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オタクアンダーソン-神の手違いで異世界へ-  作者: 生くっぱ
第ニ章【ほのぼのダンジョンライフ】
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第62話 雑魚狩りは物理特化が最強

「エンシェントドラゴンってそんなにヤバイの?」

「そうだね……まずサイズが出鱈目だ。とてもじゃないが剣でどうこう出来るレベルではない」

「ほーん、あとは?」

「炎と氷に耐性があるって噂だ。それに状態異常にもならない。その上、とんでもない遠距離攻撃を持っているから近づく事もままならないだろう。まさか見に行くつもりなのかい?」

「うーん、まぁちょっとだけ?」

「やめておこう、君を無駄死にされるのは忍びない」

「そこまで言い切っちゃうレベルですか」


 雑談しつつ、階を深めていく一行。昨日は何か、私が布団になる! とか騒いでいた雌豚がいたけど、千狐さんがベッドを用意してくれると私の存在価値はここまで低いのかと打ち拉がれていた。


 エルメスさんマジで雌豚思考強すぎて怖い。


「さて、間も無く三十階だ。任せてもいいのかな?」

「私に任せて!」

「よろしく頼む」


 そしていよいよ、例の三十階に辿り着こうとしていた。




 ______





【B30】

「テオラゾーマ・アレイザウト・オン!」


 階に辿り着いてそのまま中心部へと歩みを進め、コカトリスを視界に入れた時点で前回同様モモが氷をぶっ放す。


「な、何という威力……。これがテオラゾーマ……初めて見たよ」


 声にならない声でパクパクしながらもワナワナしておられるエルメスさん。いやいや震えてる場合じゃないから。


「ほら、火の魔法はエルメスさんしか使えないから、ね?」

「おっとすまない、呆気に取られていたよ。まさか本当に第六界級をこんな子が放つなんて……」

「教えてくれた友達が優秀だったお陰なんだよ!」

「ほ、他にもいるのか……どんな使い手だ……」

「ほら、火をさ、ね?」

「そうだった、フレイム!」


 地面に向けて炎を放つ。……が、何も起こらない。


「……あれ?」

「うーん、あの時は確か連続で……」

「バレットか、私は使えないから回数を重ねるしかないな。フレイム、フレイム、フレイム」


 そうやって氷を溶かしつつ地面に攻撃を続けると、遂にヒビが入って、地面が砕けた。


「ほ、本当だ。本当だ!! 裏ルートだ、こんな所に、まさかこんな所に!! なぁどうすればいい? 私はどうすれば!?」

「もちつけ」


 確かこの穴めちゃくちゃ深かったからなぁ……。


「千狐さん、モモの事頼める?」

『まぁわかっとったらお嬢なら自力で着地も可能やと思うけどな』

「最悪頼むわ、俺こっち担当するから」

『ほなそっちは頼むで?』

「な、何の話なんだい?」

「この穴、とんでもなく深いからさ」

「なんだって? 慎重に壁伝いに降りるしか……」

「よいしょ」

「……え?」


 俺は何かを意識してしまう前に作業的にエルメスさんをお姫様抱っこした。この人やっぱ長いな。


「ちょ、まさか……」

「じゃ、行こっか? よっと」

「ちょっと!? うわぁぁぁぁぁ!!」


 俺は躊躇う事無く、穴に向かって飛び降りた。




 ______





「ここ、これ大丈夫なのかい?」

「まぁへーきへーき」

「信じられない、どれだけの深さなんだ……」

「あ、ちょっと締め過ぎ……」

「おっとすまない、流石にこれは経験がなくてね……」

「でしょうね」


 首に巻きつけられているエルメスさんの腕がたまにビクッと強く締めてくる以外は問題なく落下中。


 予定通り、地面の気配も近くなってきた。


「さてっと、敵がいるから気をつけて?」

「どうやって!?」


 勢いよく落下し、その衝撃を吸収する様に着地。とは言っても地面凹みますけどね。


「さて、どうしたものか……」

「デアロ・アレインズ・ガルシュ!」


 続いて落下してきたモモが見事にクマさんの上に着地。手に纏った氷の腕を地面に突き刺す様にクマさんが潰されている。さようならクマさんまた会う日まで。


「な、なんて非常識なパーティなんだ……」

「エルメスさん目線でもそう見えます?」

「こんな高さからの着地だけでもどうかと思うのに……」


 とんでもないものを見るような目でモモを観察するエルメスさん。やれやれ、問題はここからなのに。


 大丈夫なのかね。





 ______






「れれれれレッドドラゴン!? そんな、こんな……グルメダンジョンに生息していたのか!! どどどうする? あんな魔物、こんな装備では……」

「ウルティアス・アレイザウト・ガルシュ!」

「モモ君? 第四界級を腕に……ま、まさか?」

「おりゃぁぁぁぁ!!」


 素手に氷を纏っただけでレッドドラゴンに肉弾戦を挑むモモの姿は何度見ても見慣れない爽快感があって素晴らしい。殴り、防ぎ、回り込んで投げ飛ばし、殴りつける。これだけの事なのだが、やはり女の子がドラゴンを殴り飛ばしている姿には感じるモノがありますよね。


 所謂ロマン的なサムシング。


「オッケー! 倒したよ!」

「単独で!?」

「お肉は?」

「とととと取らせてくれ是非取らせてくれぇぇぇウォォォォォ!!」


 修羅の如く死んでいるドラゴンに飛びかかるエルメスさんの姿は鬼気迫る物があり、まるで生きているドラゴンと死闘を繰り広げているかのような気迫で剣を振るう。


 というか捌いてるんですけどね。


「ここここここんなにドラゴンの肉がとととと取れてしままままままま」

「もちつけ」


 アタフタするエルメスさんを落ち着かせつつ、肉を回収して歩みを進める。


「あ、あれはオルトロス!? まずい、流石に奴は……」

「どりゃぁぁぁぁ!!」


「あ、あれはグランドロック鳥!? そんな、文献でしか……危険過ぎ……」

「おりゃぁぁぁぁ!!」


「ま、まさかブラックドラゴン!? レッドドラゴンの上位種だって!? そんな、撤退……」

「そりゃぁぁぁぁ!!」


 冒険は順調に進みました。

 モモちゃん強過ぎてマジ快適。


 そしていよいよ、例の階の直前に。いつもの如く真っ赤な扉がお出迎え。なんかこれも見慣れて来たら普通だから笑えるよね。


「こ、これは……本当に……」


 前はこの一つ手前でやめてたっぽいけど、今回は遠慮なく歩みを進める。


 隊にご対面ですわ、噂のエンドラ兄貴と。

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