第49話 かおりちゃんとの約束が纏まりそうな時に限って入ってくるナカジマとの野球の約束
【?階】
「お、鳥がおるのぉ」
「ロック鳥ね、レベルは60くらいだったはず……でも色がおかしいわね。普通は茶色い感じだったと思うんだけど……」
「赤いのぉ」
「赤いね」
次のフロアに進むとそこには普通に鳥ちゃんが待機していた。なんかね、赤い。赤くてデカイ。としか言えない。
「ダンジョンの奥ってこんなヤバイのしかいない訳? レベル120クラスがウヨウヨとかおかしくね?」
「確かにダンジョンの外に出れば20レベルもあれば生活出来る様な物となるが。ダンジョンは別物じゃ」
「そうなの?」
「ダンジョンはそれ自体が一体の魔物の様な物だと考えられておる。故にその瘴気の濃さから中では外の常識の通用しない世界が広がっとる訳じゃ」
「成る程ね」
やっぱダンジョンってやつだけが特別扱いな訳か。四天王とか名乗ってたどっかの誰かがレベル150越えって言ってたからかなりヤベーのかと思ったら、まぁダンジョンの外ではって感じだった訳ね。
「ならダンジョン内の魔物って外には出れないの?」
「基本的にはそうなるの」
「基本? 例外もあるの?」
「稀にその瘴気の許容が溢れた時に、ダンジョンが壊れる様に溢れる事もある」
「何それ怖い……」
「モンスタースタンピードという奴じゃな。割とメジャーな内容ではあるが、滅多に起こらん」
「ならまぁいっか」
「お主余裕じゃの」
「まぁ……ね」
そう、俺は今余裕なのだ。解放されたのだ!
「ね? 千狐さん」
『まぁあんな顔しとったらなぁ』
千狐さんったら俺に対して、そろそろワイの番か? とか言ってさり気なく割り込んで来てくれて、俺の首にスッと尻尾が巻かれて。
お陰様で遂にあのデスループから解放されまして。千狐さんアザァァァッス!!
「え、俺どんな顔してました?」
『青白くて脂汗かきまくりの脱水症状目前にしながら、鼻の下伸ばしとったわ』
タハー! 俺ってばマジ不細工!
「千狐さんにはマジで感謝してます……」
『まぁ倒れそうやったからしゃーないやろ』
女子に引っ付かれてマジで倒れるとかどこのモヤシですか? って感じが否めないが、それアンダーソン産のモヤシっすわ。秒でシナシナになる軟弱モヤシっすわ。
「あの鳥どうしよっか?」
「妾がやろう。デアロ・ドレジット・バースト!」
そう言ったルムたんの手から放たれる爆裂系のビーム。直進通過する過程で触れる全てを巻き込む魔王っぽさ満載の魔法。ルムたんマジ魔王っすわ。
あ、因みに鳥はこちらを視認する前に爆散しました。
「お、これはまた綺麗な鳥肉じゃの」
「あぁ……クッソ美味そう」
もうこんなんばっかで胃がヤバイ。サクサク行ってるからなんか全然余裕だけどまぁまぁ進んでますからね。
「そろそろ少し休まない?」
「あ、私もさんせー!」
「そうじゃな、ここらで今日は休むとするか」
やはり考える事はみんな同じだったらしく、今日はひとまずここで休む事に。
んーどれくらい進んだんですかね。
なんか敵はどんどん見た目がゴツい感じになってますけど、基本ワンパンなんで実感皆無っすわ。
マジ油断大敵。