第30話 好きなものの押し付けはいくない。
『ワイらも今暫く同行させて貰えると有難いんやが……どうやろか?』
「水臭過ぎワロタ。良いに決まってんじゃん」
「他人事ながらお主のそういう所に惹かれるのじゃ」
ルムたんの同行願いの直後、畳み掛ける様に次は千狐さんが同行願いの打診。みんな何で俺がリーダーみたいな扱いになってんのかな。
ついこないだまで森で漏らしてノーパン無一文で情けをかけて貰わないと生きる事もままならなかったんですけどね。
『すまんな……流石に現状を二人でってのは厳しいわ、いくらお嬢を強くしてもろたゆーたってやな』
「分かる分かる、だから気にすんなって。旅は道連れ世は無情っていうじゃん」
「それ共倒れしとらんか?」
強さ以外の全てを失ったモモさん、それに寄り添う千狐さん。この二人を放り出すとかあり得ませんから。千狐さんだけでどれだけ助けられてる事か。そもそも一緒にいて楽しいんだらそれで万事オッケー的なね。
「ま、それはそうとまずは当面の行き先かな」
「そうじゃな……現状に不満があるとするなら……」
『せやな、アレしかないな』
なっ!? 二人ともまさか俺に不満が? アレ? さっきまでの流れでこの雰囲気になります?
『「飯がマズい」』
「……さーせん」
あ、そっち。そういう感じの。
「そ、それはアレ適当になんか長持ちしそうなの買っただけですし」
『アンディ飯のセンスはないみたいやな、任せずにそこは一緒に行くべきやったわ。まさか干物地獄とは思わんやろ』
「妾は一回だけじゃったが、まさか全て干物を渡されるとは思いもせなんだ。ま、何でも出来ては気持ち悪いからの。それにそもそもまずは素材からの問題じゃ」
『大体腐ったりせんのやから色んなもん入れときゃええのに何で保存性の高いトコに保存食いれとんねん。味気ないっちゅーねん』
「お主調理は出来んのか?」
「えぇ……ボロカスですね」
もうやめて! アンディのライフは残り25000よ! あらやだ俺ってば超タフネス。
「で、その場合はご飯屋さんとかで調理して貰ったのを買うとか? そんな感じ?」
「丁度いいダンジョンが近くにあるからの、次はそこを目指すのも悪うないやもしれんな」
『せやな、飯がマズいのは大問題や』
「なら……そのルムたん案でいきますか」
「うむ、所謂ドロップが食べ物系ばかりのグルメダンジョンと呼ばれとる場所がある。まずはそこに行こうかの」
こうして二人が今後も同行する事となり、その上で次の目的地も決まった。やれやれ飯がマズいって、流石に毎日保存食じゃダメだったか。
え、でも干物美味いじゃん?
ダメ? あ、やっぱり毎日干物オンリーはダメ?
ダメっすか……さーせん。