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オタクアンダーソン-神の手違いで異世界へ-  作者: 生くっぱ
プロローグ【神さまも筆の誤り】
4/97

第4話 アンダーソンの覚醒

 村長の家から出ると、そこには余りにもやば過ぎる奴が立っていた。具体的には村の入り口に全身真っ黒で明らかに魔族な雰囲気満載なナイスガイが。


 何がナイスガイかって、そりゃ何よりもまずそのサイズ感。デカ過ぎる、多分12村長くらいありそう。これは詰みましたわ、今まで散々詰んだ詰んだ言ってきたけど遂にガチのやつきちゃいましたわ。


 もういいから早く夢から覚めようぜ? いくら筋肉好きっつったって性別の壁は超えられませんから。村長ルートもノーセンキューですから。


「我は魔王様に使える四天王が一人、ザベル」

「なっ!? まさか貴方あの有名な……!?」


 四天王と村長の間で謎の三文芝居が繰り広げられているが全然興味を持てない。それよりも俺は早く目覚めたい。起きて他の録り貯めているアニメもみたいからさ。だからもうこのクソゲーはいいから。終わりましょうよ神さま、ねぇってば。


「この村は基礎魔力が強過ぎる、故に今のうちに滅ぼさせて貰う」

「くっ……まさかこんな早くに目をつけられるなんて……!! まだ調査もまともに進んでないのよ!!」


 あーあー、なんか眠くなってきたわ。

 鼻痒いし。

 うわ、スゲー鼻くそ取れたんですけど。

 やべぇ鼻通りが快適すぐる。


 そういえば俺のスキルなんだったっけ?


「ステータスオープン」


 俺は超小声で自身のステータスを再び表示させる。


 名前:アンダーソン

 称号:オタク

 レベル:1

 HP:5

 MP:1

 筋力:1

 敏捷:1

 耐久:1

 精神:1

 魔力:1


 スキル

【物体移動】


 何度見ても吹き出しそうになるギャグステータス、馬鹿なの死ぬの? 神のクソじじいは何でこれでハッピーセットが完成したと錯覚したの? 鏡花水月なの?


 んん? おやおや、スキルの所がなんか押せそう。

 気付かなかったな、ポチっとな。

 ヴンッと、画面が切り替わる。


 ______

 スキル

【物体移動】

 ・シャッフルゲート 消費MP1

【効果】

 二つの物体の位置をそれぞれ交換する。

 ______


 ふむふむ、つまりどゆこと? 右と左の石ころをそれぞれポジションチェンジ出来るって事? 微妙過ぎませんかね? これのどの辺りに無双感がある訳? 異世界チートはよ。


 俺はもう一度スキルの所をポチってみた。


【しかし効果はなかった】


 はい、クソスキル確定のお知らせです。

 何これ馬鹿なの?


「黙れ! 貴様が何を言おうが、この村にいる奴らは全員殺す。厄介な事になる前にな!!」

「くっ……やるしかないのね」


 なんかヤバそうな事になってる……。

 もういいから目覚めたい。


 もうね、ファンタジーとかいらないから。俺の大切なアニメと漫画とラノベと引きこもり生活を返して下さい。ガイアが地球と合体するとかネタバレされても見た気しませんから。続き見せろし。


「な、なんて力なの……!?」

「俺のレベルは150を越えている、貴様ら如きにどうこう出来ると思うなよ?」


 あーなんか段々現実味がなくなってきてどうでも良くなってきた。もうやっちゃう? 俺のシャッフルゲートが火を噴く的な? MP1って事は1回はいけるんでしょ?


 なんかさ、あの崖の側面の植物とかとあの四天王さんをさ、ポジションチェンジとかどうよ? そしたらその下の池に落ちて都合よく溺れたりしない?


 という訳でポジションチェンジ!


「え? ザベルが……消えた!?」

「あれ?」


 ざっばーん、と。

 水が大きく叩きつけられた音が村に響いた。

 と、同時に。


「ギャァァァァァァ身体がぁぁぁぁぁぁぁぁ」


 ザベルさんの断末魔的な。あれ? 溶けるの? 死ぬの? なんで? スキルの発動が上手くいってる時点で既に驚いてるのに、何この展開?


 どゆこと?


「まさか……!? どうしてザベルが聖なる湖に!?」


 村長から放たれる謎の新設定。そう、実は湖は聖なる湖。何それ初耳。ん? まさか俺の聖水が……関係ありませんよね。関係ねーわ、さーせん。


 さて、状況を見るにだ。さっきまでいた敵は魔王の配下的な人で、湖は聖なる湖。で、僕ちん油断して落ちちゃったよパプリカ。


 つまり……?


「ぐぁぁぁぁおのれぇぇぇぇこれで勝ったと思うなよ……俺は四天王のなばばばばばばは」


 あー溺れちゃったかー。

 ふぅでも良かった。

 まさかこんな事で解決してしまうとは。


 案外と分からないもんだね。


「一体何が……?」

「私にもサッパリ……」

「ソレイユ姉に分からないなら私には無理だよ……」


 村中の人々が崖下を覗き込む異様な光景、それを見て確信する死亡フラグの回避。いやー、危うくクソゲーよろしく的なバッドエンド一直線かと思ったら、意外と何とかなるもんだ。


 さっきのあのスキルなんだったっけ?

 えーっとシャンプーハット的な……。

 うん、忘れた。


「ステータスオープン」


 俺は再び小声で自身のステータスを表示する。

 えーっと、スキルをポチれば……!?



 名前:アンダーソン

 称号:神に選ばれしオタクガチ勢

 レベル:158

 HP:8769

 MP:2789

 筋力:8753

 敏捷:8963

 耐久:8921

 精神:8716

 魔力:8073


 スキル

【真・物体移動改改】


 !?


 ……ふ、成る程。つまりこういう事ですか。


 漸く。本当に漸く。


 俺のファンタジーのファンファーレが高々とこの世界に鳴り響いた。

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