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オタクアンダーソン-神の手違いで異世界へ-  作者: 生くっぱ
第ニ章【ほのぼのダンジョンライフ】
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第61話 一家に一台あれば便利なやつがそれを上回るデメリットを持った場合の運用法は不明

「わ、私は何を用意すればいい? とりあえず首輪と紐は用意したんだが……」

「捨ててきなさい」


 とんでもないニヤけ顔で準備をヘラヘラ進めるエルメスさん。顔に出すぎですから。


「パーティは組めませんよ? それで良いんですか?」

「勿論だ! 君は家畜をパーティに入れるタイプの人なのかい?」

「質問がおかしいから」


 何だかんだと荷物をまとめ、あっと言う間に出発スタイルに。


「悪いモモ、またあのダンジョンに行く流れになったっぽい」

「仕方ないよねー。でも私もボスは興味あったんだ!」

『まぁどうせアテもない旅やしな、別に問題ないやろ。今度は事故やのーて意図的にそのルートに入るんやし』

「お二方にも感謝を。本当にありがとう」


 そして一路ダンジョンを目指して移動を始めたのだが、そりゃもう目線を引く引く。


「何だエルメスさん、今回は新米を同伴させるのかい?」

「そうだな、新米として同伴させて貰っている」

「そうかいそうかい……え?」


 こんな感じのやり取りを何人とも繰り返し、忙しいそれはエルメスさんに任せて俺たちは涼やかな顔でダンジョンを目指す。


「おいエルメス、そんな奴らほっといて俺らと行こうぜ、たまには少人数でよ?」

「お断りだ、貴様と行く理由などない」

「チッ、何だよそのクソガキどもは」

「失せろ、下郎が」


 こんな奴らもちょこちょこ現れ、エルメスさんの人気の高さを実感させられる。信じられるか? この人さっきまで雌豚とか自分で言ってたんだぜ?


「さて、いよいよダンジョンだ。入って構わないな?」

「とっとと終わらせましょうぜ」


 そして、いよいよグルメダンジョンに再度挑戦する時がやってきた。まぁ、言っても余裕しかないんですけどね。




 ______





「暫くは飛ばしながら進もう。どうせ魔物は定住者に倒されているだろうからな」

「ですね、サクサク行きましょう」

「レッツゴー!」


 サクサク行くとは言っても距離は長い。進める距離には限界があり、どこかで休むしかない訳なのだが、いかんせん人が多い。


 とりあえずこのエリアだけでも抜け切らないと休むに休めませんからね。


「お、また調査かいエルメスさん」

「まぁね、今回はちょっと大仕事だ」

「へぇ、同行は?」

「遠慮してくれ、死にたくはないだろ?」

「そんなにヤバイ感じ? なのにその……」

「無駄話してる余裕はないんだ、すまない」


 それでもやっぱり話しかけられるエルメスさん。この街での知名度と人気の高さは凄いものがあるのは分かるが、もう俺には雌豚にしか見えないから不思議ですよね。


 四つん這いになってさぁ座れとか言われても逆に退がりますから。ノーセンキュー。


「ここは……人がいないな、二十階だな。私が露払いさせて頂こう」


 細身の剣を抜き、閃光の如く走らせる剣筋はまるでそこに最初から肉塊しかなかったかのような静けさを含みつつ敵を沈黙させる。


 ベアーさんバラバラですね。


「折角だ、今日の所はここで食事を取って少し休もう。これを使って簡単に何か作らせて貰う」

「ドロップじゃなくてこっち?」

「あぁ、調理してしまえば消えずに使えるんだ。まぁ見てな」


 そういうとカバンからフライパンを取り出し、火の魔法を使って肉を焼き始める。そしてカバンから既に調理済みのスープを取り出し、そこに肉を放り込んで四つに取り分ける。


「簡単だが元気がでるぞ? 食べてくれ」

「いただきまーす。うわー美味しいー!」

『確かにこら美味いな……。こんなん食べてもーたらダンジョンで干物食べてた頃に戻れんわ……」

「ほんとすいませんでした。あらやだ本当に美味しいこれ」

「そうだろう? 特製のスープだ。好きなだけ食べてくれ」

「料理出来る人がいたらダンジョンでこんな美味しいご飯が食べれるんだね!」

『これは嬉しいなぁ』

「ど、どうかな、このパーティに一匹家畜を増やしてみる気は……」

「やめなさい」


 キリっとしていた顔を崩してヘラヘラしたニヤけ顔に変わると、なんかそっちが素の様な気がしてならない。


「いよいよ明日は裏ルートか……夢にまでみた……。無いと、諦めてた裏ルートが……ついに……」

「まぁ、ボスには興味ありますし」

「仮に言い伝え通りだとしたら、流石に見るだけでも危険だろうね。なんせエンシェントドラゴンだ。存在を許されないなんて言い伝えは伊達ではないと思うよ」

「まぁまだ炭にはなりたくないかな」

「そりゃそうさ、仮に私が十人いた所で結果は変わらないだろう。自分で言うのもなんだけど、そこそこの実力はあると自負している」

「ですね、エルメスさん超強いから」

「そんな私の目からみて、君たちの強さが理解出来ない。一体どれ程のポテンシャルなのか……ふふ、色々楽しみだ!」


 この人くらい強くなったら、自分以上ってのは確かに早々いないだろう。怪我してもらいなくないから、これは裏ルート入りしてからはモモにバコンとやって貰うのが無難ですかね。


 モモも大概やべーからね。

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