第58話 全力投球されると避け辛い
「とと特殊な方法で倒したとか? 或いは偶然のドロップ、レアドロップだったのかい? それもと出現自体がレアな魔物が? 一体どうあの肉を!?」
「もちつけ」
「でもまだあるんだろ? 一体何を、どうやったら!? 何プレイだったんだい!?」
「もちつけ」
終始興奮するエルメスさんを落ち着かせ無理矢理席に座らせる。この人放っておいたら物凄い接近してくるから。顔とかミリレベルで接近してきますから。
流石エルフだけあって綺麗な顔はしているけど、背もスラッと高く、165センチしかない俺より余裕で大きい。多分175くらいあるわ。あと胸がデカイ。エルフってなんかスレンダーなイメージだったのにこの人でかなりイメージ変わりますわ。特に種としての品のイメージが。
「……よし落ち着いた! ところで他の肉は何なんだい? あとどれくらい? どこでそんなに? 是非私もそこへ連れて行ってくれないか! 何でもする!? どんな雌豚として扱ってくれても構わない!!」
「もちつけ」
ダメだこいつ早く何とかしないと……。
「アンダーソンくんさいてー」
『鬼畜なやっちゃなー』
「見てました? ちゃんと見てました? 俺餅しかついてませんでしたから。見てこの手汗、ほら握手しようぜ千狐さん」
『どわっ、ベトベトやないか!』
もう手遅れでした。ちゃんとギャラリーはいつも通りのポジションで俺を扱ってくれたらしい。みんな優秀過ぎて漏らしそう。
「私が是非その汗を舐めとろう!」
「もちつけ」
ダメだこいつ本当にダメなやつだ。何なの? 俺をどうしたいの? 知ってます肉が欲しいんですよね。貪欲すぐる。まぁ確かにこの人に捌いて貰っておいた方が騒ぎにはならなくていいかなとは思うんだけど……。
「ハァ……ハァ……」
鼻息荒過ぎて超怖いんですけど。
……また今度でいいか。
「ボックスに入れてたら特に状態は変化しないって認識でオケ?」
「そ、それは問題ない。その通りだ」
「なら慌てて出す必要なくない?」
「私を焦らすのかい? 凄いプレイだ……」
「違うから、全然違いますから」
「よし、なら話は簡単だ。私もパーティに入れてくれ」
「ワッツ?」
「さぁ、私の手を握れ。むしろどこを触ってくれても構わない! さぁこい!」
「どうしてこうなった?」
両手を広げてウェルカムな構えを見せるエルメスさん。あれ? これってそういう流れなの?
「いや、パーティとか今この子と組んでますから。間に合ってますノーセンキュー」
「な、なんだと……。自分で言うのもなんだけど、パーティを断られたのなんて初めての経験だよ……」
まぁそうでしょうね。美人でグルメで料理上手で腕も立つのなら、そりゃね。でも流石にこれでレベルとか色々晒しちゃうとモモにも迷惑かけちゃいますからね。ここは仕方ないっしょ。
「なら……家畜として……同行させてくれ」
「……は?」
「私は君の雌豚だ、好きにするがいい……」
「馬鹿なのこの人?」
地面に手をつき、四つん這いの体制になるエルメスさん。
「さぁ、私に座ってくれ!」
ダメだこの人、確認の必要もなかった。
馬鹿だわ。