第46話 調子に乗ると逆襲される
「とりあえず進むかの」
『せやな、目的からは大きく逸脱しとらんし、何より帰りは一瞬やしな』
「そうね、アンダーソンくんが居てくれる以上、このメンバーで問題があるとすれば……」
「ボスのウッカリ討伐じゃな」
『それな』
ひとまず冷静に考えて、本来は全滅案件だったとしても、この魔王軍団には何の問題もない瑣末な出来事と判断。そうなると当初の目的であるドロップ探索というのがメインワークとなる。そしてレベル的には何の問題もない。
「ボスを倒すのはかなりマズイわね」
「妾が判別出来るからそこは大丈夫じゃ」
「そうなの?」
「その先の道に違和感が生じるからの、それを見極められれば階層ボスかダンジョンボスかは判別出来るのじゃ」
「へー、そんな技術もあるんだね!」
『ルムは流石博識やな、知識範囲がいかにも魔王みたいやわ』
「妾は魔王じゃと何度も……」
「でもそこで言っても説得力ないよ?」
「そうかのぉ」
そうさ、問題があるとすれば俺の扱い。漸くモモから解放されて心臓ちゃんが通常営業に戻れるかと思ったら、今度はルムたんが「妾の番じゃな」とか言いながら肩車の体勢に。
はい、ルムたんオンザアンディ。
マジ落ち着かないんすけど、どうなってんのこれ。
「お主もちょっとは喋らんか」
「ぐぇっ、ちょ、圧迫やめ……」
余りの状況に俺のマインドが付いて来ず置き去りに。そうなると話すもクソもないのだが、魔王よろしくの攻撃を仕掛けてくるルムたん。
そう、俺の頬は太ももにサンドされて締め付けられている。何この状況、理解が追いつかないんですけど。
「お主が黙っとったら退屈じゃろう、何か話さぬか」
「無茶振りワロタ」
こんな状態で何を話せと……!?
待てよ、何で俺がこんなに追い込まれてるんだ?
いやいや、もういいだろコレ。
もしかして開き直った方が案外……!?
「いやーゴメンゴメンマジさーせん、ちょっとね」
「ちょっと何なのじゃ?」
「ルムたんの太ももが良い感じ過ぎてつい言葉出てこなくてさ」
「んなっ!?」
「めっちゃ柔らかくて言葉を失うレベル。魔王としてやってこられたルムたんはさぞかしムキムキなのかと思ったら……これが思いの外柔らかくてもう言葉にならないっすわ」
「お、お主一体何を……」
お? 頭の上のルムたんがプルプルし始めましたね。ふ、ここから始まるアンダーソンの逆襲。弄ばれた我が心、返して貰うぜ!
「いやーほら、何かルムたんて良い匂いするじゃん?」
「あー分かる! ルムちゃん何か不思議な良い匂いするから近くにいてくれたら安心する!」
「そうそう、それが両サイドでこんなに接近して、ほら」
「ちょ、お主何を……、何じゃ、急に何故こんな……。お、降りる」
「これを降ろすなんてとんでもない!」
「……どういう事じゃ」
もうルムたんがワナワナしてて本当最高。ふはははどうだ思い知ったか! アンダーソンと言えど開きなおればこれくらいは造作もないわ!
「……ふ、ふん、ならばこちらにも考えがある! そんなに良いのなら、ほれ。これでどうじゃ?」
「うわぁぁぁぁるるるるルムたんななな何を??!??!?」
ルムたんの反撃!
スカートを捲って太ももが直視可能に!
近過ぎる!
ぶべばっ、アンダーソンは半壊した。
「そんなに柔らかいのならほれ、感触を確かめるが良い。どうじゃ、直で触れる感想はどうなのじゃ?」
「待って待ってわかったから俺が悪かったからこれ以上は待って無理無理無理だからキャパが全く足りてませんからぁぁぁぁ!!」
ルムたんの超反撃!!
太ももでの締め付け攻撃!
ダイレクトアタックによる追加ダメージ発動!
ひでぶっ、アンダーソンは全壊した。
「る、ルムたん待ってごめん。ごめんだから、謝るからちょっと待って」
「待たぬ」
「待ってってコレ、や、ヤバイから」
「ほれほれほれ、これが良いのじゃろ? お主がまいた種じゃぞ?」
「ダメダメダメダメ違うからそういうアレじゃないんですお願いだからヘルプミィィィィ!!」
ちょっと待って!
オタクのお兄さんがドサクサに紛れて強がったら相手の女の子が更に強がって輪をかけて状況が酷くなってる現実に萌えポイント感じてるんだけどこの話聞く?
みたいな?
なんでこんな流れになってる訳?
ちょっとグルメのターンはよ、はよ!