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オタクアンダーソン-神の手違いで異世界へ-  作者: 生くっぱ
第ニ章【ほのぼのダンジョンライフ】
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第47話 理不尽パンチが結局最強

「ほぅ、レッドドラゴンか。皮膚が固い代わりにアレの肉は特に美味であると噂を聞く」

「どうしたらいいの?」

「取り敢えず倒せば良い、後はダンジョンに吸収される前にドロップを見つければ終いじゃ」

「オッケー! デアロ・アレインズ・ガルシュ!」


 モモがピョコピョコと前に出て魔法を発動、その両手に氷を纏って走り始める。


「グルルル、ガアアアアアア!!!」


 それに気が付いたレッドドラゴンも炎で牽制。だがしかし当然モモの速度にはついていけず、回避され回り込まれる。


 そしてその拳を小細工なく腹部に突き刺す。一時的に後退するもドラゴンはその崩れた体勢から尻尾を使ってモモを狙って反撃に出る。向こうもかなり強いっぽい。


 だがしかし、モモはそれを避けるでもなく、受け止めた。


「おりゃぁぁぁぁ!!」


 そしてそのままドラゴン一本背負い。轟音と共に地面に叩きつけられるドラゴン。恐らく何が起こったか理解出来ていないのだろう、怯んでいる。


 けど、怯んだら終わりなんだよね。


「えいっ!」


 顔面に強打が放たれ、直撃したドラゴンの顔は地面にメリ込む形で完全に沈黙。


 マジで物理攻撃だけで終わらせましたね。


「これで大丈夫かな?」

「上出来じゃ。恐らく仕留められていたならばこやつがまず消えて、ドロップが残る筈」

「出てくるかな?」

「ほれ、消えようとしとるぞ」


 その場から透けながら消えゆくドラゴン、しかしその身の存在した場所には何か別の物を残して本体は消失。残った物は……!


「肉じゃな」

「やった!」

「……? 何かもう一つあるわよ?」

「竜の牙か、まぁ素材系アイテムじゃな。アンダーソンの鞄にでも突っ込んでおけば良いだろう」

「何かにつかえるの?」

「スタンダードに武器にする事が多いの」

「武器……か」

「ほれ、アンダーソン」

「ほーい。肉はどうすんの?」

「お主に渡したら干物にされかねんからの。妾が保管しよう」


 自分でやってませんから。なんでわざわざドラゴンの肉を自ら干物にする訳? 全く、ここはガツンと……。


「アンダーソンくん、何日も干物しか出してくれなかったものね」

「……さ、さーせん」


 おふっ、だってRPGだとみんなやるじゃん! 薬草ジャンキーにならない初期冒険者とかいないっしょ? 別に数値が回復すれば……と、考えていた適当な初期の俺。こんなん謝るしかないから。


「ルナ、今のドラゴンで適正とれくらいじゃ?」

「120くらいね、レッドドラゴンはかなり強力なドラゴンよ」

「ん? そんなものじゃったか?」

「普段は群れで動いているから……群れの危険度は更に上ね。単体だとそれくらいなの」

「成る程の。しかし120か、それなりに上がっとるな」

「もう少し探検したら出直した方がいいのかな?」

「いや、欲しいのはこの辺りのドロップのみ。取るだけ取れば目的は達せよう」

「そしたら次の階にいこー!」


 余裕で順調な戦闘。難があるのは戦闘以外の冒険。そう、冒険中は危険がいっぱい。


「次は誰がアンダーソンくんに頼む?」

「ルナでいいじゃろ、順番的に」

「わ、私?」


 そう、危険なのだ。特に流れがおかしい。


「じゃあルナちゃんはお姫様だっことか?」

「普通でいいわよ!」


 普通でいいとかいう謎の妥協。そして俺はこの時、その真の危険性にまだ気付いていなかった。


「あの……アンダーソンくん。いい?」

「あ、はい」


 拒否権なき自信のない質問。これを断ったらパイセン泣いちゃう。でもオッケーしちゃうと……。


「あ、これなんか安心するわね」

「……そりゃどーも」


 普通抱っこの接触面積の広い事広い事。

 もうこれオタクのキャパ超えすぎてて頭回らない。


 今の俺って大丈夫なの?

 大丈夫じゃありませんから。

 もうだめぽ。

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