「ほぅ、何でもこの大事な場面で大声を上げそうになったマヌケが美人のエルフに救われたらしいぞ? 誰か知ってるか?」

「それってもしかして>アンダーソン」

「知っていたか、なら良いんだ」


 順調に簀巻きにされて運ばれていくモモチコセット。さて、後はアレの後を付ければ良い感じですね。もうなんかドッと疲れたんですけど。





 ______






「あそこだな」

「なんというか……変なアジト」

「土魔法の使い手でもいるのだろう、気配はどうだ?」

「うーん、多分保管されたっぽい。動いてる気配が離れていく上に減ってる」

「なら……あそこで間違いないな。すぐに終わらせよう、どうする?」

「モモチコとソレイユ姉さんを解放して、余裕があったら他の人も助けるか。で盗賊ボコって潰して素早くサヨナラパターンかな」

「それでいこう」


 今しがたモモチコを放置したと思われる場所を目指して進むと、そこには土の牢屋の様な場所が。見張りも二人いたけどバコっと眠って貰っておいた。


 奥に進むと、そこには檻に囚われたソレイユ姉さんが! あれ? モモチコは?


「やっほーおひさー。お姉さん元気? つか無事?」

「……えっ!?? なんで貴方がここに!!?」


 うーん、服は泥まみれで顔も薄汚れてるけど、乱暴された痕跡はあまり見られない。多分最初の争いでついたっぽい戦闘傷くらいかな。


 なんかソレイユ姉さんだけ観賞用みたいな勢いで檻にいれられているが、他のメンバーが見当たらない。気配は近くにあるんだけどなぁ、一本道で火は灯っているが一面土壁しか視界に入らない。もしかして土の向こうにいるの?


「え、何故って、助けに来たから?」

「じゃなくて!? そもそも距離的に……確かこっちとは逆の方向に目的があったんじゃなかったの? ……いいえそれはいいわ、少し混乱してるのかも。ちょっと落ち着かせて。アンダーソンなのね?」

「オッス! オラアンダーソン!」

「……よし、少し落ち着いた。でもこの牢は恐ろしく硬い上に出口がないの。土魔法で作られた牢だから……恐らく私は出られないわ」

「なるへそ、だから気配はあるのに他のみんなが見当たらない訳だ。やっぱ壁の向こうか、そりゃ厄介だ」


  うーん、それだと断絶でスパッといっても人ごと真っ二つとかシャレになりませんし、グーパンしても危険は一緒と。幻夢之懐(フォースディメンション)は発動時吸収が条件だから、設置型には使えないんだよなぁ。仕方ない、また囮作戦でいきますか。


「土魔法さんは良くここにくるの?」

「そうね、彼がいなければ牢を管理出来ないから……恐らくまたすぐに来るわ。かなり強いわよ?」

「まぁそこは俺ですし、シャッフルゲート」

「……そうね。でも私はここから動け……え?」

「よっ! いやぁなんとか牢屋から出れましたね」

「……どういう事かしら」

「君は……そんな事まで出来るのか、本当に興味の尽きない男だ」


 取り敢えず牢屋の中で囚われの姫になってたソレイユ姉さんをシャッフルゲート。牢の中ってストレス溜まるからきっと精神衛生に良くないですよね。


 後は姉さんをエルメスさんに預けて奥の人気のない場所へ避難させる。そしてその手前で俺が待機。早く来ないかなと待っていると、牢屋の番人らしき奴が接近する気配をキャッチ。


 さて、いっちょやりますか。


「だ、誰だ貴様!!」

「ふぇぇぇあひゃひゃひゃ!」

「なっ!? イカレてやがる! くっそ、食らえ!」


 相手を威嚇するアホ面を晒して更に怒りを促す絶妙なダンスを見せるMR.アンダーソン。うしろからソレイユ姉さんの冷たい視線を感じる気がする。


 作戦ですからこれ。


「うわぁぁぁもうダメだぁぁぁ」

「ギャァァァァァァやられるぅぅぅぅ」

「あぁぁんそこはダメよぉぉぉぉ」


「畜生! 何故だ! 全然効かねぇ!!」


 俺に向かって楽しそうに土魔法を連発してくれる門番君から土魔法をたっぷり頂く。まだ私は空腹なのよ。


「あれ? もう終わり? むしろ終わってたの?」

「こんの野郎……」

「ま、まさか! ケツが痒い!? おっふ……至高」

「ふざけんな!! これでも食らえ!!」


 おマヌケな敵さんが自身の持つ最大の土魔法で俺を地面ごと飲み込もうと画策するも、やはり不発。


 もう出し切りましたかね? こんなもんかな。


「き、貴様何者……」

「俺? 俺は通りすがりのオタクです」


 そのまま首に一撃いれてお休みして貰った。

 土魔法ご馳走さまでした。

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