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オタクアンダーソン-神の手違いで異世界へ-  作者: 生くっぱ
第ニ章【ほのぼのダンジョンライフ】
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第63話 SSS級は何度見てもSSS級

「お、おい……本当に行くのかい?」

「前の階で待機しててくれたら迎えに行きますよ?」

「ほ、本当に大丈夫なのかい?」

「……前の階で待機してて」

「や、やっぱりさ」

「もう前の階にいたらいいじゃん。何で来る訳?」

「だだだってこんな所で一人で待つなんて……もしブラックドラゴン級がすぐに沸いたらどうするんだよ……」

「沸きませんから、普通に沸きませんって」


 ピシャンと、天井から露が滴る。


「ヒィ!!」

「エルメスさんそういうキャラじゃないじゃん」

「だだだってまさかこんな深淵にこんな軽装で足を踏み入れるなんて……しかも三人で!」

『ワイもおるで』

「四人でも変わらないよ!?」


 真っ赤な扉が妙に威圧感を放っており、扉を開ける者の命の保証がされないと、その場で語られているような気さえしてくる。ダメだ、引き返さないとみんな死んでしまう……。


「って顔に書いてますよエルメスさん」

「何!? 何か言った!!?」


 ビクビクし過ぎですから。

 俺が無理矢理扉を開けようと押すと、ゴゴゴという音と共に扉が開く、途中で止まった。


「あれ? なんか引っかかってる? んー、開かないわ。モモ、頼む。これ超固そう」

「オッケー! テオラゾーマ・アレイザウト・ガルシュ・オン!」

「え?」


 氷で形成されたとんでもない魔力の塊であるそれを拳に纏い、扉の前でぴょんぴょんとウォームアップするモモ。


「ま、まさか……嘘だろ……」

「おりゃぁぁぁぁぁ!!」

「うわぁぁぁぁぁぁ!!」


 凄まじい轟音と共に赤い扉は粉々に粉砕されました。もはや我々に扉とかあってない様なもんだから。


「ひ、非常識過ぎる……ヒィィィ!!」


 開いた扉の向こうでは巨大なドラゴンが不機嫌そうにその尻尾を左右に振っている。顔を見るに、穏やかな気分ではなさそうだ。


『グルル……ガァァァァァ!!!!』

「ギャァァァァァァ!!!」


 我らを威嚇するエンシェントドラゴンは真っ白に白銀の突起を身体中に生やし、その翼だけでも何十メートルあるかという規格外のサイズ感。


 瞳は紅く光り、まだ入り口を過ぎてすぐだというのにとんでもない圧力を放っている。


 と、その時。背後で……!


「ギャァァァァァァとととと扉が!?!!?」


 重々しい音と共に扉のあった場所に岩の塊が出現し、退路を塞ぐ。


「だだだダメだもうひひ引き返せない……」

『ガアアアアアアアアァァァァァァァァ!!!』

「ヒィヤァァァ嫌ァァァァァァァァギャァァァァァァ!!」


 追い詰められた状況、危険過ぎる対峙者。

 エルメスさんの顔は涙と鼻水で溢れ、足元も何かしらの水分で溢れている。


 両者互いに一歩も譲らず。

 吠え合う聖水エルフと古代(エンシェント)ドラゴン。


 エンシェントドラゴンを見れば……顔を天へと向け、正に攻撃へ移ろうとしているかの様な動きを見せる。高まる魔力、その大いなる昂りから次に来るであろう攻撃の強大さが伺える。


「ぶ、ブレスだ……うわぁぁぁぁブレスがくりぅぅぅぅぅ!! ギャァァァァァァ!!」


 こちらも負けじと、とんでもない咆哮で応戦。だが敵にダメージは見られない。それどころか……エンシェントドラゴンはその溜めに溜めた魔力を全て吐き出す様に、とんでもない規模で炎を放った。


「ガアアアアアアァァァァァァァァ!!!」

「キタァァァァァァ嫌ァァァァァァァァ!!!」

「やれやれ」


 俺は皆のいる位置から五歩程前に進む。そして皆に被害を及ばせぬ為、空間固定で自身より後ろに熱が漏れない様に魔力を行使。自身の身体はその余りある魔力で守りつつ……静かに右手を前に差し出し、掌を開いた。その右手はエンシェントドラゴンの吐き出した全ての炎を飲み込み、やがて不自然なまでの静寂さが空間を支配する。


「……あ、あれ? え? 一体何が……」


 目をつぶっていたエルメスさんは状況が把握し切れない。モモも千狐さんも後ろで寛いでいる。さてさて、待たせてる事だし、とっとと終わらせますか。


「絶断界。ほらもう終わったから」

「いい一体どどどうなって……いやいやいや状況はかか変わってないからだだだダメだししし死ぬしかない……むむむ無理だあんなばばば化け物……どどどどうすれば……」

「え?」

「……え?」

「あ、倒すとまずかった?」

「……え? ……は?」

「えっと、なんかゴメン」

「……え? ええええええええええ?!?!!?」


 次の瞬間。

 エンシェントドラゴンは粉々に砕けて地面へとバラける様に肉塊へと姿を変えた。さようならエンシェントドラゴンさん、出オチ乙。


「ちょ、ま、え? 嘘……こ、腰が抜けて……」

「え、大丈夫?」

「だ、大丈夫ではないかな……というか頭が状況に追いつけなくて……」

「デジマ? 早くしないと(エンシェント)お肉消えちゃうよ?」

「何だと!? ええぃ動け私の足ぃぃぃ!!! ヌォォォォォォォォ!!!」


 そして、エルメスさんが口に包丁を加えたまま、腕だけで這いながらエンシェントドラゴンの元へと向かって行った。これが……プロか。





 ______





「見てくれ!! えええええエンシェントドラゴンの肉がここここここここ」

「もちつけ」

「落ち着けるか!! エンシェントドラゴンだぞ!? しかもこの量をみろ!!」


 綺麗に切り分けられたその肉塊はそれぞれが何キロなのか見当もつかないレベルの塊なのにも関わらず、十や二十なんて話の量ではない。


 千はありそうだ、パナい。


「はやく保管しなければ!! ほら袋を出してくれ!!」

「え? エルメスさんも自分の袋に詰めればいいじゃないですか」

「良いのかい!?」

「良いもクソもこんなに要りませんから。捨てて……」

「そうはさせるか!! 全て私が頂くヒャッホォォォォォォォォ!!!」


 狂喜乱舞するエルフが半狂乱状態で次から次へと肉を鞄へと収納していく。因みに俺のマントをエルメスさんに与えたら代わりに危険な下着を渡されそうになったんで空間固定で防ぎました。(エンシェント)パンツは流石にノーセンキュー。


 今日一番危険な瞬間だった。


 故にエルメスさんは今、スカートの様に俺のマントを腰に巻いておられる。出来れば激しい動きは控えて頂きたい。


 にも関わらず、ハイテンションで肉にガッツくノーパンエルフは本当に別の何処かに頭がイッてしまっている様にしか見えなかったので、取り敢えずモモと千狐さんと三人で飲み物でも飲みながらのんびり待つ事に。


 結局あの人も大概非常識ですから。なんなら人の事棚上げしてたけど、あの人こそ一番の非常識さんなんじゃね?


 まぁ非常識な方が楽しいからいいんですけどね。


 やれやれ、まさか色々あったはずなのに肉回収してるこの最後の時間が一番長いとはねグルメダンジョン。流石のグルメっすわ。


 というか。

 マジでボスの空気感ハンパない。

 申し訳なさすぐる。































【あとがき】

この度はオタクアンダーソンを読み始めて頂き、またこの様な所までお付き合い頂き本当にありがとうございます。


ひとまずここまでを【2章】とし、次からは新しい章を始めようと考えております。


この作品は私の手がける他の作品と違って、殆どストックを作らずに更新してきたが故に、話がとんでも展開になる事が多く、かなり無理のある作品の様にも思っておりました。


しかしながら、まさかここまでみなさまにアンダーソンを受け入れて頂けるとは思っておらず、今尚日間ランキングに顔を出すアンダーソンを見て、その圧倒的なまでの場違い感を楽しむ日々を送らせて頂いております。アンダーソンさんってば本当にアンダーソン。


とは言え決して適当に進めている訳ではなく。また作者は本作品を作りっぱなしにする気も全くありません。この話を作り始め、その中でアンダーソンが成長する事にも意味と理由があり、そしてそれはとてもとても長い大きな物語、その一部を切り取った様な本作。これは作者の身の丈に合わぬ大いなる先の展望の中にある、プロローグの様な物語で。


ぶっちゃけやり過ぎてる感すらあります。


ですがそれはさて置き。オタク追放としましては、これからも皆様に少しでも良質なアンダーソンをお届け出来る様、日々アンダーソンを磨いてまいりますので、これからもアンダーソンを是非アンダーソンアンダーソン。


もしよろしければ、最新の更新ページに辿り着いた時に下にそのままスクロールすると【評価】というボタンがありますので、辿り着いた際にはそれをポチポチッとして頂けると、作者の励みとなりますのでよろしくお願いします。


煩わしいお願いではありますが、この評価のボタン、何故か最新の更新ページの一番下にしかないんですよね。


これで仮に頂いた評価で更に大衆の目に触れたとして、何かが間違って更にアンダーソン化して、奇跡の大事故の末に書籍にでもなろうものなら、なろう作品の大半に土下座しなければならないような書籍になりますね。大切な大切な第一話目の初っぱなからいきなりマッスル美少女奮闘記ですからね。あまりにも意味不な作品だと言うのに、皆様にこんなにお読み頂けてる現実に未だにソワソワしております。


大丈夫なんだろうか。


では最後になりますが重ねて、ここまでアンダーソンにお付き合い頂き本当にありがとうございます。これからもどうぞよろしくお願いします。


【生くっぱ】

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