第42話 デュエルスタンバイ
「さて、腹拵えも済んだ事じゃ。そろそろダンジョンを目指すかのぉ」
「ルムたんや」
「ん? 何じゃ?」
皆様その後しっかりとカツサンドを満喫し、俺の分まで買おうとしてくれる優しさは痛み入るがどう考えても爆発寸前だったのでこれを回避。
何とか無事に命を繋いでいる。冒険とは常に命懸けとはこういう事だったのだろう。
「もうダンジョンとか行かなくてよくね?」
「何故じゃ?」
「ここで買えばいいじゃん」
「それも勿論ストックする。だがこのメンバーでなければ辿り着けぬ深淵に眠る食材、気にならんのか?」
「想像しただけでヤバイ」
「じゃろ? だからそれを目指すという訳じゃ」
ヤバイのは戻り龍的なサムシングなのだがポジティブに勘違いしてくれるルムたんのお陰で違和感なく会話が継続する。いやん吐きそう、もうどーにでもなーれ☆
「ここにあるのは所詮低層階の産物に過ぎぬ。我々が目指すのは深淵じゃ」
「クリアしたらマズイからそこは注意ね!」
「油断したらうっかり倒しちゃうよね!」
「もうダンジョンクリアとか頑張ってセーブする話になりつつありますね」
『訳わからんパーティやからな』
いや本当、間違いない。
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「そういえばさ、パイセンの家の近所のヤベェダンジョン。今なら行けんじゃね?」
「確かに、私も考えていたわ。でもみんなを私の事にこれ以上巻き込む訳には……」
「マイケル・オンザヘッド!」
「痛っ!」
「今更巻き込むもクソもなくね? みんなそれぞれ巻き込みつつ今な訳じゃん? ならそれもアリでしょ?」
「ほぅ、行き先にアテでもあるのかの?」
「パイセンの実家の近所にダンジョンあるんだって、当時ヤバかったけど今見たら多分そうでもないダンジョン」
「……まぁそうよね」
なんせ魔王が四人いるレベルのパーティですからね。世界だって狙えちゃうわようっふん。
「それにさ、多分巻き込む系でいうなら千狐さんのアレには多分勝てないから」
「アレは……確かにかなり危険だったのぉ」
『しゃーないやん、ワイ何もしてへんのに勝手に八又のオロチ? が食べ散らかしとった訳やん』
そいつめちゃくちゃ女癖悪そうですね。
「でそ? だから良いじゃん」
「……良いのかしら」
「アテも無いよりはマジじゃろう。まずはここで飯の確保じゃ。それに妾も危険なダンジョンには興味がある」
「ルナちゃんの実家よりご飯を優先してていいの?」
「……もう何年もずっとの話だし、それに状況は悪い所で安定してるわ。慌てなくても良くもならないし、悪くもならない筈よ」
「ならまずは飯じゃの」
全員が食べたいだけ食べ、満足した所で再びお買い物。今度は四次元バッグの中にお弁当用のご飯を買ってモリモリと詰め込んでいく。
……あれ? 最初から全部食べずにこっそりここに収納してたら無理に食べなくても良かったんじゃね?
俺ってば本当馬鹿、タハーッ!