第51話 羊を数えて150超えた辺りでゾウとかライオンが合流してきて300超えてきたらエンピツとかお寿司も飛んでたけど眠れませんから
53964、53967、うん。
どれだけ経っただろうか。朝とか分かりませんから、ダンジョンですからここ。もうね、寝れる訳ない。
ちょっとでも動いたら顔が……。でもひたすら良い匂いが……ダメダメダメ。しかもルムたん、腕で俺の頭を完全にホールドしてるから逃げ道ないし、なんなら逃げようとしたけどビクともしないし。マジ魔王。
「んん……」
で、後ろは見えないけど、パイセンがめっちゃ背中にスリスリしてくるからもうね、頭がどうにかなりそう。ヤバイ。
ふぇぇ、頭でお湯がフットーしちゃうょぉ。。。
『そろそろええ時間や、みんな起きるで』
「……んん、もうそんなに経ったのか。妾さっき寝た所の様な……ふぁぁ……」
あくびをしながら俺を更に強く抱きしめるルムたん。マジやめて、あるから、なんか感触あるからホントダメだから。ヘルプミー。
「んん……もう少し……」
後ろからはパイセンがめっちゃスリスリしてくる。何してんのこの子、俺を抱き枕かなんかと勘違いしてる訳? というか二人ともそんな感じ?
寝れる訳ないから、無理ですって。
「ほら、そろそろ起きるよ! 二人とも寝ぼけすぎ」
「モモちゃん……眠い……」
「キャッ!?」
お、パイセンがターゲットを俺からモモに変更。これはグッジョブ!!
「んん……眠いのぉ、ん? お主そんな所で何をしとるんじゃ?」
「いやいやいやいや、ルムたんのハイパーホールドでここから出れなかっただけですから……って覚えてんだろ!」
「ふふ、何の事じゃ? 良い匂いでもしとるのか?」
してます……超良い匂いしてます。
「ルムたん、あの、そろそろ……」
「仕方ないのぉ、ほれ、これでお主は自由じゃ」
ふはっ!
遂に! 俺は! 自由だ! 万歳!!
「アンダーソンくん助けて……」
「……ん?」
隣を見ればパイセンに抱きつかれてスリスリされてるモモの姿が。うーん、若干香ばしい匂いが……いやいや、言ってる場合じゃないか。
「パイセン、ほら飲み物。取り敢えずこれを飲んで」
「んー……」
寝ぼけ眼で飲み物を受け取り、むにゃむにゃ言いながらも何とか飲み干すパイセン。
「ふぅ、あぁ……まだ眠いわね」
「もぉ! ルナちゃん寝ぼけすぎだよ!」
「モモちゃんが柔らかいからついね」
「ちょっと!?」
コラコラ何の話だ何の。それ言い出したら全員貧……おっと、これ以上はいけない。
『寝ぼけとらんでさっさと次いくで? 進むだけ進んで早帰らんとな』
「そうね、グダグタしても長引くだけよね」
「よーし、朝ごはんにしよー!」
そんなこんなで取り敢えず朝食。もうドタバタ劇にこちとら体力も心臓も保ちませんから。
こういう状況でフリーズする辺りほんとオタク感満載だと実感しますわ。パーティマンはここで何がどうなったら行動出来る訳?
マジ尊敬しますわ、ちょっと俺には厳しいかな。
無理ぽ。